節税の話は好きなのに、社会保険料は「決まりだから仕方ない」と思っていませんか。実は役員報酬にかかる負担では、税金より社会保険料のほうが重いことが珍しくありません。
この記事の要点
- 役員報酬には約3割の社会保険料がかかる(会社負担+本人負担の合計)
- 月70万円の報酬では、税金約101万円に対し社会保険料は約230万円と2倍超 (弊所試算)
- 税金と違い、社会保険料は「報酬の設計」で正面から調整できる
給与には約3割の保険料がかかっている
役員報酬(給与)にかかる社会保険料の料率は、健康保険9.85%+介護保険1.62%+子ども・子育て支援金0.23%+厚生年金18.3%+子ども・子育て拠出金0.36%。
合計すると約30.4%(40〜64歳・東京都・令和8年度)にもなります。40歳未満は介護保険を除いた約28.7%です。
半分は会社負担ですが、ひとり社長の場合は会社のお金も自分のお金ですから、実質はすべて自分の負担です。
税金より重い、という現実
役員報酬 月70万円(年840万円)のひとり社長で、税金と社会保険料を並べてみます。
| 負担の種類 | 年間の金額 |
|---|---|
| 所得税+住民税 | 約101.1万円 |
| 社会保険料(会社+本人) | 約230.2万円 |
税金の2倍以上を社会保険料が持っていく — これが「もう一つの税金」と呼ぶ理由です。
節税だけを考えて社会保険料を見ないと、全体の負担はほとんど軽くなりません。

税金と違い「設計」で動かせる
所得税は稼いだ結果に対して自動的に決まりますが、社会保険料は役員報酬の決め方そのもので変わります。
たとえば報酬を月70万円から50万円に見直すと、社会保険料は年約230.2万円から約172.4万円へ、約57.8万円下がります(弊所試算)。
さらに賞与の上限を使う「事前確定届出給与」という方法もあります(次回のコラムで詳しくご説明します)。
注意 — 安ければよいわけではない
社会保険料は将来の厚生年金額や、傷病手当金・出産手当金などの給付と表裏一体です。
保険料を下げるほど、これらの給付も薄くなります。
だからこそ「何を優先するか」を決めたうえで、税金と社会保険料をひとつの家計として設計することが大切です。
※本記事の金額は、社長おひとり・40歳未満(介護保険なし)・基礎控除のみ・東京都の令和8年度料率での概算です。40〜64歳は介護保険1.62%が加わります。