法人が赤字のときの税金 — 均等割と欠損金の繰越を整理
「赤字なら法人に税金はかからない」と思われがちですが、正確には半分だけ正解です。この記事では、赤字の年にもかかる税金と、赤字を将来の節税に変える欠損金の繰越控除を整理します。
この記事の要点
- 法人税・法人事業税はかからないが、法人住民税の均等割(年7万円ほど)は赤字でもかかる
- 青色申告の法人は、赤字(欠損金)を翌期以降10年間繰り越して黒字と相殺できる
- 繰越の条件は「欠損金が生じた期に青色申告」+「その後も連続して確定申告」
赤字でもかかる税金 — 均等割
法人税と法人事業税は利益(所得)にかかる税金なので、赤字の年はかかりません。
一方、法人住民税の均等割は資本金などに応じた定額の税金で、赤字でも年7万円ほどかかります。売上がゼロの年も同じです。
赤字は捨てずに繰り越せる — 欠損金の繰越控除
青色申告書を提出した事業年度に生じた赤字(欠損金)は、翌期以降の黒字と相殺して法人税を減らせます。繰り越せる期間は10年間です(平成30年4月1日より前に開始した事業年度分は9年間)。
複数年の欠損金があるときは、最も古い年度分から順に控除します。
繰越の条件 — 青色申告と「連続して申告」
欠損金の繰越控除を受けられるのは、次の両方を満たす法人です。
- 欠損金が生じた事業年度に、青色申告書で確定申告をしている
- その後の各事業年度も、連続して確定申告書を提出している
なお、資本金1億円以下の中小法人などは繰越控除前の所得の全額まで控除できます(大法人には所得の5割までの制限があります)。
前期が黒字だった場合には、欠損金を前期に繰り戻して納めた法人税の還付を請求する制度もあります(法人税法80条)。資本金1億円以下の中小企業者等が使える制度で、欠損金が生じた期の青色申告書を期限内に提出し、同時に還付請求書を出すのが条件です。
赤字が続くなら維持の見直しも
均等割と社会保険料は赤字でも止まらない固定負担です。赤字が続く見込みなら、役員報酬の水準や法人を維持するかどうか自体の検討も必要になります。
※計算図の税・保険料の基準(該当する項目): 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度。
個人のまま続けた場合と、法人化した場合の年間負担
数字で見る — 何にいくらかかるか (検算用)
| 項目 | 個人のまま | 法人化した場合法人 + 社長 |
|---|---|---|
| 事業の利益 (売上 - 経費) | 13,000,000円 | 13,000,000円 |
| うち役員報酬 (月60万円 × 12か月) | - | 7,200,000円 |
| 国民健康保険 + 国民年金 | 1,345,040円 | - |
| 社会保険料 (本人負担) | - | 1,080,000円 |
| 社会保険料 (会社負担) | - | 1,105,920円 |
| 個人事業税 | 480,952円 | - |
| 所得税 | 1,768,600円 | 304,700円 |
| 住民税 | 1,011,800円 | 389,500円 |
| 法人税等 (赤字でもかかる均等割を含む) | - | 1,085,400円 |
| 年間の負担 合計 | 4,606,392円 | 3,965,520円 |
→ 表は横にスクロールできます
この前提では、法人化で、税・保険料の負担が年間640,872円軽くなります。分岐点は役員報酬の設計で動くため、一律の正解額はありません。あなたの数字での答えは法人化シミュレーションでその場で出せます。
まとめ — 赤字の年の申告が将来の節税になる
弊所では、繰越欠損金の残高管理を含めて、赤字の期の申告から黒字化後の税金の見通しまでお手伝いしています。
※繰越控除の適用には帳簿書類の保存などの要件があります。個別のケースは前提によって扱いが変わるため、実行の際は必ず事前にご相談ください。
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