令和8年分の確定申告で変わること — 基礎控除104万円・給与所得控除74万円・扶養の線62万円、生命保険料控除の特例と変わらないもの
2027年3月15日が期限の令和8年分の確定申告は、令和8年度の税制改正で所得控除の額がいくつか変わってから初めての申告です。個人事業主・副業の会社員の方が申告書を作る前に知っておきたい変更点と、変わらないものを整理します。
この記事の要点
- 基礎控除は最大104万円(合計所得金額489万円以下)。489万円超655万円以下は67万円、655万円超2,350万円以下は62万円で、令和7年分よりそれぞれ増える
- 給与所得控除の下限は65万円から74万円に、配偶者控除・扶養控除の所得要件は58万円から62万円に上がる。副業の会社員と、家族を扶養に入れられる線が動く
- 青色申告特別控除の65万円・住民税の基礎控除43万円・消費税の2割特例(令和8年分が最後)は変わらない
基礎控除は最大104万円 — 合計所得金額で3段階
令和8年分の所得税から、基礎控除の本則の額が58万円から62万円に上がりました(所得税法86条1項1号・令和8年12月1日施行の改正後)。この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。個人事業主の方は、2027年2月から3月に出す申告書で初めて新しい額を使います。
本則とは別に、令和8年分と令和9年分には上乗せがあります。
原則
合計所得金額が489万円以下の方は、本則に42万円を足した104万円が基礎控除の額です。
租税特別措置法41条の16の2第1項1号・令和8年12月1日施行の改正後
ただし
上乗せは居住者だけに適用されるので、令和8年を通じて非居住者の方は、上乗せの無い本則の額になります。
租税特別措置法41条の16の2第1項・令和8年12月1日施行の改正後
上乗せは合計所得金額で2段階に分かれ、令和7年分と並べると表のとおりです。
| 合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
※合計所得金額が2,350万円を超えると基礎控除は段階的に減り、2,500万円を超えると受けられません(所得税法86条1項・令和8年12月1日施行の改正後)。
※令和10年分以後は、上乗せが合計所得金額132万円以下の方の37万円だけになり、それ以外の方の基礎控除は62万円です(租税特別措置法41条の16の2第1項2号・令和8年12月1日施行の改正後)。
合計所得金額は、売上から経費を引き、青色申告の方はさらに青色申告特別控除を引いた後の金額です(所得税法27条2項・租税特別措置法25条の2)。489万円の線の近くにいる方は、どちらの額になるかで税額が変わるので、年内に一度締めて確かめてみてください。
給与所得控除の下限74万円と扶養の線62万円 — 副業と家族に関わる変更
給与所得控除の最低保障額は、令和8年分と令和9年分は74万円です(租税特別措置法29条の4第1項・令和8年12月1日施行の改正後)。給与の収入が220万円以下の方の控除額がこの額になり、収入が74万円に満たない方は収入金額までです(租税特別措置法29条の4第1項・令和8年12月1日施行の改正後)。
令和7年分は、収入190万円以下なら65万円で、それを超えると超えた部分の30%を65万円に足す計算でした。会社員で副業の事業所得や雑所得がある方は、給与所得が減る分だけ合計所得金額が下がります。
配偶者控除と扶養控除の対象になる同一生計配偶者・扶養親族の線も、合計所得金額58万円以下から62万円以下に上がりました(所得税法2条1項33号・34号・令和8年12月1日施行の改正後)。給与だけの家族なら、給与所得控除を引いて給与収入136万円以下が目安と考えています。家族に青色事業専従者給与を払っている方は、その家族はもともと対象外なので変わりません(所得税法2条1項33号・34号)。
19歳以上23歳未満の子は、扶養控除の線を超えても、合計所得金額123万円以下なら特定親族特別控除の対象です(所得税法84条の2第1項)。ただし、青色事業専従者として給与を受けている子や事業専従者に当たる子は、この控除も対象外です(所得税法84条の2第1項)。控除額は子の合計所得金額85万円以下で63万円、それを超えると段階的に減ります(所得税法84条の2第1項1号・2号)。
給与だけの子なら、給与所得控除74万円を引いて給与収入197万円以下が対象の目安と考えています。令和7年分の188万円から広がります。
23歳未満の子がいる方は生命保険料控除が増える — 令和8年分と令和9年分だけの特例
年齢23歳未満の扶養親族がいる方は、令和8年分と令和9年分に限り、新契約の一般の生命保険料の控除の上限が4万円から6万円に上がります(租税特別措置法41条の15の5第1項)。ここでいう扶養親族は合計所得金額62万円以下の親族で、特定親族特別控除だけの対象になる子は含みません(租税特別措置法41条の15の5第1項・所得税法2条1項34号)。
原則
23歳未満かどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。
租税特別措置法41条の15の5第2項
ただし
年の途中で申告する方が亡くなったり出国したりしたときはその時の現況で、その時までに扶養親族が亡くなっていたときは亡くなった時の現況で判定します。
