個人事業主は、電話なしで税理士に記帳から申告まで頼めるか — チャットでの相談、資料の渡し方と、自分に残る作業
「打合せや作業の最中に電話が鳴ると、手が止まる」— そんな理由で、電話より文字で相談したい個人事業主・フリーランスの方に向けた記事です。電話を使わない形で記帳から確定申告まで税理士に頼めるのか、頼んだあとのやり取りが実際にどう進むのかを、弊所の進め方をもとに整理します。
この記事の要点
- 税理士は、税務代理・税務書類の作成・税務相談に加えて、税理士業務に付随して会計帳簿の記帳の代行も業として行える。記帳から申告までを同じ税理士に頼める(税理士法2条)
- 弊所では、ご質問はLINE・Chatwork・Google Chat・メールのいずれかで受け、遅くとも1営業日以内に返信する。お調べが必要な内容は、その旨と回答のめどを先に伝える
- 弊所に頼んでも、領収書の撮影と明細の用意・請求書の発行と入金の確認・口座連携の再認証・納税・帳簿の保存はご本人に残り、計算と書類は弊所に移る
まず結論 — 電話を使わなくても、記帳から申告まで成り立つ
税理士の仕事は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つです(税理士法2条1項)。税理士は、これに付随して、会計帳簿の記帳の代行も業として行えます(税理士法2条2項)。連絡の手段を電話にするか文字にするかは、頼める範囲とは別に、事務所ごとの進め方で決まると考えています。
弊所では、ご質問はLINE・Chatwork・Google Chat・メールのいずれかでお受けし、面談はGoogle Meetで行います。お電話でのご相談は、弊所では受けていません。やり取りが文字で残り、お互いの作業の手を止めずに済むためです。電話を使わない形でも、記帳・確定申告・ふだんのご相談まで、弊所は続けてお受けしています。
| 仕事 | やり取りの形 |
|---|---|
| ふだんの質問 | LINE・Chatwork・Google Chat・メールのいずれか。遅くとも1営業日以内に弊所が返信し、お調べが必要な内容はその旨と回答のめどを先に伝える |
| 資料の受け渡し | 預金・カードは会計ソフトの自動連携。連携できない口座の明細と撮影した領収書は、弊所がお渡しするGoogle ドライブの共有フォルダへ入れる |
| 数字の確認 | 決算の前に一度、弊所とGoogle Meetの画面共有で、その年の数字と納税額の見込みを一緒に確かめる。期の途中にも上半期の数字を固めて概算を見る機会がある |
| 申告・届出 | 弊所が電子申告で代理提出する。開業届・青色申告の承認申請・インボイスの登録申請も、弊所が作成して提出する |
| 納税 | 弊所が振替納税(口座自動引き落とし)を申請。確定申告分の所得税・消費税は通常の納期限の約1か月後に引き落とされ、ご本人は口座残高を確認するだけ |
| 契約 | 弊所とは電子契約で結ぶ。紙のやり取りは無い |
※一部のネット銀行など、振替納税を利用できない金融機関があります。
チャットで聞くときの出し方 — 日付・金額・相手・目的・写真の5つ
文字での相談が1往復で済むかどうかは、最初の質問に何が添えられているかで決まると見ています。弊所へのご質問では、次の5つを添えていただくようお願いしています。日付、金額、相手(取引先や支払先)、目的(何のための支出・入金か)、そして領収書や契約書の写真です。
| 質問 | 添えるもの | 返事の形 |
|---|---|---|
| カメラのレンズを買った。経費にできるか | 日付・金額・購入先・どの仕事で使うか・領収書の写真 | 弊所がその場で、経費に入れられるかと、帳簿への入れ方を返信する |
| 海外の会社から初めて入金があった。消費税はどうなるか | 入金日・金額・相手の国と会社名・契約や請求書の写し | 取引ごとに確かめる内容なので、弊所からその旨と回答のめどを先に返信し、確かめたうえで答える |
| 取引先からインボイスの登録番号を聞かれた | 相手の名前・いつまでに答える必要があるか・今年と前々年の売上の規模 | 弊所が、登録するかどうかの判断材料と、登録した場合の申告の方式の選び方を、順に返信する |
5つがそろっていれば、こちらから聞き返す往復が減ります。逆に「これって経費ですか」の一言だけだと、日付も金額も相手も分からず、確かめることから始まると見ています。ご自身がよく聞きたくなる場面を、この表に当てはめてみてください。
返事の見通し — その場で答えられる質問と、調べてから答える質問
質問には、その場で答えられるものと、調べてから答えるものがあります。経費になるかや帳簿の付け方のように、弊所がふだんの仕事で繰り返し判断しているものは、確認でき次第お返しします。海外の取引の消費税のように取引ごとに確かめるものや、過去の申告との整合を見るものは、その旨と回答のめどを先にお伝えしてから弊所が調べます。
