役員報酬70万円の手取りはいくらか — 社会保険料・税金の内訳と、会社負担を足した実額
役員報酬を月70万円にしたとき、手元にいくら残るのか。社会保険料と所得税・住民税の内訳、会社負担を足した総額、月60万円・80万円との違いを弊所の試算で整理しました。
この記事の要点
- 月70万円の手取りは月あたり約52.1万円(年6,253,692円)。額面の約74%
- 天引きは年約215万円。内訳は社会保険料の本人負担約114.3万円・所得税約51.2万円・住民税約49.1万円
- 会社負担の社会保険料は年約117.1万円。会社が用意する総額は年約957.1万円
内訳 — 月70万円から何がいくら引かれるか
※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。
| 項目 | 金額(年額) |
|---|---|
| 額面(年額) | 8,400,000円 |
| 社会保険料の本人負担 | 1,143,108円 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 512,200円 |
| 住民税 | 491,000円 |
| 天引きの合計 | 2,146,308円 |
| 手取り(年額) | 6,253,692円 |
月あたりに直すと、手取りは約52.1万円です。社会保険料の本人負担が月約9.5万円、所得税と住民税が合わせて月約8.4万円という構成になります。
社会保険料 — 厚生年金は月額65万円で頭打ち
月70万円では、厚生年金の保険料のもとになる標準報酬月額が上限の65万円に達します。健康保険の上限は139万円なので、健康保険はまだ報酬に比例して増えますが、厚生年金はこれ以上増えません。
本人負担の内訳は、健康保険9.85%に令和8年4月分からの子ども・子育て支援金0.23%を加えた率と、厚生年金18.3%の半分ずつです。会社負担には同じ折半分に加えて、会社だけが払う子ども・子育て拠出金(0.36%)が上乗せされます(この記事の会社負担約117.1万円は、それを含めた額です)。
このため、月60万円から70万円へ上げたときの社会保険料の増え方は、それ以下の帯より緩やかです。代わりに天引きの増加を担うのは所得税と住民税で、この帯の所得税は課税所得約465万円に20%の税率がかかる段階にあります。
なお、厚生年金の上限は2027年9月から段階的に引き上げられ、2029年9月に75万円になる予定です。月70万円はこの引き上げの影響を直接受ける水準で、2027年9月以降は厚生年金の保険料が増える一方、将来の年金額にもその分が反映されます。
60万円・80万円と並べる
※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。
| 額面(月額) | 社会保険料の本人負担(月額) | 所得税+住民税(月額) | 手取り(月額) | 手取りの割合 | 社会保険料の会社負担(月額) |
|---|---|---|---|---|---|
| 60万円 | 約8.4万円 | 約6.0万円 | 約45.7万円 | 76.1% | 約8.6万円 |
| 70万円 | 約9.5万円 | 約8.4万円 | 約52.1万円 | 74.4% | 約9.8万円 |
| 80万円 | 約9.9万円 | 約11.3万円 | 約58.7万円 | 73.4% | 約10.2万円 |
額面が10万円上がるごとに、手取りは約6.5万〜6.6万円ずつ増えます。増えた額面のうち3割強が社会保険料と税金に回る計算です。
※表の社会保険料と所得税・住民税は、1年分を12か月で割った月あたりの平均です。
会社の側から見る — 用意する総額は年約957.1万円
会社が用意するのは、額面840万円に会社負担の社会保険料約117.1万円を足した約957.1万円です。この報酬を出すには少なくとも同額以上の粗利が必要で、さらに会社に利益を残すなら上乗せが要ります。
役員報酬は損金になるため、法人側の税金はその分減ります。報酬を上げるか法人に利益を残すかは、社長個人の所得税率と法人税率の比較で決まる論点で、別の記事にまとめています。
手取りを増やす要素 — 所得控除と賞与の払い方
表の税金は、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除だけで計算しています。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除、iDeCoや小規模企業共済の掛金控除がある方は、課税所得が減って手取りは表より増えます。
また、同じ年収840万円でも、毎月均等に払う形と、月給を抑えて年1回の賞与(事前確定届出給与)に寄せる形では、社会保険料の計算が変わります。仕組みと注意点は別の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
まとめ — 額面70万円は「手取り52万円・会社の負担957万円」の設計
役員報酬70万円は、社長の手取りが月約52.1万円、会社が用意する額が年約957.1万円という設計です。この水準が会社の利益と生活の両方に見合うでしょうか。
下の手取りシミュレーションでは、月額を細かく動かしながら手取りと会社負担を並べて確かめられます。ご自身の数字で試してみてください。
※本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満(介護保険なし)・所得控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみ・東京都の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。40〜64歳は介護保険料が加わり、手取りは少し減ります。
この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。
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