社会保険料は、多くの経営者にとって税金と並ぶ、ときには税金より大きい負担です。それなのに、決まり方の仕組みは税金ほど知られていません。税金との違い・計算の仕組み・国保と社保の比較・役員報酬との関係まで、社会保険料の全体像を税理士・公認会計士がまとめました。
役員報酬の月額ごとに、社会保険料がいくら引かれて手取りがいくら残るかは、無料のシミュレーションでその場で確認できます。
社会保険料は税金ではありませんが、支払いが義務である点は同じです。違うのは、決まり方と、払ったあとに戻ってくるものです。
健康保険と厚生年金を合わせた料率は報酬のおよそ3割で、原則として会社と本人が半分ずつ負担します。利益がそれほど大きくない帯では、所得税・住民税より社会保険料の方が重いことは珍しくありません。
所得税や法人税は利益が出なければかかりませんが、法人の社会保険料は役員報酬を払っていれば赤字でもかかります。経費を増やして利益を減らしても、社会保険料は減りません。
税金と違い、厚生年金の保険料は将来受け取る年金の計算に使われます。保険料を減らす工夫は、将来の年金が減ることの裏返しでもあります。損得は目先の負担だけでは決められません。
社会保険料は全額が所得控除 (社会保険料控除) の対象です。保険料が減ると控除も減って所得税・住民税が少し増えるため、実質の差は保険料の差そのものより小さくなります。
毎月の社会保険料は「標準報酬月額 × 料率」で決まります。標準報酬月額とは、役員報酬の月額を等級表に当てはめた計算上の基準額のことです。
このほか子ども・子育て支援金0.23%、40〜64歳の方は介護保険1.62%が加わります。原則として会社と本人が半分ずつ負担し、会社だけが負担する子ども・子育て拠出金 (0.36%) もあります。健康保険の料率は都道府県で異なります。
上限を超えた部分には保険料がかからず、低い報酬でも下限で計算されるため保険料はゼロになりません。なお厚生年金の上限65万円は、2027年9月から段階的に引き上げられる予定です。
賞与にも同じ料率がかかりますが、この上限を超える部分には保険料がかかりません。事前確定届出給与で社会保険料が変わるのは、この仕組みによるものです。
昇給・降給で報酬が大きく変わったときは随時改定で見直されることもあります。役員報酬は経費 (損金) の決まりから年度の途中で自由に変えられないため、実務では期首の報酬改定と定時決定が中心になります。
個人事業主は国民健康保険+国民年金、法人の役員は健康保険+厚生年金に入ります。同じ人でも、どちらが安いかは所得水準と家族構成で変わります。
所得が増えるほど保険料も増え、上限 (賦課限度額) に届くまで下げる手段がほとんどありません。そこに国民年金 (月17,920円・令和8年度) が定額で加わります。
基準は事業のもうけではなく役員報酬の月額です。報酬の決め方次第で、事業の所得と保険料を切り離せます。これがマイクロ法人という選択肢の核心です。
健康保険では、収入などの条件を満たした家族は保険料の追加なしで加入できます。国保にはこの仕組みが無く、世帯の人数に応じて保険料がかかります。
法人には赤字でも法人住民税の均等割 (年7万円ほど) がかかり、給与計算や社会保険の手続きなどの事務も増えます。将来の年金額も変わります。法人化シミュレーションで、税金まで含めた年間の実質差を確認できます。
法人の社会保険料は役員報酬の月額でほぼ決まります。つまり役員報酬の設計は、そのまま社会保険料の設計です。月額ごとの手取りと、会社負担まで含めた総負担は、2つの無料シミュレーションで並べて確認できます。
決め方の手順そのもの (必要な手取りからの逆算・変更できる時期・注意点) は「役員報酬ガイド」にまとめています。
社会保険料の負担を見直す方法は、いずれも「保険料の決まり方」に沿ったものです。ただし、どの方法にも保険料が減ることの裏返しとなる影響があります。ここでは仕組みと代償を並べてご説明します。
報酬を下げれば保険料も下がりますが、毎月の生活資金・将来の年金・融資や審査への影響という現実の代償があります。目先の保険料だけで決めず、必要な手取りから逆算するのが役員報酬ガイドの考え方です。
低い月給+年1回の賞与という払い方にすると、賞与の上限の仕組みで年間の保険料が変わります。届出と1日・1円でもずれると経費にならない、将来の年金が下がるなどの注意点があります。詳しくは事前確定届出給与の解説ページへ。
個人事業の所得ではなく法人からの役員報酬が保険料の基準になるため、所得が高い方ほど差が出やすくなります。一方で、法人の維持費や毎年続く事務という固定的な負担が加わります。詳しくはマイクロ法人の解説ページへ。
いずれの方法も、会社と個人を合わせた実質と、年金など長期の影響まで含めて判断する必要があります。実行の際は、必ず事前にご相談ください。
役員報酬を支払っていれば、社長1人の会社でも社会保険への加入は義務です。設立時の新規適用届の期限は事実発生から5日以内と、設立関係の届出でいちばん短く設定されています。
給与明細で見える本人負担は全体の半分です。法人化や役員報酬の損得を考えるときは、会社負担まで含めた合計で見る必要があります。
毎年4月〜6月の報酬を届け出る算定基礎届など、社会保険の手続きは加入して終わりではありません。給与計算・源泉所得税の納付・年末調整と並んで、法人を維持する事務の一部になります。
月額ごとの手取り、会社と本人それぞれの保険料、法人化した場合の変化まで、無料のシミュレーションでその場で確認できます。入力した数字がサーバーへ送信されることはありません。
※料率は令和8年度 (協会けんぽ東京・2026年3月分〜) にもとづいています。健康保険の料率は都道府県で異なります。個別のご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
原則として会社と本人が半分ずつ負担します (労使折半)。健康保険と厚生年金を合わせた料率は報酬のおよそ3割で、給与明細で見える本人負担はその半分です。このほか、会社だけが負担する子ども・子育て拠出金があります。40〜64歳の方は介護保険料が加わります。
毎年4月〜6月の報酬をもとに9月から見直される定時決定が基本です。昇給・降給で報酬が大きく変わったときは随時改定で見直されることもあります。役員報酬は経費 (損金) の決まりから年度の途中で自由に変えられないため、実務では期首の報酬改定と定時決定を組み合わせて考えます。
入る義務があります。役員報酬を支払っていれば、社長1人の会社でも社会保険への加入は義務です。設立時の新規適用届の期限は事実発生から5日以内と短いため、設立の段取りに組み込んでおく必要があります。
一概には言えません。国保は前年の所得に連動して増え、社保は役員報酬の月額で決まるため、所得水準と家族構成によって答えが変わります。所得が高い方ほど、報酬を抑えた社保との差は大きくなりやすい傾向があります。ご自身の数字での比較は、法人化シミュレーションと無料相談をご利用ください。
役員報酬の水準の見直し・事前確定届出給与・マイクロ法人など、保険料の決まり方に沿った選択肢はあります。ただし、いずれも将来の年金が減る・資金繰りや審査に影響するなどの代償を伴います。会社と個人を合わせた実質で試算したうえで、実行の際は必ず事前にご相談ください。
このテーマを、1本ずつ記事で詳しく解説しています。
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