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役員報酬70万円の手取りはいくらか — 社会保険料・税金の内訳と、会社負担を足した実額

役員報酬を月70万円にしたとき、手元にいくら残るのか。社会保険料と所得税・住民税の内訳、会社負担を足した総額、月60万円・80万円との違いを弊所の試算で整理しました。

この記事の要点

  • 月70万円の手取りは月あたり約52.1万円(年6,253,692円)。額面の約74%
  • 天引きは年約215万円。内訳は社会保険料の本人負担約114.3万円・所得税約51.2万円・住民税約49.1万円
  • 会社負担の社会保険料は年約117.1万円。会社が用意する総額は年約957.1万円

表の社会保険料と所得税・住民税は、年額を12か月で割った月あたりの平均です。 本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満・給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみ・東京都の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。介護保険の対象となる40〜64歳では介護保険料を含めます。年齢・加入資格がこの例と異なる場合は手取りと会社負担を比べ直します。

内訳 — 月70万円から何がいくら引かれるか

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額70万円の役員報酬の手取り(弊所試算・金額はすべて1年あたり)
項目金額(年額)
額面(年額)8,400,000円
社会保険料の本人負担1,143,108円
所得税(復興特別所得税を含む)512,200円
住民税491,000円
天引きの合計2,146,308円
手取り(年額)6,253,692円

※社長おひとり・40歳未満・協会けんぽ東京、令和8年度料率・令和8年分税制。給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を反映し、住民税はその所得に対応する翌年度の見込み額です。金額は年額です。

月あたりに直すと、手取りは約52.1万円です。社会保険料の本人負担が月約9.5万円、所得税と住民税が合わせて月約8.4万円という構成になります。

社会保険料 — 健保と厚年の等級と上限を分けて確認

月70万円では、健保の標準報酬月額は71万円です。厚年の標準報酬月額は上限の65万円に達しています。厚年側の保険料はこの上限で止まります。

※健康保険の上限は139万円で、報酬を健保の等級に当てはめて計算します。

本人負担の内訳は、健康保険9.85%に2026年4月分からの子ども・子育て支援金0.23%を加えた率と、厚生年金18.3%の50%ずつです。会社負担には同じ法定の負担分に加えて、会社だけが払う子ども・子育て拠出金(0.36%)が上乗せされます(この記事の会社負担約117.1万円は、それを含めた額です)。

社会保険料の増額は、健保と厚年それぞれの等級の差で決まります。課税所得464.6万円は、所得税率20%・速算控除42.8万円の段階です。復興特別所得税と端数処理を反映した所得税は表の額です

なお、厚生年金の上限は2027年9月から段階的に引き上げられ、2029年9月に75万円になる予定です。この月額の将来の保険料は、改正後の等級表で再確認します。上限の引き上げによって標準報酬月額が増える場合は、保険料と将来の年金額の計算の基礎が変わります。

60万円・80万円と並べる

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額60万〜80万円の手取りと会社負担(弊所試算・金額はすべて1か月あたり・割合は額面に対する手取り)
額面(月額)社会保険料の本人負担(月額)所得税+住民税(月額)手取り(月額)手取りの割合社会保険料の会社負担(月額)
60万円約8.4万円約6.0万円約45.7万円76.1%約8.6万円
70万円約9.5万円約8.4万円約52.1万円74.4%約9.8万円
80万円約9.9万円約11.3万円約58.7万円73.4%約10.2万円

※社長おひとり・40歳未満・協会けんぽ東京、令和8年度料率・令和8年分税制。給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を反映し、住民税はその所得に対応する翌年度の見込み額です。月額は年額を12で割った平均で実際の振込額とは異なる場合があります。

下の候補から今回の月額への額面の差は10万円、手取りの差は約6.5万円です。

今回の月額から上の候補への額面の差は10万円、手取りの差は約6.6万円です。

※表の社会保険料と所得税・住民税は、年額を12か月で割った月あたりの平均です。

会社の側から見る — 用意する総額は年約957.1万円

会社が用意するのは、額面840万円に会社負担の社会保険料約117.1万円を足した約957.1万円です。この報酬を出すには少なくとも同額以上の粗利が必要で、さらに会社に利益を残すなら上乗せが要ります。

役員報酬が定期同額給与等の要件を満たし、不相当に高額な部分でない場合は損金算入の対象です。法人の課税所得が減っても、赤字等の状況によっては当期の税額が同じ額だけ減るわけではありません。報酬を上げるか法人に利益を残すかは、社長個人の所得税率と法人税率の比較で決まる論点で、法人に利益を残す場合との比較にまとめています。

手取りを増やす要素 — 所得控除と賞与の払い方

表の税金は、給与所得控除後の所得から、社会保険料控除・基礎控除を引いて計算しています。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除、iDeCoや小規模企業共済の掛金控除は、それぞれの要件を満たす場合に反映します。給与所得控除後の本人の合計所得は646万円で、本人所得の上限内です。配偶者の所得等の他の要件を確認して控除を判断します。控除できても課税所得がすでにない場合は、その税金がさらに下がるわけではありません。

また、同じ年収840万円でも、毎月均等に払う形と、月給を抑えて年1回の賞与(事前確定届出給与)に寄せる形では、社会保険料の計算が変わります。仕組みと注意点は毎月払いと賞与払いの比較にまとめていますので、あわせてご覧ください。

払い方を決める前に、資金と手続きを3段階で確かめる

  1. 家計の生活費、会社の利益見込み、月別資金繰り表を用意し、月70万円と他の報酬候補について本人の手取りと会社が用意する額を書き出します。
  2. 候補ごとに毎月の生活費と会社の現預金が足りるかを比べます。賞与を組み合わせる案を検討する場合は、同じ年収総額で税・保険料を比べ、賞与までの生活費、支給日の資金、年金・給付への影響も別に確認します。
  3. 毎月均等の報酬を選ぶ場合は、月額と改定時期を決めます。賞与を組み合わせる候補を選ぶ場合は、決議日・職務執行開始日・決算期から届出期限を確かめ、決議・届出・支給・記録保存の予定を決めます。

まとめ — 額面70万円は「手取り月平均52万円・会社が用意する年額957万円」の設計

役員報酬70万円は、社長の手取りが月約52.1万円、会社が用意する額が年約957.1万円という設計です。この水準が会社の利益と生活の両方に見合うでしょうか。

手取りシミュレーションでは、月額を細かく動かしながら手取りと会社負担を並べて確かめられます。ご自身の数字で試してみてください。

※本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満・給与所得は給与所得控除後に計算し、所得控除は社会保険料控除・基礎控除のみ・東京都の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。介護保険の対象となる40〜64歳では介護保険料を含めます。年齢・加入資格がこの例と異なる場合は手取りと会社負担を比べ直します。

この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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