社会保険料 | 仕組みと見直し方
社会保険料は、
どう決まるか。
社会保険料は、多くの経営者にとって税金と並ぶ、ときには税金より大きい負担です。それなのに、決まり方の仕組みは税金ほど知られていません。税金との違い・計算の仕組み・国保と社保の比較・役員報酬との関係まで、社会保険料の全体像を税理士・公認会計士がまとめました。

「保険料を下げられるか」に、
社会保険料は、役員報酬の決め方でほぼ決まり、将来の年金にも響きます。30分の無料相談で、会社と個人を合わせた負担をあなたの数字で並べてお伝えします。
佐々木 俊代表 | 税理士・公認会計士
役員報酬の月額ごとの社会保険料
月あたり・40歳未満
| 月額 | 本人 | 会社 | 合計 | 報酬に対して |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 28,380円 | 29,100円 | 57,480円 | 28.7% |
| 30万円 | 42,570円 | 43,650円 | 86,220円 | 28.7% |
| 40万円 | 56,760円 | 58,200円 | 114,960円 | 28.7% |
| 50万円 | 70,950円 | 72,750円 | 143,700円 | 28.7% |
| 65万円 | 92,235円 | 94,575円 | 186,810円 | 28.7% |
| 80万円 | 99,795円 | 102,135円 | 201,930円 | 25.2% |
| 100万円 | 109,875円 | 112,215円 | 222,090円 | 22.2% |
前提: 40歳未満 (介護保険料なし)・協会けんぽ東京支部の令和8年度の料率 (子ども・子育て支援金と会社だけが払う子ども・子育て拠出金を含む)・賞与なし。報酬月額は役員報酬の月額だけとし、標準報酬月額は等級表を使わず報酬月額そのままで計算した概算です (厚生年金は月65万円で頭打ち)。
税金との違い
「もう一つの税金」と呼ばれる理由
社会保険料は税金ではありませんが、支払いが義務である点は同じです。違うのは、決まり方と、払ったあとに戻ってくるものです。
「およそ3割」の正体 — 月額30万円の例
本人と会社を合わせた86,220円は、報酬300,000円の28.7%。給与明細に見える本人負担と同じだけを、会社も払っています。
会社と本人を合わせて、報酬のおよそ3割
くわしく — 大きさ
健康保険と厚生年金を合わせた料率は報酬のおよそ3割で、原則として会社と本人が半分ずつ負担します。利益がそれほど大きくない帯では、所得税・住民税より社会保険料の方が重いことは珍しくないと見ています。
税金は「もうけ」に、社会保険料は「報酬の月額」にかかります
くわしく — 決まり方
法人税は所得 (もうけ) が無ければ原則としてかかりません (法人税法21条)。一方、社会保険料は役員報酬の月額をもとに決まるので、会社が赤字の年も、経費を増やして利益を減らした年も、役員報酬を払っていれば同じようにかかる、と覚えておきましょう。
厚生年金は将来の年金額に反映されます
くわしく — 戻るもの
税金と違い、厚生年金では、保険料の計算に使う標準報酬月額が将来受け取る年金額の計算にも使われます。保険料を減らす工夫は将来の年金が減ることの裏返しでもあるので、損得は目先の負担だけで決めないことをお勧めします。
払った保険料は全額が所得控除になります
くわしく — 税金との連動
払った社会保険料は、全額が所得控除 (社会保険料控除) の対象です (国税庁タックスアンサー No.1130)。保険料が減ると控除も減って所得税・住民税が少し増えるため、実質の差は保険料の差そのものより小さくなると考えています。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.1130 社会保険料控除 / 日本年金機構 厚生年金保険の保険料 / 協会けんぽ 令和8年度の保険料額表 (東京支部・PDF)
計算の仕組み
標準報酬月額と料率
毎月の社会保険料は「標準報酬月額 × 料率」で決まります。標準報酬月額とは、役員報酬などの報酬の月額 (通勤手当や現物給与も含みます) を等級表に当てはめた計算上の基準額のことです。等級の当てはめ方と見直しの時期は、このサイトの「標準報酬月額とは」の記事で解説しています。
| 制度 | 料率 | 負担のしかた | 標準報酬月額の下限〜上限 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 9.85% | 会社と本人で半分ずつ | 58,000円〜1,390,000円 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 会社と本人で半分ずつ | 健康保険と同じ基準 |
| 介護保険 (40〜64歳のみ) | 1.62% | 会社と本人で半分ずつ | 健康保険と同じ基準 |
| 厚生年金 | 18.30% | 会社と本人で半分ずつ | 88,000円〜650,000円 |
