オンラインだけで税理士に頼むときの進め方 — 面談・資料の受け渡し・契約までの流れと向き不向き
「近くに事務所が無くても、オンラインだけで税理士に頼めるのか」— 遠方の方、日中に時間が取れない方に向けて、オンラインで税理士に頼むときに何をどこまで進められるのかを、弊所の進め方をもとに整理します。相談から契約までの流れと、向く人・向かない人の分かれ目も見ていきます。
この記事の要点
- 申告書の提出は税理士の電子署名だけで代理送信でき、本人の電子証明書もカードリーダーも要らない。届出・相談・資料の受け渡しもオンラインで完結する
- 流れは、無料相談の予約・面談での見積もり・電子契約・初回の打合せの4段階。弊所では初回の無料相談は30分のオンライン面談
- 向くのは、取引の多くが銀行とカードを通り、資料を写真やデータで渡せる方。現金の取引が多い、対面で話したい、パソコンやスマートフォンの操作に不安がある方は、対面で相談できる事務所が合うと見ています
まず結論 — 税理士の仕事は、オンラインで完結する
税理士の仕事は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つです(税理士法2条1項)。このどれも、法律が対面を求めているわけではなく、申告書などの税務書類は電子データで作ることも税理士業務に含まれます(税理士法2条1項2号)。
| 仕事 | オンラインでの形 |
|---|---|
| 申告書の提出 | 税理士がe-Taxで代理送信する。税理士の電子署名だけで送れ、本人の電子証明書やカードリーダーは要らない |
| 届出・申請 | 届出書・申請書も、税理士の電子署名だけでe-Taxで代理送信できる |
| 税務相談 | ふだんはチャットやメールで随時。弊所では決算の前に、画面共有で数字を一緒に見る時間を取る |
| 資料の受け渡し | 会計ソフトへの招待、銀行・カードの自動連携、弊所のGoogle ドライブの共有フォルダ。弊所ではこの3つを使い分ける |
| 契約 | 弊所とは電子契約で締結。契約書の写しはデータで双方が保管する |
弊所では、面談はGoogle Meet、記帳はfreeeかマネーフォワード、日々の連絡はLINEなどのチャットツールやメールで進めています。事務所に来ていただく場面は無く、東京東部以外の方も同じ形でお受けしています。ご自身の取引は、この表のどこで手が止まりそうでしょうか。
進め方 — 無料相談から、頼み始めるまでの4段階
オンラインで頼むときの流れ(弊所の場合)
無料相談を予約する
お問い合わせフォームの送信後の画面で、30分のオンライン面談(Google Meet)の日時をその場で選ぶ
面談で見積もりを受ける
記帳を任せたいか、売上の見込み、取引の数などを伺い、その場でお見積額をお伝えする
電子契約で締結する
頼む範囲と料金に納得いただけたら、電子契約で結ぶ。紙のやり取りは無い
初回の打合せで準備する
会計ソフトの準備、銀行・カードの連携、Google ドライブの共有フォルダの使い方など、資料の受け渡しの段取りをご案内する
相談だけで終えていただいても構いません。税務代理権限証書は、頼むと決めた時点ではなく、申告書を提出するときに弊所が作り、申告書と一緒にe-Taxで送ります。税理士が税務代理をするときは、その権限を証する書面を税務官公署に出すことになっているためです(税理士法30条)。
資料の受け渡し — 何をどう渡すか
オンラインで頼むときの資料は、次の3種類に分かれます。
| 資料 | 受け渡しの形 | 注意点 |
|---|---|---|
| 銀行・カード・電子マネーの明細 | 会計ソフトに口座を連携し、自動で取り込む | 連携できない口座は、明細のCSVやPDFを弊所のGoogle ドライブの共有フォルダに入れてください |
| 紙で受け取った領収書・請求書 | スマートフォンで撮って、弊所のGoogle ドライブの共有フォルダに入れる | 原本は手元に残す。要件を満たすスキャナ保存にしない限り、紙の保存が要る |
| メールやサイトで受け取った請求書・領収書(電子取引) | 受け取ったデータのまま、弊所のGoogle ドライブの共有フォルダに保存する | 印刷して紙だけで保存する形は認められない |
原則
所得税・法人税の帳簿や書類を保存する義務がある個人や法人(保存義務者)は、メールやウェブサイトで請求書・領収書を受け取るなどの電子取引をしたら、そのデータを財務省令の要件に沿って保存しなければなりません。
電子帳簿保存法7条
ただし
要件に沿って保存できなかったことに相当の理由があると税務署長が認め、調査のときにデータと出力した書面の提示・提出の求めに応じられるなら、要件に沿わなくてもデータを保存しておけば足ります。この扱いは、要件に沿って保存できなかったのがその理由によるときに限られます。
電子帳簿保存法施行規則4条3項
主な要件は、次の3つです(電子帳簿保存法施行規則2条・4条1項)。
- 改ざんを防ぐ措置をとる。タイムスタンプを付す、訂正・削除の記録が残るか訂正・削除ができないシステムを使う、訂正・削除を防ぐ事務処理の規程を定めて守る、のいずれか
- パソコンとディスプレイ・プリンタ、その操作説明書を備え、画面と書面にすぐ出せるようにしておく
- 取引年月日・取引金額・取引先で探せるようにしておく。基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の売上高が5,000万円以下で、調査のときにデータの提示・提出の求めに応じられるなら、この要件は要らない
弊所では、領収書の写真や電子取引のデータは、Google ドライブの共有フォルダに置く形にしています。1か所に集まっていれば、記帳のときも決算のときも、探す時間がかかりません。共有フォルダに置くだけで上の要件を満たすわけではないので、改ざんを防ぐ措置は、事務処理の規程を定めるなどして整えておきましょう。
向き不向き — オンラインが合う人、対面で相談したい人
| 向く人 | 対面で相談できる事務所が合う人 |
|---|---|
| 取引の多くが銀行・カードを通る | 現金の売上や仕入が多く、紙の資料が毎月大量に出るなら、対面で相談できる事務所が合うと考えています |
| 領収書を受け取った日に撮る習慣を作れる | パソコンやスマートフォンの操作に不安があり、画面共有で説明を受けるのが負担だと感じる方も、対面で相談できる事務所が無難です |
| チャットやメールで短くやり取りするのが苦にならない | 込み入った相談は顔を合わせて話したい方は、対面で相談できる事務所が合うと見ています |
| 遠方に住んでいる、日中は面談の時間が取れない | 相続や事業承継など、家族を交えて話す場面があるなら、対面で相談できる事務所をお勧めします |
弊所では、決算の前に必ず1回、画面共有で数字を一緒に見る時間を取っています。期の途中にも、たとえば上半期の数字をいったん固めて、利益や納税額の概算を見る機会を設けています。
まとめ — 「頼めるか」より「続くか」で決めましょう
オンラインだけで税理士に頼むことは、申告も届出も相談もできます。決め手は、資料をデータで渡し続けられるかと、連絡の形が自分に合うかの2つです。無料相談で、ご自身の取引の流れを一度話してみてください。
弊所がどんな事務所か、連絡と対応の約束は事務所案内に、頼む範囲による年間の料金は料金の概算にまとめています。
出典
※本記事の進め方・連絡の手段は弊所の場合で、税理士事務所ごとに違います。電子取引のデータ保存の要件は、国税庁の案内で最新の内容を確かめてください。
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