弊所では、どちらの場合も遅くとも1営業日以内にご返信し、ご質問の回数に上限は設けていません。「返事が来ないまま数日たつ」が起きない形にしているのは、文字でのやり取りでは返事の見通しがいちばん大切だと考えているからです。
資料の渡し方 — 自動連携・共有フォルダ・撮影の3つ
資料は3つの流れに分かれます。預金とクレジットカードの明細は会計ソフトとの連携で自動で取り込み、連携できない口座の明細はCSVかPDFで、紙の領収書はスマートフォンで撮影して、弊所がGoogle ドライブに作る共有フォルダに入れていただきます。紙の原本を弊所にお送りいただく必要はありません。
弊所では紙の原本をお預かりせず、ご本人に保存していただいています。青色申告者は、帳簿と書類を住所地や事業所などの所在地に保存します(所得税法施行規則63条1項)。
電子取引の取引情報は、データで保存します(電子帳簿保存法7条)。保存の要件と受け渡しの細かな注意は、オンラインだけで税理士に頼むときの進め方の記事で確かめてみてください。
自分に残る作業 — 頼んだあとも、ご本人がすること
税理士に頼むと計算と書類は手から離れますが、資料を出すことと、お金そのものの動きはご本人に残ります。弊所の個人事業主の顧問契約での分担を、ご本人に残るものから並べます。
| 仕事 | 担当 | 中身 |
|---|---|---|
| 領収書と明細の用意 | ご本人 | 紙の領収書はスマートフォンで撮影し、連携できない口座の明細はCSVかPDFで、弊所がお渡しするGoogle ドライブの共有フォルダへ入れる。紙の原本は送らず、お手元で保存 |
| 請求書の発行と入金の確認 | ご本人 | 取引先への請求書はご本人が発行し、入金の確認もご本人が行う。弊所は請求書の作成を代行しない |
| 口座連携の再認証 | ご本人 | 銀行口座やクレジットカードの自動連携が切れたときの再認証(ログインのし直し)は、ご本人が行う。弊所が代わりにログインすることはない |
| 記帳 | 弊所 | 預金・カードの明細の取り込みと仕訳の登録は弊所が行う。ご自身で入力して弊所が確認する形も選べ、条件を満たせば月額を減額する |
| ふだんの質問 | ご本人が聞き、弊所が答える | LINE・Chatwork・Google Chat・メールのいずれかで、回数の上限なく受け、遅くとも1営業日以内に弊所が返信。お調べが必要な内容は、その旨と回答のめどを先に伝える |
| 納税額の見通し | 弊所 | 年の途中の数字から利益の着地を見込み、決算の前に一度、Google Meetの画面共有でその年の数字と納税額の見込みを一緒に確かめる |
| 届出 | 弊所 | 開業届・青色申告の承認申請・インボイスの登録申請は、作成から提出まで弊所が行う(月額に含む) |
| 確定申告 | 弊所 | 青色申告決算書(または収支内訳書)と所得税の確定申告書を作り、弊所が電子申告で代理提出する |
| 納税 | 弊所が申請、ご本人が残高確認 | 弊所が振替納税(口座自動引き落とし)を申請。確定申告分の所得税・消費税は通常の納期限の約1か月後に引き落とされ、ご本人は口座残高を確認するだけ |
| 帳簿と書類の保存 | ご本人 | 青色申告者は帳簿書類を住所地や事業所などの所在地に保存する(所得税法施行規則63条1項) |
表の右の列は弊所の今の進め方で、税理士事務所ごとに違います。ご本人に残るのは、資料を出す・請求して入金を確かめる・口座連携を保つ・質問する・納める・帳簿を保存する、の6つで、どれも電話がなくても済む作業だと見ています。ご自身の1か月の流れに当てはめて、続けられそうかを考えてみてください。
すでに自分で記帳している方が、任せる形に切り替えるとき
ご自身で契約したfreee・マネーフォワードに入力してきた方が記帳を任せる形に替えるとき、弊所では、弊所の契約へ移していただいています。記帳をお任せいただく方は弊所の契約の会計ソフトにご招待するので、会計システム代も原則かかりません。ご自身で入力を続けて弊所が確認する形を選ぶ場合は、ご自身の契約のままで、会計システム代はご自身のご契約分がかかります。
ご自身で続けるか任せるかの目安は、給与の仕訳(社会保険料の本人負担分の控除と源泉所得税の預り金の処理)まで正確にできているかだと考えています。人を雇っていない方でも、源泉徴収された売上の入金や、カードの明細と領収書の二重の計上で手が止まる方は、任せる形のほうが本業に時間を戻せると見ています。弊所の料金の主役は、記帳込みの月額です。
弊所では、年の途中からの切り替えもお受けしています。その年の1月からご契約までの記帳は、資料の量を見て弊所が個別にお見積りします。切り替えの前後で変わるのは、仕訳を入れる人(ご自身の入力から弊所の登録へ)と、資料の置き場が共有フォルダに1つになることの2つだと見ています。
