「利益が出そうだから役員報酬を上げたい」— 思い立ったときに変えられないのが役員報酬のルールです。この記事では、変更できるタイミングと、期中に動かすとどうなるかを整理します。

この記事の要点

  • 役員報酬は毎月同額(定期同額給与)が原則。守らないと差額が経費にならない
  • 変更できるのは原則、期首から3か月以内の改定だけ
  • 例外は役職変更などの臨時改定と、経営悪化時の減額の2つ

なぜ自由に変えられないのか

役員報酬は、毎月同じ額を払う「定期同額給与」でないと原則として経費(損金)になりません。

利益が見えてから報酬を増減して法人の利益を調整する、という操作を防ぐための仕組みです。

つまり役員報酬は「期首に1年分を決め切る」給与です。

原則 — 期首から3か月以内の改定

金額を変えられるのは、原則として事業年度開始の日から3か月を経過する日までの改定だけです。

3月決算なら4〜6月中、12月決算なら1〜3月中に、株主総会などで決議して変更します。

この期間を過ぎたら、次に動かせるのは原則として翌期の同じタイミングです。

例外は2つだけ

期中でも変更が認められる例外
例外内容増額/減額
臨時改定事由役職や職務内容の重大な変更(例: 社長への就任)どちらも可
業績悪化改定事由経営状況の著しい悪化減額のみ

「思ったより儲かったから増やしたい」は、どちらの例外にも当てはまりません。

一時的に資金繰りが苦しい程度では業績悪化と認められないことがあるため、減額でも慎重な判断が必要です。

ルールを外れるとどうなるか

期中に増額すると、増やした部分が経費にならず、法人税だけが増えます。

会社から現金は出ていくのに税金は減らない、いちばん損な形です。

だからこそ「決め切る」前の試算がすべて

弊所の試算では、売上2,200万円・経費1,200万円の会社で、報酬月額70万円と50万円では会社+社長の年間負担に約51.6万円の差が出ました(70万円: 約347.6万円/50万円: 約295.9万円)。

年に1回しか変えられないからこそ、期首の設計で1年分の差が確定します。

役員報酬シミュレーションの画面。月額70万円と50万円の場合の会社+社長の年間負担を並べて比較
役員報酬シミュレーションの画面。月額70万円と50万円の場合の会社+社長の年間負担を並べて比較

まとめ

役員報酬は「いつでも変えられない」給与だからこそ、決めるタイミングで数字を詰め切ることが大切です。

弊所では、決算の着地見込みとあわせて、翌期の報酬月額をいくらにするかの試算をサポートしています。

※本記事の金額は、39歳以下(介護保険非該当)・東京都の令和8年度料率での概算です。※改定期限には決算期や法人の状況による例外があります。個別の判断は事前にご相談ください。