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小規模企業共済はいくらもらえるか — 掛金月額別の受取額の目安と、掛金で軽くなる税金・受け取り時の税金を通しで見る早見表

コラム

「小規模企業共済に入ると、結局いくら受け取れるのか」— 掛金の節税効果は知られていても、出口の受取額は意外と知られていません。共済金の種類・納付年数ごとの受取額の目安・掛金で軽くなる税金・受け取るときの税金を、中小機構の公表値と弊所の試算で通しで整理しました。

この記事の要点

  • 受取額は請求の理由で4種類に分かれる。廃業や会社の解散なら共済金A、65歳以上の退任などは共済金B、65歳未満の退任は準共済金、自分の都合でやめると解約手当金
  • 掛金月1万円を20年納めた場合の目安は、共済金A 2,786,400円・共済金B 2,658,800円・準共済金 2,419,500円・解約手当金 2,400,000円(中小機構の公表例)
  • 事業所得600万円の個人事業主が月3万円を20年掛けると、掛金の節税は年約11万円、一括で受け取るときの税金は0円。通しの手残りは約296.8万円増える

受取額は「請求の理由」で4種類に分かれる

小規模企業共済は、個人事業主や小さな会社の役員が自分の退職金を積み立てる制度で、掛金は月1,000円から7万円まで500円刻みで選べます。受け取れる額は、掛金の額と納付月数のほかに、請求の理由で変わります。

共済金の種類と請求の理由(中小機構の区分)
種類主な請求の理由受取額の水準
共済金A個人事業の廃業、会社の解散最も多い
共済金B65歳以上での役員の退任、病気やけがによる退任、契約者の死亡共済金Aの次
準共済金65歳未満で病気・けが以外の理由による役員の退任掛金総額と同程度
解約手当金自分の都合による任意解約、掛金の滞納による機構解約納付月数により掛金総額の80%〜120%

共済金Aと共済金Bは6か月以上の納付で受け取れますが、準共済金と解約手当金は納付月数が12か月未満だと受け取れず、掛金は掛け捨てになります。なお、個人事業を同じ事業の会社にするために金銭以外の資産を出資して廃業した場合(現物出資による法人成り)は、共済金Aではなく解約手当金になります。

納付年数ごとの受取額 — 掛金月1万円の公表例

中小機構が公表している、掛金月額1万円のときの受取額の例です。基本共済金の額は小規模企業共済法施行令の別表で決まっており、これに毎年度定められる付加共済金が上乗せされます。ただし、解約手当金には付加共済金は上乗せされません。

掛金月額1万円のときの受取額の例(中小機構の公表値・付加共済金を含まない基本共済金)
納付期間(掛金総額)共済金A共済金B準共済金解約手当金
5年(60万円)621,400円614,600円600,000円480,000円
10年(120万円)1,290,600円1,260,800円1,200,000円1,020,000円
15年(180万円)2,011,000円1,940,400円1,800,000円1,665,000円
20年(240万円)2,786,400円2,658,800円2,419,500円2,400,000円

掛金月額を増やせば受取額も増えますが、途中で増額した分は増額前の掛金と分けてそれぞれの納付月数で計算して合計するため、単純に同じ倍率にはなりません。共済金Aなら20年で掛金総額の約1.16倍、共済金Bで約1.11倍です。解約手当金は20年(240か月)で掛金総額と同額になり、それより短いと元本を下回ります。

掛金で軽くなる税金 — 全額が所得控除になる

払った掛金は、その年の所得から全額を差し引けます(所得税法75条・小規模企業共済等掛金控除)。年の掛金の上限は84万円(月7万円)で、所得税と住民税の両方で控除されます。事業所得600万円の個人事業主(40歳未満)について、掛金月額ごとに20年間の通しの数字を並べました。

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

掛金月額ごとの節税額と20年後の受取額(弊所試算・事業所得600万円の個人事業主・共済金Bを一括で受け取る前提・掛金と受取額は20年間の累計、節税額は1年あたり)
掛金月額掛金の総額(20年間の累計)軽くなる所得税・住民税(年額)共済金Bの目安(20年間の累計)受け取り時の所得税・住民税(受け取る1年分)通しの手残り増(20年間の累計)
1万円240万円約3.6万円約265.9万円0円約98.9万円
3万円720万円約11.0万円約797.6万円0円約296.8万円
5万円1,200万円約18.0万円約1,329.4万円約43.5万円約446.3万円
7万円1,680万円約22.9万円約1,861.2万円約117.7万円約520.8万円

通しの手残り増は、受取額から受け取り時の税金と実質の負担(掛金から軽くなった税を引いた額)を引いたものです。掛金が大きいほど手残りは増えますが、月5万円以上では受け取り時に税金が生じ始めます。

受け取るときの税金 — 一括なら退職所得、分割なら公的年金と同じ扱い

共済金を一括で受け取ると退職所得として課税され、退職所得控除を引いた残りの2分の1に税率がかかります(所得税法30条)。退職所得控除は納付年数20年までは1年あたり40万円で、20年なら800万円です。

ただし、退職所得控除はその年に受け取る退職手当等の合計から1回だけ引きます(所得税法30条2項)。同じ年に会社の役員退職金など他の退職所得があると、控除の枠を分け合い、共済金にかかる税金が増えることがあります。

月5万円・7万円の例で税金が出るのは、受取額が退職所得控除を超えるためです。それでも2分の1課税のため、給与や事業所得として受け取る場合に比べて税負担はかなり軽くなります。

分割で受け取ると公的年金等の雑所得として扱われ、公的年金等控除を差し引いて計算します。ただし、分割受取りと一括・分割の併用は、共済金Aか共済金Bで、請求事由が生じた日に60歳以上(死亡を除く)という要件があります。さらに、共済金の額が分割なら300万円以上、併用なら330万円以上であることも必要です。

まとめ — 「いくらもらえるか」は掛金・年数・請求の理由で決まる

受取額は掛金総額の1.1倍前後が目安で、それに加えて積立期の節税が毎年積み上がります。手残りを大きくするには、任意解約を避けて共済金Aか共済金Bで受け取ること、退職所得控除の範囲を意識して掛金と受け取り方を設計することが要点です。下のシミュレーションでは、掛金・年数・受け取り方を変えて通しの数字をその場で確かめられます。あなたの掛金なら、20年後にいくら手元に残るでしょうか。

※本記事の弊所試算は、事業所得600万円・40歳未満・所得控除は基礎控除と社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除のみ・東京都(国保は江東区)の令和8年度料率・令和8年分の税制・共済金Bを一括で受け取る前提の概算です。受取額は基本共済金の額で、付加共済金は含みません。

この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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