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役員報酬30万円の手取りはいくらか — 社会保険料・税金の内訳と、会社負担を足した実額(令和8年度)

コラム

役員報酬を月30万円にしたとき、手元にいくら残るのか。社会保険料と所得税・住民税の内訳、会社負担を足した総額、月25万円・35万円との違いを弊所の試算で整理しました。

この記事の要点

  • 月30万円の手取りは月あたり約24.1万円(年2,891,460円)。額面の約80%
  • 天引きは年約70.9万円。内訳は社会保険料の本人負担・所得税・住民税で、いちばん大きいのは社会保険料
  • 会社負担の社会保険料は年約52.4万円。会社が用意する総額は年約412.4万円

内訳 — 月30万円から何がいくら引かれるか

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額30万円の役員報酬の手取り(弊所試算・金額はすべて1年あたり)
項目金額(年額)
額面(年額)3,600,000円
社会保険料の本人負担510,840円
所得税(復興特別所得税を含む)45,300円
住民税(市区町村が決める税額の見込み)152,400円
天引きの合計708,540円
手取り(年額)2,891,460円

月あたりに直すと、手取りは約24.1万円です。社会保険料の本人負担が月約4.3万円、所得税と住民税が合わせて月約1.6万円という構成になります。

住民税は会社が計算する税ではなく、前年の所得をもとに市区町村が決めた税額を、6月から翌年5月まで毎月の報酬から天引きするもの(特別徴収)です。表の金額は、その計算を先回りして示した見込み額です。

ただし、住民税の所得割は前年の所得に対してかかるため(地方税法32条1項)、前年に所得が無かった方は、その年度の住民税の天引きがありません。会社を設立した1年目で、前年に給与などの所得があった方は、会社の天引きが始まるまで自分で納めることがあります。

社会保険料 — 標準報酬月額は30万円の等級

月30万円は、協会けんぽの等級表で標準報酬月額30万円の等級に当たります(健康保険法40条・厚生年金保険法20条)。この標準報酬月額に、健康保険9.85%・子ども・子育て支援金0.23%・厚生年金18.3%の料率を掛け、本人と会社で半分ずつ負担します。

標準報酬月額は、毎年7月1日の時点で4月から6月に受けた報酬の平均をもとに見直され、その年の9月から翌年8月まで使われます(健康保険法41条・厚生年金保険法21条)。この見直しのための算定基礎届は、毎年7月1日から10日までに提出します。

25万円・35万円と並べる

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額25万〜35万円の手取りと会社負担(弊所試算・金額はすべて1か月あたり・割合は額面に対する手取り)
額面(月額)社会保険料の本人負担(月額)所得税+住民税(月額)手取り(月額)手取りの割合社会保険料の会社負担(月額)
25万円約3.5万円約1.2万円約20.2万円80.9%約3.6万円
30万円約4.3万円約1.6万円約24.1万円80.3%約4.4万円
35万円約5.0万円約2.1万円約27.9万円79.7%約5.1万円

額面を5万円上げたときの手取りの増え方は、下の帯で約3.9万円、上の帯で約3.8万円です(社会保険料は標準報酬月額の等級で決まるため、増え方は等級の境目で前後します)。この帯では手取りの割合は80%前後で、上げるほど少しずつ下がっていきます。

※表の社会保険料と所得税・住民税は、1年分を12か月で割った月あたりの平均です。

会社の側から見る — 用意する総額は年約412.4万円

会社が用意するのは、額面360万円に会社負担の社会保険料約52.4万円を足した約412.4万円です。この報酬を出すには少なくとも同額以上の粗利が必要で、さらに会社に利益を残すなら上乗せが要ります。

役員報酬は損金になるため、法人側の税金はその分減ります。報酬を抑えて法人に利益を残すと、その利益には法人税等がかかります。報酬を上げるか法人に利益を残すかは、社長個人の所得税率と法人税率の比較で決まる論点で、別の記事にまとめています。

月30万円という水準で見ておきたいこと

月30万円は、会社を作った直後や利益がまだ読めない時期に選ばれやすい水準です。手取りだけでなく、次の点も一緒に見ておくと判断がぶれません。

手取りを増やす要素 — 所得控除と賞与の払い

表の税金は、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除だけで計算しています。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除、iDeCoや小規模企業共済の掛金控除がある方は、課税所得が減って手取りは表より増えます。

同じ年収360万円でも、月給を抑えて年1回の賞与(事前確定届出給与)に寄せると社会保険料の計算が変わります。仕組みと注意点は別の記事にまとめています。役員報酬は原則として事業年度の初めから3か月以内に決め、その後1年間は毎月同じ額を払います(定期同額給与)。

まとめ — 額面30万円は「手取り24.1万円・会社の負担412万円」の設計

役員報酬30万円は、社長の手取りが月約24.1万円、会社が用意する額が年約412.4万円という設計です。この水準が会社の利益と生活の両方に見合うでしょうか。

下の手取りシミュレーションでは、月額を細かく動かしながら手取りと会社負担を並べて確かめられます。ご自身の年齢と数字で試してみてください。

※本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満(介護保険なし)・所得控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみ・協会けんぽ東京の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。40〜64歳の金額は介護保険料1.62%を加えた同条件の概算です。

この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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