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役員報酬30万円の手取りはいくらか — 社会保険料・税金の内訳と、会社負担を足した実額(令和8年度)

役員報酬を月30万円にしたとき、手元にいくら残るのか。社会保険料と所得税・住民税の内訳、会社負担を足した総額、月25万円・35万円との違いを弊所の試算で整理しました。

この記事の要点

  • 月30万円の手取りは月あたり約24.1万円(年2,891,560円)。額面の約80%
  • 天引きは年約70.8万円。内訳は社会保険料の本人負担・所得税・住民税で、この試算でいちばん大きいのは社会保険料
  • 会社負担の社会保険料は年約52.4万円。会社が用意する総額は年約412.4万円

表の社会保険料と所得税・住民税は、年額を12か月で割った月あたりの平均です。 本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満・給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみ・協会けんぽ東京の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。40〜64歳の金額は介護保険料1.62%を加えた同条件の概算です。

内訳 — 月30万円から何がいくら引かれるか

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額30万円の役員報酬の手取り(弊所試算・金額はすべて年額)
項目金額(年額)
額面(年額)3,600,000円
社会保険料の本人負担510,840円
所得税(復興特別所得税を含む)45,300円
住民税(市区町村が決める税額の見込み)152,300円
天引きの合計708,440円
手取り(年額)2,891,560円

※社長おひとり・40歳未満・協会けんぽ東京、令和8年度料率・令和8年分税制。給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を反映し、住民税はその所得に対応する翌年度の見込み額です。金額は年額です。

月あたりに直すと、手取りは約24.1万円です。社会保険料の本人負担が月約4.3万円、所得税と住民税が合わせて月約1.6万円という構成になります。

住民税は会社が計算する税ではなく、前年の所得をもとに市区町村が決めた税額を、6月から翌年5月まで毎月の報酬から天引きするもの(特別徴収)です。表の金額は、その計算を先回りして示した見込み額です。

ただし、住民税の所得割は前年の所得に対してかかるため(地方税法32条1項)、前年に所得が無かった方は、その年度の住民税の天引きがありません。会社を設立した年に、前年に給与などの所得があった方は、会社の天引きが始まるまで自分で納めることがあります。

社会保険料 — 健保と厚年それぞれの標準報酬月額で計算

月30万円は、健保の標準報酬月額30万円、厚年の標準報酬月額30万円に当たります(健康保険法40条・厚生年金保険法20条)。健保の額には健康保険9.85%・子ども・子育て支援金0.23%、厚年の額には厚生年金18.3%を掛け、本人と会社は原則としてそれぞれ50%ずつ負担します。

標準報酬月額は、原則、毎年7月1日の時点で4月から6月に受けた報酬の平均をもとに見直され、その年の9月から翌年8月まで使われます(健康保険法41条・厚生年金保険法21条)。算定に入れる月の支払基礎日数、資格取得・退職・随時改定による対象外の条件も確認します。算定基礎届は原則として毎年7月10日までに提出し、土日に当たる場合は翌営業日です。

25万円・35万円と並べる

※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。

月額25万〜35万円の手取りと会社負担(弊所試算・金額はすべて月平均・割合は額面に対する手取り)
額面(月額)社会保険料の本人負担(月額)所得税+住民税(月額)手取り(月額)手取りの割合社会保険料の会社負担(月額)
25万円約3.7万円約1.2万円約20.1万円80.4%約3.8万円
30万円約4.3万円約1.6万円約24.1万円80.3%約4.4万円
35万円約5.1万円約2.1万円約27.8万円79.3%約5.2万円

※社長おひとり・40歳未満・協会けんぽ東京、令和8年度料率・令和8年分税制。給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を反映し、住民税はその所得に対応する翌年度の見込み額です。月額は年額を12で割った平均で実際の振込額とは異なる場合があります。

隣り合う候補の額面の差は、下の帯が5万円、上の帯が5万円です。

手取りの差はそれぞれ約4.0万円と約3.7万円になります。社会保険料は標準報酬月額の等級で決まるため、増え方は等級の境目で前後します。

※表の社会保険料と所得税・住民税は、年額を12か月で割った月あたりの平均です。

会社の側から見る — 用意する総額は年約412.4万円

会社が用意するのは、額面360万円に会社負担の社会保険料約52.4万円を足した約412.4万円です。この報酬を出すには少なくとも同額以上の粗利が必要で、さらに会社に利益を残すなら上乗せが要ります。

役員報酬が定期同額給与などの損金算入の条件を満たす場合は、法人の課税所得を減らします。もともと課税所得がない場合などは、同額の減税が生じるわけではありません。報酬を抑えて法人に利益を残すと、その利益には法人税等がかかります。報酬を上げるか法人に利益を残すかは、社長個人の所得税率と法人税率の比較で決まる論点で、法人に利益を残す場合との比較にまとめています。

月30万円という水準で見ておきたいこと

ここでは月30万円の試算を扱います。会社を作った直後など利益がまだ読めない時期にも、手取りだけでなく、次の点も一緒に見ておくと判断がぶれません。

手取りを増やす要素 — 所得控除と賞与の払い方

表の税金は、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除だけで計算しています。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除、iDeCoや小規模企業共済の掛金控除がある方は、控除の要件と所得の額に応じて課税所得を減らせます。税額がすでにゼロなら追加の減税はなく、掛金の支出がある制度では税引き後の現預金も確認します。

同じ年収360万円でも、月給を抑えて年1回の賞与の例(事前確定届出給与)に寄せると社会保険料の計算が変わります。仕組みと注意点は、毎月払いと賞与払いの比較にまとめています。定期同額給与として損金にする通常の改定は、原則として会計期間の開始から3か月以内に行い、改定前後それぞれの支給期間では同じ額を払います。臨時改定事由、業績悪化改定事由による減額、期限延長指定などの例外は、役員報酬の変更時期で別に確認します。

まとめ — 額面30万円は「手取り24.1万円・会社の負担412万円」の設計

役員報酬30万円は、社長の手取りが月約24.1万円、会社が用意する額が年約412.4万円という設計です。この水準が会社の利益と生活の両方に見合うでしょうか。

手取りシミュレーションでは、月額を細かく動かしながら手取りと会社負担を並べて確かめられます。ご自身の年齢と数字で試してみてください。

※本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満・給与所得控除と、所得控除の社会保険料控除・基礎控除のみ・協会けんぽ東京の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。40〜64歳の金額は介護保険料1.62%を加えた同条件の概算です。

この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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