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役員報酬100万円の手取りはいくらか — 社会保険料・税金の内訳と、会社負担を足した実額(令和8年度)

役員報酬を月100万円にしたとき、手元にいくら残るのか。社会保険料と所得税・住民税の内訳、会社負担を足した総額、月90万円・110万円との違いを弊所の試算で整理しました。

この記事の要点

  • 月100万円の手取りは月あたり約71.7万円(年8,601,696円)。額面の約72%
  • 天引きは年約339.8万円。内訳は社会保険料の本人負担・所得税・住民税で、この帯では税金のほうが社会保険料より大きい
  • 会社負担の社会保険料は年約133.4万円。会社が用意する総額は年約1,333.4万円

内訳 — 月100万円から何がいくら引かれるか

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額100万円の役員報酬の手取り(弊所試算・金額はすべて1年あたり)
項目金額(年額)
額面(年額・月100万円×12か月)12,000,000円
社会保険料の本人負担1,306,404円
所得税(復興特別所得税を含む)1,258,100円
住民税(市区町村が決める税額の見込み)833,800円
天引きの合計3,398,304円
手取り(年額)8,601,696円

月あたりに直すと、手取りは約71.7万円です。社会保険料の本人負担が月約10.9万円、所得税と住民税が合わせて月約17.4万円という構成で、低い報酬帯とは逆に、税金のほうが重くなります。

住民税は会社が計算する税ではなく、前年の所得をもとに市区町村が決めた税額を、6月から翌年5月まで毎月の報酬から天引きするもの(特別徴収)です(地方税法321条の3・321条の5)。表の金額は、その計算を先回りして示した弊所試算の見込み額です。

社会保険料 — 厚生年金は65万円で頭打ち、健康保険は98万円の等級

この水準では、厚生年金の保険料のもとになる標準報酬月額が、協会けんぽの保険料額表の上限である65万円(32等級)で頭打ちになります。健康保険の標準報酬月額は上限の139万円まで報酬に応じて上がるため(健康保険法40条)、健康保険料はまだ増えますが、厚生年金はこれ以上増えません。

標準報酬月額は、毎年7月1日の時点で4月から6月に受けた報酬の平均をもとに見直され、その年の9月から翌年8月まで使われます(健康保険法41条・厚生年金保険法21条)。月100万円は協会けんぽの保険料額表では98万円の等級(43等級)に当たり、この記事の健康保険料もこの98万円で計算しています。

本人負担の内訳は、健康保険9.85%に令和8年4月分からの子ども・子育て支援金0.23%を加えた率と、厚生年金18.3%(上限の65万円に対して)の半分ずつです。会社負担には同じ折半分に加えて、会社だけが払う子ども・子育て拠出金(厚生年金の標準報酬月額に0.36%)が上乗せされます(この記事の会社負担約133.4万円は、それを含めた額です)。

90万円・110万円と並べる

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額90万〜110万円の手取りと会社負担(弊所試算・金額はすべて1か月あたり・割合は額面に対する手取り)
額面(月額)社会保険料の本人負担(月額)所得税+住民税(月額)手取り(月額)手取りの割合社会保険料の会社負担(月額)
90万円約10.4万円約14.3万円約65.4万円72.6%約10.6万円
100万円約10.9万円約17.4万円約71.7万円71.7%約11.1万円
110万円約11.4万円約20.8万円約77.7万円70.7%約11.7万円

額面が10万円上がるごとに、手取りは約6.1万〜6.3万円ずつ増えます。増えた額面のうち4割近くが社会保険料と税金に回り、そのほとんどは税金です。

この帯の所得税は、課税所得812万円のうち695万円を超える部分に23%の税率がかかる段階にあります(所得税法89条)。

※表の月あたりの金額は、弊所試算の1年分を12か月で割った平均です。

会社の側から見る — 用意する総額は年約1,333.4万円

会社が用意するのは、額面1,200万円に会社負担の社会保険料約133.4万円を足した約1,333.4万円です。この総額以上の粗利が見込めるか、さらに会社に利益を残す余地があるかを先に確かめるようお勧めしています。

毎月同額で払う役員報酬(定期同額給与)は損金になるため(法人税法34条1項1号)、法人側の税金はその分減ります。ただし、職務の内容や同業同規模の会社の支給状況に照らして不相当に高額な部分は損金になりません(法人税法34条2項・法人税法施行令70条1号)。月100万円の帯では社長個人の所得税率が23%に達しているため、報酬を上げるか法人に利益を残すかを、個人の税率と法人税率を並べて決めるようお勧めしています。考え方は別の記事にまとめています。

報酬を高く設定しすぎると会社の資金繰りが苦しくなるので、この総額を年間の粗利の見込みと並べてから月額を決めるようお勧めしています。

手取りを増やす要素 — 所得控除と賞与の払い方

弊所試算の表の税金は、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除だけで計算しています。原則として、扶養控除やその年に払った生命保険料の控除、iDeCoや小規模企業共済の掛金控除がある方は、課税所得が減って手取りは表より増えます。

配偶者が実際に役員として働いているなら、報酬を2人で分けて世帯で見る設計もあり、別の記事にまとめています。

また、同じ年収1,200万円でも、毎月均等に払う形と、月給を抑えて年1回の賞与(事前確定届出給与)に寄せる形では、社会保険料の計算が変わります。賞与にも保険料はかかりますが、標準賞与額は健康保険が年度573万円・厚生年金が1か月150万円で頭打ちになります。届出をせずに払った役員の賞与は損金にならないため(法人税法34条1項2号)、仕組みと注意点をまとめた別の記事をあわせてご覧ください。

役員報酬は原則として事業年度の初めから3か月以内に決め、その後1年間は毎月同じ額を払います(法人税法施行令69条1項1号イ)。期の途中で下げてよいのは、業績の著しい悪化(業績悪化改定事由)や、役員の地位・職務内容の大きな変更(臨時改定事由)があるときです(法人税法施行令69条1項1号ロ・ハ)。こうした事情がないまま下げると、その年に払った報酬の一部が損金にならないことがあります(法人税法34条1項)。

まとめ — 額面100万円は「手取り71.7万円・会社の負担1,333万円」の設計

役員報酬100万円は、社長の手取りが月約71.7万円、会社が用意する額が年約1,333.4万円という設計です。この水準が会社の利益と生活の両方に見合うでしょうか。

下の手取りシミュレーションでは、月額を細かく動かしながら手取りと会社負担を並べて確かめられます。90万円・100万円・110万円と並べて、ご自身の年齢と数字で試してみましょう。

※本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満(介護保険なし)・所得控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみ・東京都の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。40〜64歳は介護保険料が加わり、手取りは少し減ります。

この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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