家賃収入があると国民健康保険料はいくら増えるか — 不動産所得100万円ごとに年約10.6万円、専業の大家と退職した方の実額(江東区・令和8年度)
家賃収入のある方が国民健康保険に入ると、保険料はどれだけ増えるのか。不動産所得が保険料に入る仕組みと、専業の大家・退職して家賃収入だけになった方の実額を、江東区の令和8年度の料率で整理します。
この記事の要点
- 国民健康保険の所得割は、不動産所得を含む総所得金額等から基礎控除を引いた額に料率を掛ける。不動産所得が100万円増えるごとに、保険料は年105,800円(40歳未満)・130,100円(40〜64歳)増える(弊所試算)
- 家賃収入500万円・経費3割の専業の大家(40〜64歳)は、弊所試算で年471,270円。60歳未満なら国民年金を足して年686,310円
- 退職した翌年度は、在職中の給与所得と家賃の所得の両方で計算される。家賃だけで計算されるのは、その次の年度から
まず結論 — 不動産所得100万円ごとに年105,800円(40歳未満)・130,100円(40〜64歳)増える
国民健康保険料の所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除を引いた「基礎控除後の総所得金額等」に料率を掛けて計算します(国民健康保険法施行令29条の7)。総所得金額等には、給与所得や事業所得と同じように不動産所得が入り、基礎控除は43万円です(地方税法314条の2第2項)。江東区の令和8年度の料率は、医療分・後期高齢者支援金分・子育て支援金分を合わせて10.58%で、40〜64歳はさらに介護分2.43%が加わります。
※この表の試算年度: 保険料は令和8年度の計算前提(所得税の試算ではありません)。
| 不動産所得(年額) | 40歳未満(年額) | 40〜64歳・介護分あり(年額) |
|---|---|---|
| 150万円 | 180,279円 | 224,080円 |
| 200万円 | 233,179円 | 289,130円 |
| 300万円 | 338,979円 | 419,230円 |
| 500万円 | 550,579円 | 679,430円 |
所得が100万円増えるごとに、保険料は年105,800円(40歳未満)・130,100円(40〜64歳)ずつ増え、均等割の部分は変わりません。
均等割の軽減(7割・5割・2割)は世帯の所得の合計で判定し、本人1人なら所得100万円以下が対象になるので、上の表は軽減のない帯だけを載せています。区分ごとに年間の限度額があり、所得が大きい方はそこで止まります(国民健康保険法施行令29条の7)。
専業の大家の実額 — 家賃収入500万円・経費150万円なら年471,270円(40〜64歳)
では、専業の大家の実額はいくらになるのでしょうか。家賃収入500万円・経費3割の専業の大家なら、青色申告特別控除10万円を引いた340万円が総所得金額等です(所得税法26条2項・租税特別措置法25条の2第1項)。
そこから基礎控除43万円を引いた297万円が賦課基準額で、区分ごとの内訳は次のとおりです。
※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。
| 区分 | 保険料(年額) |
|---|---|
| 医療分 | 270,647円 |
| 後期高齢者支援金分 | 100,760円 |
| 子育て支援金分 | 9,892円 |
| 介護分 | 89,971円 |
| 合計(40〜64歳) | 471,270円 |
40歳未満なら介護分がなく年381,299円です。国民年金の保険料は定額で年215,040円で、40〜59歳の専業の大家はこれも納めるので、社会保険の負担は年686,310円になります。納めた保険料は全額がその年の社会保険料控除になるので、確定申告で忘れずに引いてください(所得税法74条1項)。
退職して家賃収入だけになった方 — 退職した翌年度は在職中の給与も入り、その次の年度から家賃だけで計算
令和8年度の保険料は令和7年中の所得で決まるので、会社を辞めて国民健康保険に入った年度は、前年の給与、つまり在職中の所得で計算されます。退職した翌年度は、退職した年の給与所得と家賃の所得の両方が入ります。家賃の所得だけで計算されるのは、その次の年度からです。
保険料を減らすには — 所得控除では下がらず、経費と青色申告特別控除で下がる、法人の役員になれば国保を外れる
保険料のもとは基礎控除後の総所得金額等なので、小規模企業共済・iDeCo・生命保険料控除で所得税と住民税が下がっても、国民健康保険料は変わりません(国民健康保険法施行令29条の7)。下がるのは、経費の計上漏れを拾う、青色申告特別控除を受けるなど、不動産所得そのものを減らす形です。
もう1つは、家賃収入を法人に移して役員報酬を受け、法人の健康保険・厚生年金に入る形です。健康保険の被保険者になると国民健康保険の被保険者から外れ、保険料は役員報酬の額で決まるので、家賃の利益が増えても上がりません(国民健康保険法6条1号)。会社と本人の保険料、法人税等、法人の維持費まで含めて比べる必要があるので、このサイトの国保と社保の比較の記事と、不動産オーナーの資産管理会社の記事で見比べてみてください。
まとめ — 不動産所得100万円ごとに年約10.6万〜13万円、法人の役員になれば国保を外れる
家賃収入があると、国民健康保険料は不動産所得100万円ごとに年105,800円(40歳未満)・130,100円(40〜64歳)増えます。退職した翌年度は在職中の給与も入るので重くなり、家賃だけで計算されるのはその次の年度からです。ご自身の前年の所得で上の表のどの行にあたるかを見てみましょう。所得帯ごとの額は早見表に、計算の仕組みは江東区の計算方法の記事にまとめています。
※本記事の金額は、本人1人・東京都江東区の令和8年度の料率による概算です。料率・均等割・限度額は市区町村と年度で異なります。退職した方の例の給与所得は、令和7年分以後の給与所得控除によります。
この記事のテーマで使える道具・専門ページ
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