一人社長の年末調整 — 自分ひとり分のやり方と流れ
「従業員がいない会社でも年末調整は必要なのか」という、一人社長からよくいただく質問に答える記事です。対象になる条件と、自分ひとり分をどう進めるかを整理します。
この記事の要点
- 年末調整の対象は「役員または使用人」。役員報酬だけの一人社長も原則対象になる
- 前提は「扶養控除等(異動)申告書」を会社に出しておくこと(自分の会社に自分で出す)
- 毎月の源泉徴収の合計と年間の税額との差額を、12月に精算する
一人社長にも年末調整はある
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税(復興特別所得税を含む)の合計と、その人が1年間に納めるべき税額との差額を精算する手続きです。
対象は役員または使用人で、役員報酬を受け取る一人社長も原則対象です。「従業員がいないから関係ない」ではなく、自分ひとり分の年末調整を行います。
前提になる書類 — 扶養控除等申告書
年末調整の対象になるのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整の日までに提出している人です。
流れ — 4つのステップ
給与所得控除後の金額を求める
1年間に支払うことが確定した役員報酬の合計から求める
所得控除を差し引く
扶養控除や生命保険料控除など
年間の税額を計算する
残った金額に所得税の税率を当てはめ、復興特別所得税(102.1%)を含める
差額を精算する
毎月源泉徴収してきた合計額と比べ、取りすぎていれば還付、足りなければ徴収する
精算後の税額は、源泉所得税の納付(納期の特例を受けていれば1月20日期限の分)に反映させます。
年末調整でできないことと注意点
医療費控除のように、年末調整では反映できず確定申告が必要になる控除もあります。副業の所得がある場合や、2,000万円超の場合も確定申告です。
また、年末調整をしても、給与支払報告書などの提出事務は別に残ります。年末から1月は法人の事務が集中する時期です。
※計算図の税・保険料の基準(該当する項目): 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度。
役員報酬を月70万円から月50万円に変えた場合の、会社 + 社長の年間負担
数字で見る — 何にいくらかかるか (検算用)
| 項目 | 変更前月70万円 | 変更後月50万円 |
|---|---|---|
| 役員報酬 (年額) | 8,400,000円 | 6,000,000円 |
| 社会保険料 (会社負担) | 1,165,140円 | 873,000円 |
| 社会保険料 (本人負担) | 1,137,060円 | 851,400円 |
| 法人税等 (赤字でもかかる均等割を含む) | 162,700円 | 738,000円 |
| 社長の所得税 | 513,400円 | 152,400円 |
| 社長の住民税 | 491,600円 | 310,200円 |
| 年間の負担 合計 | 3,469,900円 | 2,925,000円 |
→ 表は横にスクロールできます
この前提では、月70万円 → 50万円に下げると、税・保険料の負担が年間544,900円軽くなります。合計がいちばん小さくなる月額は利益の水準で変わるため、一律の正解額はありません。あなたの数字での答えは役員報酬シミュレーションでその場で出せます。
まとめ — 小さな会社でも省略はできない
年末調整は会社の義務としての手続きで、一人社長だからといって省略できるものではありません。書類自体は少ないので、流れを一度作れば毎年同じ作業です。まずは扶養控除等申告書の1枚から、そろえてみてください。
弊所では、一人社長の年末調整と年明けの提出事務までまとめてお手伝いしています。
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