| 子ども・子育て拠出金 | 0.36% | 会社のみ | 厚生年金と同じ基準 |
| 合計 (40〜64歳の場合) | 30.36% | - | - |
→ 表は横にスクロールできます
合計はおよそ3割。原則として会社と本人が半分ずつ負担します (子ども・子育て拠出金だけは会社のみ)。
健康保険9.85%・厚生年金18.3% (令和8年度・協会けんぽ東京)
くわしく — 料率
このほか子ども・子育て支援金0.23%、40〜64歳の方は介護保険1.62%が加わります。原則として会社と本人が半分ずつ負担し、会社だけが負担する子ども・子育て拠出金 (0.36%) もあります。健康保険の料率は都道府県ごとに決まるので、このサイトの数字は東京支部の料率で計算しています。
健康保険は月5.8万〜139万円、厚生年金は月8.8万〜65万円で頭打ち
くわしく — 下限と上限
上限を超えた部分には保険料がかからず、低い報酬でも下限で計算されるため保険料はゼロになりません。なお厚生年金の上限65万円は、2027年9月から段階的に引き上げられる予定です。
健康保険は年度累計573万円・厚生年金は1か月あたり150万円
くわしく — 賞与の上限
賞与 (年3回以下で払うもの) にも同じ料率がかかりますが、この上限を超える部分には保険料がかかりません。年4回以上払う賞与は、賞与ではなく月々の標準報酬月額の対象となる報酬に含まれるので、この上限は使えません。このサイトが事前確定届出給与を社会保険料の見直し方の1つとしてご紹介しているのは、この上限の仕組みがあるためです。
毎年4月〜6月の報酬をもとに、9月から改定されます (定時決定)
くわしく — 見直しの時期
昇給・降給で報酬が大きく変わったときは随時改定で見直されることもあります。役員報酬は経費 (損金) の決まりから年度の途中で自由に変えられないため、実務では期首の報酬改定と定時決定が中心になると見ています。
出典: 協会けんぽ 令和8年3月分 (4月納付分) からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 (東京支部・PDF) / 日本年金機構 厚生年金保険の保険料 / 年間の標準賞与額の累計額が573万円を超えたとき / 随時改定 (月額変更届) / 厚生労働省 厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて
国保と社保
個人事業主と法人役員で決まり方が違います
個人事業主は国民健康保険+国民年金、法人の役員は健康保険+厚生年金に入ります。同じ人でも、どちらが安いかは所得の水準と家族の構成で変わるので、下の4つの違いを押さえたうえで比べることをお勧めします。
国保は前年の「所得」に連動して増えます
くわしく — 国保
所得が増えるほど保険料も増え、上限 (賦課限度額) に届くまで下げる手段はほとんど無いと考えています。そこに、20歳以上60歳未満の方は国民年金の保険料 (月17,920円・令和8年度) が定額で加わります。
社保は「役員報酬の月額」で決まります
くわしく — 社保
基準は事業のもうけではなく役員報酬の月額です (通勤手当や、会社が提供する社宅・食事などの現物給与があれば、それも報酬月額に含まれます)。報酬の決め方次第で事業の所得と保険料を切り離せることが、マイクロ法人という選択肢の核心だと考えています。
扶養の仕組みがあるのは社保だけです
くわしく — 扶養
健康保険・厚生年金では、会社員の配偶者などで一定の収入がない家族は被扶養者として、社会保険料の負担が発生しません。国民健康保険には加入者の扶養という制度が無く、加入者一人ひとりに対して保険料が計算されます。
保険料の差だけでは決められません
くわしく — 比べ方
法人には赤字でも法人住民税の均等割 (資本金等の額が1,000万円以下で従業者が50人以下の会社なら年7万円ほど) がかかり、給与計算や社会保険の手続きなどの事務も増えます。将来の年金額も変わります。このサイトの法人化シミュレーションで、税金まで含めた年間の実質差を確認できます。
出典: 日本年金機構 国民年金保険料 / 日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度 / 厚生労働省 「年収の壁」への対応 / 鈴鹿市 国民健康保険には社会保険のような扶養はありますか / 江東区 国民健康保険料の計算方法 / e-Gov 法令検索 地方税法52条・312条 (法人の均等割)
決め方
社会保険料を左右するのは、役員報酬の決め方です
法人の社会保険料は役員報酬の月額でほぼ決まります。つまり役員報酬の設計は、そのまま社会保険料の設計です。月額ごとの手取りと、会社負担まで含めた総負担は、このサイトの2つの無料シミュレーションで並べて確認できます。
決め方の手順そのもの (必要な手取りからの逆算・変更できる時期・注意点) は、このサイトの「役員報酬ガイド」にまとめています。
見直しの選択肢
負担を見直す3つの選択肢 — 仕組みと代償
