家賃収入の分は、給与より高い段の税率で課税されている
家賃収入1,500万円の見本(年間の差)
- 役員報酬0円86.5万円軽く
- 役員報酬月20万円41.9万円軽く
- 法人化で変わるのは、家賃収入にかかる税率が、給与と合算した所得税の高い段から、法人税等の率に置き換わることです。
- 役員報酬を受けなければ勤め先の社会保険はそのままなので、法人化で動くのは税だけです。
- 個人なら使えた給与との損益通算は、法人化後は使えません。
くわしく読む(税率の段・役員報酬0円・二以上事業所・損益通算・住民税)
所得税は、給与所得と不動産所得を合計した課税所得に、5%から45%までの7段階の税率がかかります(所得税法89条)。給与が先に低い段を使うため、家賃収入の分はその上の段、たとえば課税所得900万円を超える部分なら33%で課税されています。法人に移すと、この部分が法人税等の率に置き換わります。役員報酬を受けなければ勤め先の社会保険はそのままなので、法人化で動くのは税だけです。
役員報酬0円なら、法人の社会保険には入らない
厚生年金保険・健康保険の被保険者になるのは、法人から労務の対償として報酬を受けている役員です(日本年金機構 疑義照会回答)。そのため、役員報酬を受けない役員は法人の被保険者にならず、勤め先の健康保険・厚生年金のままだと考えています。法人の利益は法人に残り、法人税等がかかります(法人税法66条)。会社員の方が役員報酬0円を選ぶことが多いのは、このためだと考えています。
役員報酬を受けるなら、勤め先と法人の二以上事業所勤務になる
勤め先で社会保険に加入している方が、新しく作った法人からも役員報酬を受けると、複数の事業所で社会保険に加入することになり、主となる事業所を選ぶ「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を本人が提出します。標準報酬月額はそれぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額で決まり、保険料はその標準報酬月額に料率をかけ、それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づき按分します(日本年金機構・健康保険法44条3項・健康保険法施行令47条1項)。勤め先の給与明細の保険料も、合算の等級で計算し直されます。
個人なら使えた給与との損益通算は、法人化後は使えない
個人のままなら、不動産所得の赤字は給与所得など他の黒字の所得から差し引けます。ただし、土地を取得するために要した負債の利子に相当する部分の赤字は損益通算の対象になりません(国税庁タックスアンサー No.1391)。国外にある中古の建物で、耐用年数を簡便法で計算した減価償却費に相当する部分の赤字も、生じなかったものとみなされ、国内の不動産所得とも他の所得とも差し引けません(同)。法人に移した後の赤字は法人の欠損金になり、青色申告なら翌事業年度以後10年間の所得から差し引けますが、ご自身の給与とは通算できません(No.5762)。大規模修繕の年など赤字が見込まれる物件は、この点も入れて比べることをお勧めします。
給与以外の所得の住民税は、普通徴収を選べる
給与所得者に給与以外の所得があるときの住民税は、確定申告書に普通徴収を希望する旨の記載があれば、給与から天引きする特別徴収に合算されません(地方税法321条の3第2項)。副業や兼業の扱いは勤め先の就業規則で違うので、法人を作る前に確かめておきましょう。
出典: e-Gov 法令検索 所得税法 89条 / 地方税法 72条の2・72条の49の14・72条の49の17 / 法人税法 66条 / 租税特別措置法 42条の3の2 / 国税庁 タックスアンサー No.1370 不動産所得 / No.2072 青色申告特別控除 / No.5759 法人税の税率 / 所得税基本通達 26-9 / 東京都主税局 個人事業税 / 東京都主税局 法人事業税・法人都民税 / 地方税法 52条・312条 (法人の均等割)
出典: 日本年金機構 疑義照会回答 (厚生年金保険 適用) 被保険者資格取得届 整理番号1 法人の代表者の被保険者資格について / 日本年金機構 新たに設立したB法人事業所の社会保険の加入手続き (二以上事業所勤務) / e-Gov 法令検索 健康保険法 44条 / 健康保険法施行令 47条 / 地方税法 321条の3 / 国税庁 タックスアンサー No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算 / No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
