「賞与にも社会保険料はかかるのか」「大きな賞与だと保険料はどこまで増えるのか」という疑問に答える記事です。計算のもとになる標準賞与額の仕組みと、上限の効き方を実額で示します。

この記事の要点

  • 賞与の社会保険料は「標準賞与額」(税引き前の賞与から1,000円未満を切り捨てた額)に月給と同じ料率を掛けて計算する
  • 上限は健康保険が年度累計573万円、厚生年金が1回の賞与につき150万円
  • 上限を超えた部分に保険料はかからない。賞与200万円と300万円で厚生年金側の保険料は同じになる

賞与にも月給と同じ料率がかかる

社会保険料は毎月の給与だけでなく、賞与にもかかります。計算のもとになるのが標準賞与額で、税引き前の賞与から1,000円未満を切り捨てた額です。

これに月給と同じ料率(40歳未満の場合、健康保険側10.08%+厚生年金18.3%+子ども・子育て拠出金0.36%・会社と本人の合計)を掛けたものが、賞与の保険料です。

2つの上限 — 573万円と150万円

標準賞与額には上限があり、超えた部分は保険料の計算対象になりません。

実額で見る — 上限を超えると保険料が増えなくなる

年1回の賞与にかかる社会保険料(弊所試算・40歳未満・金額は年1回支給した場合の1年あたり)
賞与の額社会保険料の合計(会社+本人)うち本人負担
100万円約28.7万円約14.2万円
150万円約43.1万円約21.3万円
200万円約48.1万円約23.8万円
300万円約58.2万円約28.8万円

賞与150万円までは額に比例して増えますが、150万円を超えると厚生年金側(1回150万円で頭打ち)が増えなくなり、伸びが緩やかになります。

実際、賞与200万円でも300万円でも、厚生年金側の保険料は同じ約28.0万円です。増えるのは健康保険側だけになります。

社会保険料シミュレーションの画面。毎月均等に払う場合と、低い月給+年1回の賞与で払う場合の年間社会保険料を比較
社会保険料シミュレーションの画面。毎月均等に払う場合と、低い月給+年1回の賞与で払う場合の年間社会保険料を比較

この上限と事前確定届出給与の関係

上限があるため、同じ年収でも「低い月給+年1回の大きな賞与」という払い方にすると、上限を超えた部分に保険料がかからず、年間の社会保険料が下がる仕組みがあります。

役員がこの払い方をするには、事前確定届出給与として支給日と金額を事前に税務署へ届け出て、そのとおりに支給する必要があります。

一方で、標準報酬が下がる分、将来の厚生年金の受取額も下がります。届出の期日や金額どおりの支給といった要件も厳格で、資金繰りへの影響もあります。

まとめ — 仕組みを知ったうえで慎重に

賞与の保険料の上限は、知っているかどうかで年間の負担が大きく変わりうる仕組みです。同時に、将来の年金や手続きの要件など、確かめるべき点も多くあります。

シミュレーションで数字を確かめたうえで、実行の際は必ず事前にご相談ください。

※本記事の金額は、40歳未満(介護保険なし)・東京都の令和8年度料率での概算です。40〜64歳は介護保険1.62%が加わります。