顧問料が高いと感じる本当の理由 — 金額でなく「約束と実態の差」
「月3万円は高いのか、安いのか」— 顧問料への疑問は、たいてい金額の比較から始まります。ところが不満の中身は金額そのものではなく、契約のときに思い描いた対応と実際の対応の差にある、という声が少なくありません。この記事では、その差がどこで生まれるかと、いまの契約で確かめる手順を整理します。
この記事の要点
- 「高い」の正体を金額より「約束と実態の差」と見ています。返事の速さ・含まれる業務・決算料の別請求・提案の有無の4点でずれる
- 月額ではなく、月額×12か月+決算申告料+スポット業務の年間の合計額で比べるようお勧めしています
- 変える前に、いまの契約書と実際の対応を4点で棚卸しするようお勧めしています。ずれが契約の書き方にあるなら相手に確かめ、伝えても変わらなければ変更を考える
「高い」の正体 — 金額より、期待していた対応との差
同じ月3万円でも、質問にその日のうちに返事が来て、決算の前に提案があれば「妥当」に感じます。返事が1週間来ず、決算のときに別の請求が届けば「高い」に変わります。金額は同じでも、受け取っている価値の感じ方が違うからです。
税理士の業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つと定められ(税理士法2条1項)、これに付随して財務書類の作成や記帳の代行などの財務に関する事務を行えます(税理士法2条2項)。顧問料がこのうち何を含むかは事務所ごとに違い、契約書に書かれていないことも珍しくないと見ています。
そのため「高い」と感じたときにまず見るのは、相場ではなく、自分が何を頼んだつもりで、実際に何をしてもらっているかです。ミスや修正申告のようなスキルの問題が原因のときは別で、それを金額の話ではなく変更の理由そのものと考えています。
| 感じる場面 | 見立て | 確かめること |
|---|---|---|
| 質問の返事が遅い | 対応の速さの約束が無いか、守られていないと見ます | 返事までの日数の目安が契約や案内にあるか |
| 決算のときに別の請求が来た | 月額に決算申告料が含まれていなかったと見ます | 契約書の料金の内訳。月額に何が含まれるか |
| 提案が無い | 顧問料の範囲が「申告」までで、相談や提案は別と考えられていると見ます | 面談の頻度と、相談できる範囲の取り決め |
| 記帳を自分でしているのに月額が変わらない | 記帳の分担が料金に反映されていないと見ます | 記帳込みか、自分で入力する前提かの区別 |
比べるなら「年間の合計額」— 月額だけでは比べられない
月額が安く見えても、月額とは別に決算申告料(月額の数か月分)がかかる事務所は多く、年末調整や届出が別料金のこともあるとお伝えしています。比べるときは月額×12か月+決算申告料+スポット業務の年間の合計額で見るようお勧めしています。
弊所の料金は、決算・申告料まで月額に含めた定額制で、別にかかるものは消費税の申告料(課税事業者の方だけ・年1回)とご依頼があった場合だけのスポット業務に限っています。金額の中身と相場の見方は、税理士費用のご案内にまとめています。
変える前に、いまの契約を4点で棚卸しする
いきなり事務所を変える前に、いまの契約と実際の対応を書き出してみましょう。
顧問料を見直す前の棚卸し
契約書を読み直す
月額に含まれる業務・決算申告料・スポット業務の記載を確かめる
実際の対応を書き出す
直近1年の質問の回数と返事までの日数、面談の回数、提案の有無
年間の合計を出す
月額×12か月+決算申告料+スポット業務。相場と比べるのはこの額
ずれを相手に確かめる
契約に書いてあるのに守られていないのか、そもそも契約に無いのかを分ける。不満をぶつける形にはしない
それでも合わなければ変更を考える
決算・申告をまたがない時期に、契約書の解約の条項を確かめてから、引き継ぎ資料をそろえて移る
棚卸しをすると、「高い」の多くは、実際の対応を書き出した段階と、ずれを相手に確かめた段階で正体が見えます。契約に書いてある対応が守られていないなら、原則として、まず相手に伝え、伝えても変わらないときに初めて変更を考えるようお勧めしています。ただし、不満をそのままぶつけると相手が不快に感じ、新しい税理士へ引き継ぐ書類の回収が難しくなるおそれがあります。伝えるときは契約の記載を確かめる形にとどめ、変更も視野にあるなら、引き継ぎに要る書類の控えを先に手元にそろえておきます。
変更を決めたら、原則として決算・申告をまたがない時期に移るようお勧めしています。ただし、契約書に解約できる時期が定められている場合、それ以外の時期に解約すると違約金が発生することがあるので、申し出る前に解約の条項を確かめるようお勧めしています。
頼み方で変わること — 記帳の分担と、相談の範囲
顧問料は頼む範囲のほか、売上の規模・従業員の人数・面談の頻度・作業の難しさで変わるとお伝えしています。中でも大きいのは記帳(会計システムへの入力)まで任せるのか、自分で入力して確認だけしてもらうのかで、事務所側の作業量が大きく違います。
自分で記帳する前提で月額を下げるなら、給与関係の仕訳(社会保険料の本人負担分の控除と源泉所得税の預り金の処理)まで正確にできていることを分かれ目と見ています。ここでつまずくと、結局は事務所側の直しが増え、月額を下げた意味が無くなります。自分で記帳して質問もほとんど無い方から、決算・申告だけを頼みたいというご相談もありますが、弊所は継続して見る顧問の形を基本にしていて、決算のみのご依頼は個別のお見積りです。
相談の範囲も決めておきます。法人化や役員報酬の試算のような判断の相談が顧問料に含まれるのか、別の相談として扱うのかで、「提案が無い」の感じ方が変わります。
まとめ — 高いか安いかは、約束と実態がそろって初めて決まる
顧問料が高いと感じたら、金額の前に、契約で約束された対応と実際の対応の差を4点で見ます。差が契約の書き方にあるなら書き足してもらい、守られていないなら伝え、それでも合わないなら変更を考える、という順番です。あなたの契約書には、返事の速さと含まれる業務が書いてあるでしょうか。
弊所では、契約の前に「ご質問には確認でき次第すぐに返信」「連絡手段はお好きなもので」「含まれる業務を先に明示」の3つをお約束しています。いまの契約を見直す材料として、税理士費用のご案内と、変更の手順の記事もあわせてご覧ください。
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