「国民健康保険料の上限が上がったと聞いたが、自分にはどう関係するのか」— 所得の多い個人事業主・フリーランスの方に向けて、令和8年度の上限(賦課限度額)の中身と、所得がいくらで上限に達するのかを、政令の数字と弊所の試算で整理しました。
「国民健康保険料の上限が上がったと聞いたが、自分にはどう関係するのか」— 所得の多い個人事業主・フリーランスの方に向けて、令和8年度の上限(賦課限度額)の中身と、所得がいくらで上限に達するのかを、政令の数字と弊所の試算で整理しました。
この記事の要点
国民健康保険料は、医療分(基礎賦課分)・後期高齢者支援金分・介護納付金分(40〜64歳)・子ども・子育て支援納付金分の4つの区分に分かれ、それぞれに政令で上限が決まっています(国民健康保険法施行令29条の7)。所得割と均等割を足した区分ごとの額がこの上限を超えると、超えた分は保険料になりません。
| 区分 | 令和7年度 | 令和8年度 | 動き |
|---|---|---|---|
| 医療分(基礎賦課分) | 66万円 | 67万円 | +1万円 |
| 後期高齢者支援金分 | 26万円 | 26万円 | 据え置き |
| 介護納付金分(40〜64歳) | 17万円 | 17万円 | 据え置き |
| 子ども・子育て支援納付金分 | なし | 3万円 | 新設 |
| 合計(40〜64歳) | 109万円 | 113万円 | +4万円 |
| 合計(40歳未満) | 92万円 | 96万円 | +4万円 |
厚生労働省の資料では、限度額を超える世帯の割合が医療分の基礎賦課分で1.7%を超えていたことから、中間所得層の負担に配慮して医療分を1万円引き上げるとされています。子ども・子育て支援納付金分は、令和8年度から始まった子ども・子育て支援金を国民健康保険でも集めるために新しくできた区分です。
所得割の率と均等割は市区町村ごとに違うため、上限に達する所得も市区町村で変わります。東京都江東区(23区は共通の料率)の令和8年度の料率で、加入者1人の世帯の国民健康保険料を所得別に並べました。ここでの所得は、収入から経費と青色申告特別控除を引いた後の金額です。
※この表の試算年度: 保険料は令和8年度の計算前提(所得税の試算ではありません)。
| 所得 | 40歳未満 | 40〜64歳(介護分あり) |
|---|---|---|
| 500万円 | 約55.1万円 | 約67.9万円 |
| 700万円 | 約76.2万円 | 約93.2万円 |
| 900万円 | 約95.3万円 | 約112.3万円 |
| 1,000万円 | 約95.8万円 | 約112.8万円 |
| 1,100万円 | 96万円 | 113万円 |
| 1,200万円 | 96万円 | 113万円 |
所得900万円でほぼ上限に近づき、1,100万円で4つの区分すべてが上限に達します。
それより所得が増えても、保険料は96万円(40〜64歳は113万円)のまま増えません。
国の資料でも、全国平均の料率で試算すると給与収入約1,170万円(給与所得約980万円)の単身世帯で医療分の限度額に達するとされています。
ご自身の所得は、上限の手前でしょうか。それとも超えているでしょうか。
上限に達している方にとって、今回の引き上げは年4万円の負担増です。上限に届いていない方には直接の影響はなく、料率の改定による増減だけを受けます。
一方で、上限の存在は法人化の損得にも関わります。個人事業のままなら国民健康保険の負担は上限で止まりますが、法人化して社会保険に入ると、健康保険の標準報酬月額の上限は139万円、厚生年金は65万円と別の物差しになり、会社負担も加わります。所得が上限を超える帯では、この違いが年間の負担差として現れます。なお、厚生年金の上限は2027年9月から段階的に引き上げられ、2029年9月に75万円になる予定です。
令和8年度の上限は40〜64歳で113万円、40歳未満で96万円です。ご自身の所得が上限の手前なのか超えているのかで、来年度の負担の見え方は変わります。お住まいの市区町村の料率で、一度確かめてみてください。法人化を考える段階なら、法人化シミュレーション(関連リンク)で国民健康保険と社会保険の負担を並べて試せます。
※本記事の保険料は、東京都江東区の令和8年度料率・加入者1人・国民年金を含まない国民健康保険料のみの概算です。均等割の軽減(7割・5割・2割)は反映していません。市区町村により料率と上限に達する所得は変わります。
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