租税特別措置法41条の15の5第2項
控除額は、年間の保険料が3万円以下なら全額、12万円を超えると6万円で頭打ちです(租税特別措置法41条の15の5第1項)。年末調整を受けない個人事業主の方は、確定申告書の生命保険料控除の欄にこの特例の額で書きます。
在宅ワークや外交員など家内労働者等の特例で必要経費の最低保障を使う方は、その額が65万円から69万円に上がります(租税特別措置法27条・令和8年12月1日施行の改正後)。給与がある方は、69万円から給与所得控除額を引いた残りが上限です(租税特別措置法27条・令和8年12月1日施行の改正後)。
変わらないもの — 青色申告特別控除・住民税の基礎控除・消費税の2割特例
変わる額が目立つ年ですが、個人事業主の税額に大きく関わる次の3つは変わりません。見落としやすいのは住民税で、所得税の基礎控除が上がっても住民税の基礎控除は43万円のままです(地方税法314条の2第2項)。
| 項目 | 令和8年分の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 令和8年分は65万円・55万円・10万円のまま。令和9年分からは55万円が無くなり、65万円は期限内のe-Tax送信が要件、所定の電子帳簿の保存を加えると75万円 | 租税特別措置法25条の2・令和9年1月1日施行の改正後 |
| 住民税の基礎控除 | 43万円のまま(合計所得金額2,400万円以下) | 地方税法314条の2第2項 |
| ひとり親控除 | 令和8年分は35万円のまま。38万円に上がるのは令和9年分から | 所得税法81条・令和9年1月1日施行の改正後 |
| 消費税の2割特例 | 期間を区切った経過措置のまま。令和9年分・令和10年分の個人事業主は3割特例 | 平成28年改正法附則51条の2・51条の3 |
申告の準備 — 期限は2027年3月15日、控除証明書は連携で取り込める
令和8年分の所得税の確定申告の期間は、2027年2月16日から3月15日までです(所得税法120条1項)。申告書を作るときは、改正後の額で計算した所得控除を書きます。手書きで作る方は、令和7年分の手引きの表を写さないように気をつけてみてください。
マイナンバーカードでe-Taxを使う方は、マイナポータル連携で生命保険料やiDeCoの控除証明書のデータを申告書に取り込めます。2026年8月25日からマイナポータルアプリが「マイナアプリ」に替わっているので、申告の前にアップデートと利用登録を済ませてみてください。
帳簿が1年分そろっていない方や、改正後の額で自分の税額を確かめたい方は、申告だけを税理士に頼むことも検討してみてください。弊所は個人の確定申告だけのご依頼も受けています。料金と受付の期限(申込は2月10日まで)は確定申告のページに載せています。
※令和8年分の改正は令和8年12月1日施行で、令和8年11月までの給与の源泉徴収は改正前のままです。会社員の方は、原則として12月の年末調整で精算されます。ただし、海外への転勤、死亡による退職、年末までに復職しない休職などで、令和8年分の最後の給与を11月30日以前に受けた方の年末調整には、改正後の控除が適用されません。改正後の控除を受けるには確定申告等が必要だと、国税庁のQ&A(令和8年5月)は案内しています。
出典
- 国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
- 国税庁 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)
- 国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1410 給与所得控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1177 特定親族特別控除
- 国税庁 令和8年分の確定申告はスマホとマイナポータル連携でもっと便利に
- e-Gov法令検索 所得税法2条(定義)・28条(給与所得)・86条(基礎控除)(令和8年12月1日施行の改正後)
- e-Gov法令検索 所得税法27条(事業所得)・76条(生命保険料控除)・81条(ひとり親控除)・84条の2(特定親族特別控除)・120条(確定所得申告)
- e-Gov法令検索 租税特別措置法27条(家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)・29条の4(給与所得控除の最低控除額等の特例)・41条の16の2(令和8年分以後の各年分の基礎控除等の特例)(令和8年12月1日施行の改正後)
- e-Gov法令検索 租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除)・41条の15の5(年齢二十三歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例)
- e-Gov法令検索 地方税法314条の2(所得控除)
- e-Gov法令検索 平成28年改正法附則51条の2(2割特例)・平成28年改正法附則51条の3(3割特例)
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