賞与の社会保険料には上限がある — 標準賞与額の仕組みと実額
「賞与にも社会保険料はかかるのか」「大きな賞与だと保険料はどこまで増えるのか」という疑問に答える記事です。計算のもとになる標準賞与額の仕組みと、上限の効き方を実額で示します。
この記事の要点
- 賞与の社会保険料は「標準賞与額」(税引き前の賞与から1,000円未満を切り捨てた額)に月給と同じ料率を掛けて計算する
- 上限は健康保険が年度累計573万円、厚生年金が1か月当たり150万円
- 上限を超えた部分に保険料はかからない。賞与200万円と300万円で厚生年金側の保険料は同じになる
賞与にも月給と同じ料率がかかる
これに月給と同じ料率(40歳未満の場合、健康保険側10.08%+厚生年金18.3%+子ども・子育て拠出金0.36%・会社と本人の合計)を掛けたものが、賞与の保険料です。賞与の明細で、引かれている額を確かめたことはあるでしょうか。
料率の内訳は、次の表のとおりです。
※計算図の税・保険料の基準(該当する項目): 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度。
| 制度 | 料率 | 負担のしかた | 標準報酬月額の下限〜上限 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 9.85% | 会社と本人で半分ずつ | 58,000円〜1,390,000円 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 会社と本人で半分ずつ | 健康保険と同じ基準 |
| 介護保険 (40〜64歳のみ) | 1.62% | 会社と本人で半分ずつ | 健康保険と同じ基準 |
| 厚生年金 | 18.30% | 会社と本人で半分ずつ | 88,000円〜650,000円 |
| 子ども・子育て拠出金 | 0.36% | 会社のみ | 厚生年金と同じ基準 |
| 合計 (40〜64歳の場合) | 30.36% | - | - |
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合計はおよそ3割。原則として会社と本人が半分ずつ負担します (子ども・子育て拠出金だけは会社のみ)。
2つの上限 — 573万円と150万円
標準賞与額には上限があり、超えた部分は保険料の計算対象になりません。
- 健康保険(子ども・子育て支援金を含む): 年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計573万円まで
- 厚生年金(子ども・子育て拠出金を含む): 1か月当たり150万円まで(同じ月に2回以上支給したときは合算して判定)
実額で見る — 上限を超えると保険料が増えなくなる
※この表の試算年度: 保険料は令和8年度の計算前提(所得税の試算ではありません)。
| 賞与の額 | 社会保険料の合計(会社+本人) | うち本人負担 |
|---|---|---|
| 100万円 | 約28.7万円 | 約14.2万円 |
| 150万円 | 約43.1万円 | 約21.3万円 |
| 200万円 | 約48.2万円 | 約23.8万円 |
| 300万円 | 約58.2万円 | 約28.8万円 |
同じ月の賞与の合計が150万円までは額に比例して増えますが、150万円を超えると厚生年金側(1か月当たり150万円で頭打ち)が増えなくなり、伸びが緩やかになります。
※計算図の税・保険料の基準(該当する項目): 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度。
同じ年収6,456,000円を2つの払い方で払った場合の、年間の社会保険料 (会社 + 本人の合計)
数字で見る — 税と法人税等まで含めた実質の差 (検算用)
| 項目 | 払い方A毎月均等 | 払い方B低い月給+賞与 | 差額B - A |
|---|---|---|---|
| 年間の報酬総額 | 6,456,000円 | 6,456,000円 | 同額 |
| うち 毎月の報酬 (12か月) | 538,000円 × 12 | 80,000円 × 12 | |
| うち 賞与 (年1回) | - | 5,496,000円 | |
| 社会保険料 (本人負担) | 916,106円 | 559,256円 | -356,850円 |
| 社会保険料 (会社負担) | 939,348円 | 568,458円 | -370,890円 |
| 社会保険料 合計 | 1,855,454円 | 1,127,714円 | -727,740円 |
| 所得税・住民税 (本人) | 523,200円 | 595,500円 | +72,300円 |
| 法人税等の増加 (会社) | - | 86,000円 | +86,000円 |
| 実質の負担 合計 | 2,378,654円 | 1,809,214円 | -569,440円 |
→ 表は横にスクロールできます
社会保険料だけを見ると 727,740円 減りますが、保険料が減った分だけ所得税・住民税と法人税等が増えます。会社と個人を合わせた実質の差は 569,440円 です。
この上限と事前確定届出給与の関係
上限があるため、同じ年収でも「低い月給+年1回の大きな賞与」という払い方にすると、上限を超えた部分に保険料がかからず、年間の社会保険料が下がる仕組みがあります。
役員がこの払い方をするには、事前確定届出給与として支給日と金額を事前に税務署へ届け出て、そのとおりに支給する必要があります。
まとめ — 仕組みを知ったうえで慎重に
賞与の保険料の上限は、知っているかどうかで年間の負担が大きく変わりうる仕組みです。同時に、将来の年金や手続きの要件など、確かめるべき点も多くあります。
まずは下のシミュレーションで数字を確かめてみてください。そのうえで、実行の際は必ず事前にご相談ください。
※本記事の金額は、40歳未満(介護保険なし)・東京都の令和8年度料率での概算です。40〜64歳は介護保険1.62%が加わります。
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