契約の前に確かめる7つ — 電話を使わない形で頼むときの質問
契約の前に確かめること(弊所の答えを添えて)
返信の目安
質問への返事は何営業日か。弊所は確認でき次第、遅くとも1営業日以内に返信する
調べる質問の扱い
調べてから答える質問は、めどを先に教えてもらえるか。弊所はその旨と回答のめどを先に伝え、ふだんのご質問の回数に上限は無い
連絡の手段
電話が前提か、文字の手段を選べるか。弊所はLINE・Chatwork・Google Chat・メールのいずれかで、電話でのご相談は受けていない
資料の置き場
紙を送るのか、データで渡すのか。弊所はGoogle ドライブの共有フォルダと会計ソフトの自動連携で、紙の原本は送らない
面談の回数と方式
訪問や来所があるか、画面越しか。弊所は初回の無料相談(45分)と決算の前の画面共有をGoogle Meetで行い、期の途中にも概算を見る機会がある
月額に含まれるものと年間の総額
決算・申告料が月額に入っているか、消費税の申告料は別か。弊所は決算・申告料込みの月額で、消費税の申告料(課税事業者の方だけ・年1回)やご依頼があったスポット業務は別料金
窓口は本人か
担当者が替わるか。弊所の窓口はいつも代表税理士
向かない人 — 紙の資料が多い、現金の売上が多い、対面で話したい
電話を使わない形は、どなたにも合うわけではないと考えています。現金の売上や仕入が多く紙の資料が毎月大量に出る方、込み入った話は顔を合わせてしたい方、パソコンやスマートフォンの操作に不安がある方には、対面で相談できる事務所が合うと見ています。弊所は来所や訪問での対面を行っていないので、その場合は無理にお勧めしません。向く人と向かない人の分かれ目は、オンラインだけで税理士に頼むときの進め方の表にまとめています。
まとめ — 電話が無くても、頼める範囲は変わらない
記帳から確定申告まで税理士に頼めることは、連絡を電話にするか文字にするかで変わらないと考えています。決め手は、質問に何を添えるかの型を作れるか、返事の見通しが示されるか、資料をデータで出し続けられるかの3つだと見ています。ご自身の1か月の流れを思い浮かべて、どこで手が止まりそうかを考えてみてください。
Q. 調べてもらう質問は、追加料金になりますか
弊所では、ふだんのご質問は回数の上限なく月額の中でお受けし、お調べが必要なご質問も、その旨とめどを先にお伝えして同じようにお答えします。弊所では、料金表に載せた消費税の申告料(課税事業者の方だけ・年1回)やスポット業務を別料金でお受けしています。弊所では、料金表に無い業務をご依頼いただくときは、必ず事前にお見積りしてから着手します。
Q. 面談はどのくらいありますか
弊所で決まっている面談は、初回の無料相談(45分・Google Meet)と、決算の前に必ず1回、画面共有でその年の数字と納税額の見込みを一緒に見る時間です。期の途中にも、上半期の数字をいったん固めて概算を見る機会を設けています。それ以外のご相談は、チャットで随時お受けします。
弊所では、個人事業主・フリーランスの方の記帳・確定申告・ふだんのご相談を、月額(決算・申告料込み・月2.0万円から・税抜)で続けてお受けしています。ご質問はLINE・Chatwork・Google Chat・メールのいずれかで、遅くとも1営業日以内にご返信します。頼める範囲と年額の例は、個人事業主の税務顧問のページで確かめてみてください。連絡と対応の約束は事務所案内に、頼む範囲による年額の計算は料金の概算にまとめています。
出典
- e-Gov法令検索 税理士法2条(税理士の業務)
- e-Gov法令検索 所得税法148条(青色申告者の帳簿書類)
- e-Gov法令検索 所得税法施行規則63条(帳簿書類の整理保存)
- e-Gov法令検索 電子帳簿保存法7条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
- e-Gov法令検索 電子帳簿保存法施行規則2条・4条(電子取引データの保存要件と参照規定)
- 国税庁 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について
- 国税庁 タックスアンサー No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
- 国税庁 e-Tax 電子署名等の一部省略について(税理士による代理送信)
- 国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項「税金の納付」(振替納税の対象と振替日)
※本記事の例は架空のもので、連絡の手段・分担・料金は弊所の場合です。税理士事務所ごとに進め方は違います。
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