経営セーフティ共済を解約したあとの再加入 — 解約から2年間は掛金が損金にならない改正と、再加入までの段取り
「一度解約して、また入り直せば節税になると聞いたが、今もできるのか」— 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の解約と再加入を考えている方に向けて、令和6年10月からの2年間の決まりと、再加入の段取り、解約の時期の決め方を整理します。
この記事の要点
- 令和6年10月1日以後に解約すると、解約の日から2年を経過する日までの間に払う掛金は、損金にも必要経費にもならない(租税特別措置法66条の11第2項・28条2項)
- 再加入そのものは制限されない。解約手当金が振り込まれたあと(振込が無いときは機構の通知が届いたあと)に申し込める。ただし掛金の未払いで機構から解除された場合は、解除の日から1年は再加入できない
- 解約手当金は掛金の納付月数で率が決まり、12か月未満は0円、40か月以上で全額。掛金を損金にしていれば益金(個人は事業所得の収入)になるので、解約は2年の決まりと出口の税金をセットで決める
まず結論 — 再加入はできる。損金にならない2年間が付いた
経営セーフティ共済は、掛金の全額を損金(個人は必要経費)にできる制度です(租税特別措置法66条の11第1項・28条1項)。解約して解約手当金を受け取り、また加入して掛金を損金にする使い方は、令和6年度の税制改正で閉じられました。
この定めの対象は、令和6年10月1日以後の解約です。中小機構も、令和6年10月1日以降に解約して再加入する場合は、解約の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金を必要経費または損金の額に算入できない、と案内しています。
再加入の申込みそのものは、この改正で止められていません。中小機構の案内でも、共済法と施行令の変更ではないため、事務・手続きは変わっていません。変わったのは税法上の扱いで、解約の日から2年の間に支出する掛金が損金にならないという点だけです。
2年の決まりの中身 — 「解約の日から2年を経過する日」まで
原則
経営セーフティ共済の掛金は、払った事業年度の損金(個人は必要経費)になり、損金にするには申告書に明細書を添えます。
租税特別措置法66条の11第1項2号・3項
ただし
令和6年10月1日以後に共済契約を解除し、再び共済契約を結んだ場合、その解除の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金には、この損金算入の定めは適用されません。
租税特別措置法66条の11第2項
個人事業主の必要経費についても同じ定めがあり、解除の日から2年を経過する日までに支出する掛金は必要経費になりません。
租税特別措置法28条2項
2年の起点は「解約の日」で、再加入の日ではありません。解約から1年後に再加入すれば、損金にならない期間は再加入から残り1年です。
解約手当金 — 12か月未満は0円、40か月以上で全額
解約したときに戻る解約手当金は、掛金の納付月数と解約の種類で率が決まります。
| 掛金の納付月数 | 任意解約 |
|---|---|
| 1〜11か月 | 0% |
| 12〜23か月 | 80% |
| 24〜29か月 | 85% |
| 30〜35か月 | 90% |
| 36〜39か月 | 95% |
| 40か月以上 | 100% |
表は、自分の都合でやめる任意解約の率です。掛金の未払いなどで中小機構から解除される機構解約は、12か月以上なら同じ月数でも任意解約より率が低くなります。40か月未満で任意解約すると、掛金より少ない額しか戻りません。
再加入の段取り — 振込か通知のあとに申し込む
解約から再加入まで
解約の申出
解約手当金請求書を中小機構へ出す。各種の手続きは毎月5日が締切で、前納した掛金のうち充当前の分は返金される
解約手当金の入金
指定の口座に振り込まれる。掛金を損金にしていれば益金(個人は事業所得の収入)になる
再加入の申込み
振込日以降(振込が無いときは機構の通知の到達日以降)、加入の条件を満たしていれば新たに申し込める。機構解約だった場合は、解除の日から1年以上たっていることが条件
2年を待つ
解約の日から2年を経過する日までの掛金は損金にならない。加入から6か月間は共済金の貸付けも受けられない
再加入しても、解約の日から2年を経過する日までは掛金が損金にならず、共済金の貸付けも加入から6か月は受けられません。それでも再加入する意味があるのは、取引先の倒産に備える保障(共済金の貸付け)を早く戻したい場合だと考えています。
経営セーフティ共済の掛金は月5,000円から20万円の範囲で5,000円単位で選べます。
積み立ての上限は800万円で、各種の手続きは毎月5日が締切、口座振替は毎月27日です。再加入のときも、この枠の中で掛金を決め直してみてください。
まとめ — 解約の日から2年の掛金は損金にならない。決めるのは出口の税金
令和6年10月1日以後の解約では、解約の日から2年間の掛金が損金になりません。再加入はできますが、節税の道具としての解約・再加入は成り立たなくなりました。解約するなら、40か月に達しているか、解約手当金で増える利益と税金がどうかを先に見て、再加入の予定は保障を戻す目的で決めてみてください。
解約と再加入のどちらが有利かは、掛金の月数・その期の利益・再加入の目的で変わります。弊所では、解約手当金の入る期と2年の期間を年表にして、掛金の総額と税金の増減を一緒に確かめています。
出典
※本記事は令和8年4月1日現在の法令等と、2026年9月時点の中小機構の案内によります。解約手当金の率と掛金の条件は中小機構の最新の案内で確かめてください。
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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。