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確定申告を税理士に初めて頼むときに用意する資料 — 売上・経費・控除の3つの束、口座とカードの明細、前年の申告書の控えと開業届、渡す時期の目安と自分に残る作業

「確定申告を税理士に頼みたいけれど、何を渡せばよいのか分からない」という声は少なくありません。初めて頼むときに用意する資料を3つの束に分け、渡す時期の目安と、頼んだあとも自分に残る作業を整理します。

この記事の要点

  • 資料は「売上」「経費」「控除」の3つの束に分けて集めるのが基本です。帳簿が無くても、請求書の控え・領収書と口座・カードの明細があれば、税理士が1年分を組み立てられます
  • 控除の束は、国民年金・生命保険・地震保険・小規模企業共済やiDeCoの控除証明書と、寄附金の受領証です。令和8年分の申告(令和9年1月1日以後の提出)からは、寄附金以外の4つは証明書に代えて明細書を添付することもできます(所得税法120条6項)。医療費は、弊所では国税庁の医療費集計フォームに入力したファイルで受け取ります
  • 前年の申告書の控え(初めての年は開業届と青色申告承認申請書の控え)とマイナンバーの分かるものを添え、1月中に集め始めるのが目安です

まず結論 — 3つの束と、添える3点

初めて税理士に頼むときに渡す資料(個人事業主・令和8年分の例)
束入れるもの無いときの代わり
売上の束請求書・納品書の控え、レシートの控えや売上の帳簿、入金が分かる通帳やアプリの明細請求書を出していない売上は、取引の日付・相手先・金額が分かる記録を添えてください
経費の束領収書・レシート・請求書、口座振替やカード払いの分は1年分の明細、家賃など領収書の出ない支払いは契約書と通帳の記録領収書の無い交通費などは、日付・区間・金額・目的を書いた記録
控除の束国民年金・生命保険・地震保険・小規模企業共済やiDeCoの控除証明書、寄附金の受領証、医療費集計フォーム(病院・薬局ごとの金額を入力したもの)、国民健康保険料の納付額が分かる通知控除証明書を無くしたときは、発行元に再発行を頼む
添える3点前年の申告書の控え(初めての年は開業届と青色申告承認申請書の控え)、マイナンバーの分かるもの、還付金の振込先の口座前年の控えが無いときは、その旨を先に伝える
当てはまる方だけ年末の在庫の棚卸表、借入金の明細書、売掛金・買掛金の集計表、人を雇っている方は賃金台帳年末にまとめていないときは、その旨を先に伝えてください

帳簿を自分で付けていなくても、この3つの束と口座・カードの明細があれば、税理士が1年分の取引を組み立てて帳簿と申告書を作れます。税理士は申告書の作成だけでなく、会計帳簿の記帳の代行も業務として行えるからです(税理士法2条2項)。在庫や借入金、売掛金・買掛金がある方と人を雇っている方は、表の最後の行の資料も添えてください。

青色申告なら、原則として貸借対照表と損益計算書を申告書に添えます(所得税法149条)。ただし、簡易な記録の方法で帳簿を付けている青色申告の方は、貸借対照表を添えなくてかまいません(所得税法施行規則65条2項)。白色申告なら、総収入金額と必要経費の内容を書いた書類(収支内訳書)を添えます(所得税法120条8項)。青色申告承認申請書を出しているかどうかを、最初に伝えてください。

束のそろえ方 — 口座やカードの明細と突き合わせられる形で

売上は、請求書の控えと入金の記録を組みにして渡すことをお勧めします。請求書を出さない業種なら、レシートの控えや予約サイトの売上一覧、アプリの振込明細など、相手先・金額・日付が分かるものを探してみてください。報酬から源泉徴収されている方は、請求額と入金額の差から源泉徴収税額を拾うので、請求書の控えが集計の元になります。支払調書は支払った側が税務署へ出す書類で(所得税法225条1項)、手元に届かないこともあります。

