「そろそろ経営セーフティ共済を解約したいが、いくら戻って、税金はどうなるのか」— 掛金が上限に達した方や、資金が必要になった方からよく受ける質問です。解約手当金の額は納付月数で決まり、受け取った年には掛金のときと逆向きの税金がかかります。戻る額の決まりと、出口で起きることを実額で整理しました。
「そろそろ経営セーフティ共済を解約したいが、いくら戻って、税金はどうなるのか」— 掛金が上限に達した方や、資金が必要になった方からよく受ける質問です。解約手当金の額は納付月数で決まり、受け取った年には掛金のときと逆向きの税金がかかります。戻る額の決まりと、出口で起きることを実額で整理しました。
この記事の要点
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産に備える掛金を積み立てる制度で、掛金は月5,000円から20万円まで、総額800万円が上限です。解約すると、掛金の納付月数に応じた支給率を掛金総額に掛けた解約手当金を受け取ります。支給率は、自分の都合でやめる任意解約・法人の解散などによるみなし解約・掛金の滞納などによる機構解約で異なります。
| 掛金の納付月数 | 任意解約 | みなし解約 | 機構解約 |
|---|---|---|---|
| 1〜11か月 | 0% | 0% | 0% |
| 12〜23か月 | 80% | 85% | 75% |
| 24〜29か月 | 85% | 90% | 80% |
| 30〜35か月 | 90% | 95% | 85% |
| 36〜39か月 | 95% | 100% | 90% |
| 40か月以上 | 100% | 100% | 95% |
任意解約で掛金が全額戻るのは、納付が40か月に達してからです。12か月未満で解約すると1円も戻りません。
課税所得500万円の法人が月20万円を掛け、任意解約したときの戻り額を納付月数ごとに並べました。
| 納付月数 | 掛金総額(月額20万円で納めた累計) | 解約手当金(月額20万円の場合) | 戻らない額(月額20万円の場合) |
|---|---|---|---|
| 11か月 | 220万円 | 0円 | 220万円 |
| 12か月 | 240万円 | 192万円 | 48万円 |
| 24か月 | 480万円 | 408万円 | 72万円 |
| 36か月 | 720万円 | 684万円 | 36万円 |
| 40か月 | 800万円 | 800万円 | 0円 |
月20万円の場合、40か月で掛金の上限800万円にちょうど達します。上限に達したあとは掛金を払えないので、40か月以降はいつ解約しても800万円のままです。あなたの掛金なら、40か月に達するのはいつでしょうか。
取引先が倒産して共済金の貸付を受けると、その共済金は無利子・無担保で借りられます(中小企業倒産防止共済法10条)。その代わり、解約手当金の額を計算するときの「掛金総額」は、納めた掛金の合計額から、貸付を受けた共済金の額の10分の1に相当する額を差し引いた額になります(同法11条4項)。掛金そのものが無くなるわけではなく、解約手当金の計算のもとになる金額が、借りた額の1割分だけ小さくなるという意味です。
同じように、共済金や一時貸付金の返済を怠って、納めた掛金が償還や違約金の納付に充てられた額も掛金総額から差し引かれます(同法11条4項)。
掛金は、法人なら損金(租税特別措置法66条の11)、個人事業主なら必要経費(租税特別措置法28条)に算入できます。法人は、掛金の明細書(別表十(八))と適用額明細書を申告書に添付することが条件です。その裏返しで、解約手当金は受け取った年の益金(個人は事業所得の収入金額)になります。
課税所得500万円の法人が月20万円を40か月掛けて解約した例では、積立期に軽くなった法人税等の合計と、解約した年に増える法人税等はこうなります。
※この表の試算年度: 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度の計算前提(個人の住民税のうち給与・事業所得分は翌年度の見込み額)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 掛金の総額(=解約手当金) | 800万円 |
| 積立期に軽くなった法人税等の合計 | 約177.8万円 |
| 解約した年に増える法人税等 | 約237.4万円 |
| 解約手当金から増える税を引いた手残り | 約562.6万円 |
積立期は毎年240万円ずつ損金にして低い税率の段で軽くなりますが、解約した年は800万円がまとめて益金になり、高い税率の段まで使うため、増える税のほうが大きくなっています。通しで見ると約59.7万円の負担増です。解約する年に大きな損失や退職金の支払いがあれば、益金と相殺されてこの差は小さくなります。
令和6年10月1日以後に共済契約を解約し、再び契約する場合、解約の日から2年を経過する日までに支出する掛金は損金にも必要経費にも算入できません。解約と再加入を繰り返して益金と損金を作る使い方は、この改正で閉じられました。解約の時期は、再加入の予定まで含めて決めることになります。
解約手当金の額は納付月数で決まり、40か月に達すれば全額戻ります。手残りを左右するのは、その受け取りをどの年に置くかです。損失や退職金と同じ年に受け取る、掛金を減額して上限に達する時期をずらす、といった設計で税の段差は小さくできます。掛金の額・納付月数・解約する年の利益を入れて、下のシミュレーションで通しの数字を確かめてみてください。実行の際は、解約の時期と申告書の添付書類まで含めて、必ず事前にご相談ください。
※本記事の金額は、課税所得500万円の法人(均等割7万円を含む法人税・地方法人税・法人の都道府県民税と市区町村民税・法人事業税を弊所の実効税率で計算)・掛金月20万円・任意解約の前提での概算です。前提が変わると金額も変わります。
この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。
経営セーフティ共済シミュレーションで実際にあなたの数字で試す→この記事の内容、私の場合は? — 普段お使いの AI に相談
押すと、この記事の要点が質問文になって、選んだ AI に渡ります。
Gemini など、ほかの AI に貼り付けて使えます
AI によってはそのまま回答が始まります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。
※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
無料相談の中で、売上と利益を伺いながら概算の試算をその場でお出しできます。数字を見てから、ゆっくりご検討ください。
普段お使いの AI に相談
1. 相談したいことを選ぶ
2. 相談する AI を選ぶ
用意した質問文がそのまま渡ります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。