役員報酬の額面から手取りまで、何がどの順番で引かれるのか。月額30万円の例で、社会保険料・所得税・住民税を1行ずつ計算し、手取りシミュレーションの中身をそのまま見せます。
役員報酬の額面から手取りまで、何がどの順番で引かれるのか。月額30万円の例で、社会保険料・所得税・住民税を1行ずつ計算し、手取りシミュレーションの中身をそのまま見せます。
この記事の要点
会社が負担する社会保険料や法人税は、社長個人の手取りには関係しません。ただし会社のお金という意味では、額面とは別に会社負担分がかかります。
協会けんぽ(東京支部・令和8年度)の場合、健康保険9.85%・子ども・子育て支援金0.23%・厚生年金18.3%の合計28.38%を、会社と本人で半分ずつ負担します。本人負担は額面の14.19%です(40歳未満の場合。40〜64歳は介護保険1.62%の半分が加わります)。
月額30万円なら、本人負担は年間510,840円(月あたり42,570円)です。正確には報酬月額そのものではなく標準報酬月額の等級で決まるため、実際の額はこの概算と数百円ずれることがあります。
給与所得控除は年収に応じて決まる控除で、年収360万円なら116万円です(令和7年分以降の計算)。
基礎控除は88万円です(令和8年分・合計所得336万円以下の場合)。
| 項目 | 金額(年額) |
|---|---|
| 額面(年額) | 3,600,000円 |
| 給与所得控除 | 1,160,000円 |
| 社会保険料控除(=本人負担の社会保険料) | 510,840円 |
| 基礎控除(所得税) | 880,000円 |
| 課税所得(所得税・千円未満切捨て) | 1,049,000円 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 53,500円 |
| 住民税(所得割+均等割+森林環境税-調整控除) | 152,400円 |
| 天引きの合計 | 716,740円 |
| 手取り(年額) | 2,883,260円 |
所得税は課税所得1,049,000円に5%を掛け、復興特別所得税2.1%分を上乗せして53,500円です(百円未満切捨て)。
住民税は、会社が毎月の給与から計算する税ではありません。前年の所得をもとに市区町村が税額を決め、会社はその通知どおりに6月から翌年5月までの12回に分けて天引きします(特別徴収)。上の表の152,400円は、同じ年収が続いた場合に市区町村側でどう決まるかを先回りして示した見込み額です。
住民税の基礎控除は43万円と所得税より小さいため、課税所得は1,499,000円になります。これに10%の所得割と均等割・森林環境税を足し、調整控除を引いて152,400円です。
額面360万円から天引き716,740円を引いた手取りは2,883,260円です。
12で割ると月あたり約24万円で、額面に対する手取りの割合は約80%になります。
住民税は前年の所得に対して翌年6月から天引きされるため、就任1年目は住民税の分だけ手取りが多く見えます。2年目以降は上の表の形に落ち着くので、1年目の感覚で生活水準を決めないのが安全です。
所得税は課税所得が大きいほど高い税率(5%〜45%)がかかる累進課税です。社会保険料は額面にほぼ比例しますが、厚生年金は月額65万円で上限になります。このため、額面が上がるほど手取りの割合は下がり、月額100万円では約71.5%まで落ちます。
なお、厚生年金の上限は2027年9月から段階的に引き上げられ、2029年9月に75万円になる予定です。
上の表は、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除だけで税金を計算しています。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・小規模企業共済等掛金控除などがある方は、その分だけ課税所得が減り、手取りは表より増えます。iDeCoや小規模企業共済の掛金は全額が控除になるため、効き目が大きい部類です。
生活に必要な手取りから逆算すると、必要な額面が見えてきます。あなたの生活には、月いくらの手取りが必要でしょうか。下の手取りシミュレーションでは、月額を1万円単位で変えながら、この記事と同じ計算をその場で試せます。目標の手取りから必要な月額を逆算する機能もあるので、ぜひ試してみてください。
※本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満(介護保険なし)・所得控除は給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除のみ・東京都の令和8年度料率・令和8年分の税制での概算です。住民税は特別区の標準税率で計算しています。
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