経費は、領収書やレシートに加えて、口座振替やカード払いの分が漏れないよう1年分の明細をそろえておきましょう。家賃のように領収書が出ない支払いは、契約書と通帳の振替の記録を組みにして渡してください。事業と私用の両方に使う自宅の家賃・電気代・通信費・車は、事業に使う割合とその考え方を伝えてください。割合の考え方は家事按分の記事にまとめています。

控除の束 — 証明書が要るものと、金額が分かればよいもの

国民年金の保険料、小規模企業共済やiDeCoの掛金、生命保険料、地震保険料の控除は、令和8年分の申告(令和9年1月1日以後の提出)から、証明書の添付・提示に代えて、その内容を書いた明細書を添付することもできます(所得税法120条6項)。寄附金(ふるさと納税を含む)はこの4つに入っていないので、これまでどおり受領証などの証明書を添付するか提示します(所得税法120条6項)。

明細書にした場合も、税務署は申告期限の翌日から5年間、証明書を見せるよう求めることができるので、控除証明書は渡したあとも手元に残してください(所得税法120条7項)。国民健康保険料は証明書の添付が求められていないので、1年間に納めた額が分かる区からの通知や納付書の控えで足ります。

医療費控除は、領収書を添付する代わりに明細書を作って添付します(所得税法120条4項1号)。弊所では、病院・薬局ごとの金額を国税庁の医療費集計フォームに入力したファイルで受け取ります。領収書は、税務署から求められたときに見せられるよう、申告期限の翌日から5年間は手元に残します(所得税法120条5項)。健康保険から届く医療費通知があれば、その分は明細書の記載に代えられます(所得税法120条4項2号)。

配偶者控除・扶養控除を受ける家族は、申告書に氏名・生年月日・マイナンバーを書き、扶養親族は続柄も書くので、これらとその年の収入を伝えてください(所得税法施行規則47条3項20号・21号)。添付書類が求められるのは、国外に住む親族の分だけです(所得税法120条3項2号・3号)。

渡す時期の目安と、頼んだあとも自分に残る作業

初めて頼む年の進め方

  1. 12月〜1月

    頼む税理士を決め、3つの束の集め方を確かめましょう。前年の申告書の控えと開業届の控えは、先に渡しておくと安心です

  2. 1月

    売上と経費の束と、口座・カードの1年分の明細を渡しましょう。控除証明書は、届いた分から順に渡すのがお勧めです

  3. 2月

    税理士からの質問(私用の支出・按分の割合・年末の残高)に答え、申告書の下書きを確かめる

  4. 3月15日まで

    申告書を出し、振替納税にするかなど、納め方を決めておきましょう

弊所の受付の期限と料金は、確定申告のページに書いています。控除証明書は、届いた順に1つの封筒へ入れておきましょう。

税理士に頼んでも、自分に残る作業があります。
・事業用と私用の支出の線引きと、按分の割合の考え方を伝えること。使い方はご本人が一番よく知っているので、任せきりにしないようにしましょう
・控除証明書を集め、医療費は病院・薬局ごとの金額を集計フォームに入力すること。届いた証明書から早めに渡しましょう
・申告書の内容を確かめること。税理士が申告を代理するときは、その権限を証する書面(税務代理権限証書)を申告書と一緒に税務署へ出します(税理士法30条)
・所得税の納付と、そのあとに届く住民税・国民健康保険料・個人事業税の納付

まとめ — 束は3つ、添えるのは3点

初めて税理士に頼むときの資料は、売上・経費・控除の3つの束と、前年の申告書の控え(初めての年は開業届と青色申告承認申請書の控え)・マイナンバーの分かるもの・還付金の振込先の口座の3点です。申告書には本人のマイナンバーを書くので(国税通則法124条1項)、番号の分かるものだけは忘れずに用意してください。

集め方に迷う箇所は、無理に整理しないまま渡し、税理士の質問に答える形で進めてみてください。申告を頼む前に、ご自身の準備がどこまで進んでいるかを整理するには、弊所の個人事業主の決算・確定申告準備診断ツールをお勧めします。

※本記事は、個人事業主(事業所得)の方が令和8年分の所得税の確定申告を初めて税理士に頼む場合の例です。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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