社会保険料の負担を見直す方法は、いずれも「保険料の決まり方」に沿ったものです。ただし、どの方法にも保険料が減ることの裏返しとなる影響があります。ここでは仕組みと代償を並べてご説明します。
役員報酬の水準を見直す
くわしく — 水準
報酬を下げれば保険料も下がりますが、毎月の生活資金・将来の年金・融資や審査への影響という現実の代償があると考えています。目先の保険料だけで決めず、必要な手取りから逆算するのが、このサイトの役員報酬ガイドの考え方です。
事前確定届出給与 — 月給と賞与の配分を変える
くわしく — 払い方
低い月給+年1回の賞与という払い方にすると、賞与の上限の仕組みで年間の保険料が変わります。届出どおりの日・額で払わないと経費にならないことや、将来の年金が下がることなど、注意点も多いので、このサイトの事前確定届出給与の解説ページで確かめてください。
マイクロ法人 — 保険料の基準を所得から切り離す
くわしく — 入れ物
個人事業の所得ではなく法人からの役員報酬が保険料の基準になるため、所得が高い方ほど差が出やすいと見ています。一方で、法人の維持費や毎年続く事務という固定的な負担が加わります。詳しくはこのサイトのマイクロ法人の解説ページへ。
いずれの方法も、会社と個人を合わせた実質と、年金など長期の影響まで含めて判断することをお勧めします。実行の際は、必ず事前にご相談ください。
注意点
見落としやすい注意点
社長1人の会社でも加入義務があります
くわしく — 加入義務
役員報酬を支払っていれば、社長1人の会社でも社会保険への加入は義務です (厚生年金は70歳未満の方が対象です)。設立時の新規適用届の期限は事実発生から5日以内です (税務署へ出す法人設立届出書は2か月以内・給与支払事務所等の開設届出書は1か月以内)。
本人の給与から引かれる分と、ほぼ同額を会社も払っています
くわしく — 会社負担
給与明細で見える本人負担は全体の半分です。法人化や役員報酬の損得を考えるときは、会社負担まで含めた合計で見ることをお勧めします。
毎年の手続きが続きます
くわしく — 手続き
毎年4月〜6月の報酬を届け出る算定基礎届など、社会保険の手続きは加入して終わりではありません。給与計算・源泉所得税の納付・年末調整と並んで、法人を維持する事務の一部になります。
出典: 日本年金機構 新規適用の手続き / 厚生年金保険の保険料 / 国税庁 タックスアンサー No.5100 新設法人の届出書類
※料率は令和8年度 (協会けんぽ東京・2026年3月分〜) にもとづいています。健康保険の料率は都道府県ごとに決まるので、東京以外の方は、このサイトの数字と実際の保険料がずれることがあります。個別のご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
よくある質問
よく聞かれること
Q標準報酬月額とは何ですか?
役員報酬などの報酬の月額 (通勤手当や現物給与も含みます) を、保険料計算用の等級表に当てはめた基準額のことです。毎月の社会保険料は「標準報酬月額 × 料率」で決まるため、報酬の決め方がそのまま保険料を左右します。健康保険は月5.8万〜139万円、厚生年金は月8.8万〜65万円の範囲で頭打ちになります。
Q社会保険料は誰がどれだけ負担するのですか?
原則として会社と本人が半分ずつ負担します (労使折半)。健康保険と厚生年金を合わせた料率は報酬のおよそ3割で、給与明細で見える本人負担はその半分です。このほか、会社だけが負担する子ども・子育て拠出金があります。40〜64歳の方は介護保険料が加わります。
Q役員報酬を変えると、社会保険料はいつから変わりますか?
毎年4月〜6月の報酬をもとに9月から見直される定時決定が基本です。昇給・降給で報酬が大きく変わったときは随時改定で見直されることもあります。役員報酬は経費 (損金) の決まりから年度の途中で自由に変えられないため、実務では期首の報酬改定と定時決定を組み合わせて考えることをお勧めします。
Q一人社長でも社会保険に入らないといけませんか?
入る義務があります。役員報酬を支払っていれば、社長1人の会社でも社会保険への加入は義務です (厚生年金は70歳未満の方が対象です)。設立時の新規適用届の期限は事実発生から5日以内と短いため、設立の段取りに組み込んでおくことをお勧めします。
Q国保と社保は、どちらが安いのですか?
一概には言えないと考えています。国保は前年の所得に連動して増え、社保は役員報酬の月額で決まるため、所得水準と家族構成によって答えが変わります。所得が高い方ほど、報酬を抑えた社保との差は大きくなりやすいと見ています。ご自身の数字での比較は、このサイトの法人化シミュレーションと無料相談をご利用ください。
Q社会保険料を減らす方法はありますか?
役員報酬の水準の見直し・事前確定届出給与・マイクロ法人など、保険料の決まり方に沿った選択肢はあります。ただし、いずれも将来の年金が減る・資金繰りや審査に影響するなどの代償を伴うと考えています。会社と個人を合わせた実質で試算したうえで、実行の際は必ず事前にご相談ください。
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