個人事業主の所得税はいくら — 所得別の早見表と、住民税・国保を足した実額
「個人事業主の所得税は、結局いくらかかるのか」— 利益の額ごとに知りたい方に向けて、令和8年分の税制で計算した所得税の早見表と、住民税・国民健康保険料・国民年金・個人事業税を足した実額を整理しました。計算の順序も、1行ずつ追えるように示します。
この記事の要点
- 所得税は利益500万円で年146,800円、800万円で年651,500円、1,000万円で年1,006,800円(青色申告特別控除65万円・基礎控除のみ・令和8年分)
- 所得税だけ見ると軽く見えるが、住民税・国保・国民年金・事業税を足すと、弊所試算で利益500万円で年約134.8万円、利益の約27%
- 課税所得は「利益−青色申告特別控除−社会保険料控除−基礎控除」。所得税の率は課税所得の段ごとに上がる
早見表 — 利益別の所得税(令和8年分・青色申告特別控除65万円・基礎控除のみ)
利益は売上から経費を引いた額で、青色申告特別控除を引く前の金額です。そこから青色申告特別控除65万円、社会保険料控除(国民健康保険料と国民年金の全額)、基礎控除を引いた残りが課税所得で、この課税所得に所得税の率がかかります。
※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。
| 利益(年額) | 課税所得(年額) | 基礎控除(年額) | 所得税(年額・復興特別所得税を含む) |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 0円 | 1,040,000円 | 0円 |
| 300万円 | 756,000円 | 1,040,000円 | 38,500円 |
| 400万円 | 1,584,000円 | 1,040,000円 | 80,800円 |
| 500万円 | 2,413,000円 | 1,040,000円 | 146,800円 |
| 600万円 | 3,611,000円 | 670,000円 | 300,800円 |
| 700万円 | 4,440,000円 | 670,000円 | 470,100円 |
| 800万円 | 5,328,000円 | 620,000円 | 651,500円 |
| 1,000万円 | 7,053,000円 | 620,000円 | 1,006,800円 |
弊所試算では、利益200万円は控除を引くと課税所得が0になり、所得税はかかりません。
利益が2倍になると、所得税は7倍近くになります(500万円と1,000万円の行を比べてみてください)。課税所得の段ごとに率が上がる仕組みだからです。
基礎控除の欄は、令和8年分の税制(引き上げ後)の額です。所得が増えると段階的に小さくなるので、利益600万円以上の行では控除が減っています。ご自身の利益は、どの行に近いでしょうか。
所得税だけでは足りない — 5つを足した実額
個人事業主の負担を、所得税のほかに住民税・国民健康保険料・国民年金・個人事業税を足した5つで見るようお伝えしています。同じ利益で5つを足すと、弊所試算では次のようになります。
※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。
| 利益(年額) | 所得税(年額) | 住民税(年額) | 国民健康保険料+国民年金(年額) | 個人事業税(年額) | 5つの合計(年額) |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 38,500円 | 139,000円 | 549,085円 | 4,762円 | 731,347円 |
| 500万円 | 146,800円 | 304,700円 | 796,895円 | 100,000円 | 1,348,395円 |
| 700万円 | 470,100円 | 470,500円 | 1,044,705円 | 195,238円 | 2,180,543円 |
| 1,000万円 | 1,006,800円 | 726,700円 | 1,337,977円 | 338,095円 | 3,409,573円 |
利益500万円では、所得税146,800円に対して合計は約134.8万円、利益の約27%です。所得税より住民税のほうが重く、国民健康保険と国民年金を合わせた額は所得税の5倍を超えます。
計算の順序 — 利益から所得税までの5つの手順
所得税の計算は、次の順序です。
所得税を出すまで
利益を出す
売上−経費。ここが早見表の「利益」
青色申告特別控除を引く
65万円(複式簿記・期限内申告に加えて、e-Taxでの申告か優良な電子帳簿の保存が条件)
社会保険料控除を引く
その年に払った国民健康保険料と国民年金の全額
基礎控除を引く
令和8年分の額。所得が増えると段階的に減る
税率を掛ける
課税所得の段ごとに5%〜45%。復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せ
青色申告特別控除は、原則として複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添えて期限内に申告した方が55万円です。さらにe-Taxで申告するか、優良な電子帳簿の要件を満たして届出書を出したうえで電子帳簿保存を行うと65万円になります。ただし、これらの要件を満たさない場合や、現金主義による所得計算の特例を選んでいる場合の控除は10万円で、所得税は表より多くなります。
引ける控除は、この3つだけではありません。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・小規模企業共済やiDeCoの掛金(小規模企業共済等掛金控除)などがある方は、課税所得がその分減り、所得税は表より少なくなります。
早見表の課税所得の欄と、ご自身の控除の合計を並べてみるようお勧めしています。控除が10万円増えるごとに、課税所得の段に応じた率(所得税5%〜45%と住民税10%)の分だけ税金が減ります。
利益が増えてきたら — 法人化との比べ方
利益が増えるほど所得税の率が上がるため、個人のままの負担率は利益300万円の約24%から、1,000万円の34.1%まで上がります。法人化すると税金の一部が率のほぼ一定な法人税等に置き換わり、国民健康保険が会社の社会保険に変わるとお伝えしています。
比べるときは、この記事の5つの合計と、法人化後の「法人税等+社会保険料(会社負担と本人負担)+社長個人の所得税・住民税」を同じ土俵に載せます。利益の目安と役員報酬の案で、その場で比べられるシミュレーションを別に用意しています。
※本記事の金額は、青色申告特別控除65万円・所得控除は社会保険料控除と基礎控除のみ・本人1人の国民健康保険加入・40〜64歳・東京都江東区の令和8年度の国民健康保険料率・個人事業税5%の業種・令和8年分の税制での概算です。40歳未満の方は国民健康保険料に介護分が無い分、合計が少なくなるとお伝えしています。
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