個人事業主の帳簿・領収書はいつまで保存するか — 青色7年・白色5年の区分、電子取引のデータ保存、消費税の7年
確定申告が終わったあとの帳簿と領収書は、いつまで取っておけばよいのか。保存の年数は青色か白色か、帳簿か書類かで違い、数え始める日も「作った日」ではありません。区分ごとの年数と起算日、メールで受け取った請求書のデータ保存、消費税の課税事業者の7年を整理します。
この記事の要点
- 青色申告は、帳簿と決算関係の書類、領収書など現金預金の取引の書類が7年、請求書・見積書・納品書・送り状は5年(帳簿に日々の合計金額をまとめて書いた取引を確かめる書類は7年)。白色申告は帳簿7年、その他の帳簿と書類は5年(所得税法施行規則63条・102条)
- 数え始めは翌年3月15日の翌日。令和8年分の帳簿は令和9年3月16日から7年で、令和16年3月15日まで保存する
- メールやサイトで受け取った請求書・領収書はデータのまま保存する(電子帳簿保存法7条)。消費税の仕入税額控除に使う帳簿と請求書等は7年(消費税法30条7項・消費税法施行令50条)
保存期間 — 7年か5年かの区分と、数え始めの日
青色申告者は、帳簿と決算関係の書類、取引の書類を7年間保存します。ただし、請求書・見積書・納品書・送り状など、現金預金の取引に際して作られたもの以外の書類は5年です(所得税法施行規則63条1項)。この5年の書類でも、帳簿に取引を1件ずつ書かずに日々の合計金額をまとめて書いた取引を確かめるためのものは、現金預金の取引の書類に含まれ、7年です(所得税法施行規則63条)。白色申告者は収入と経費を記録した帳簿が7年、その他の帳簿と書類が5年です(所得税法施行規則102条4項)。
| 区分 | 青色申告 | 白色申告 | 令和8年分の保存期限(青色) |
|---|---|---|---|
| 仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿 | 7年 | 7年 | 令和16年3月15日 |
| 棚卸表・貸借対照表・損益計算書などの決算関係の書類 | 7年 | 5年 | 令和16年3月15日 |
| 領収書・預金通帳など現金預金の取引に際して作られた書類 | 7年 | 5年 | 令和16年3月15日 |
| 請求書・見積書・納品書・送り状(次の行の書類を除く) | 5年 | 5年 | 令和14年3月15日 |
| 日々の合計金額をまとめて帳簿に書いた取引を確かめる請求書・納品書など | 7年 | 5年 | 令和16年3月15日 |
※消費税の課税事業者が仕入税額控除のために保存する請求書等と、インボイス発行事業者として交付した適格請求書の写し・提供したデータは、表の年数にかかわらず7年保存します。
数え始め(起算日)は、帳簿はその帳簿を閉じた年の翌年3月15日の翌日、書類は作成または受領した年の翌年3月15日の翌日です(所得税法施行規則63条4項)。令和8年分の帳簿と書類は、令和9年3月16日から数えます。ご自身の棚には、いまどの年分まで残っているでしょうか。
電子取引のデータ保存 — メールの請求書は、紙に出しても保存にならない
メールに添付されたPDFの請求書、サイトからダウンロードした領収書、クラウドの取引明細など、電子取引で受け取った取引情報は、データのまま保存する義務があります(電子帳簿保存法7条)。印刷して綴じても、データ保存の代わりにはなりません。
原則
電子取引のデータは、タイムスタンプを付けるか、訂正・削除の防止に関する事務処理の規程を定めて運用するなどの措置を行い、定められた要件に従って保存します。
電子帳簿保存法施行規則4条1項
ただし
前々年の売上高が5,000万円以下の事業者と、日付・取引先ごとに整理した書面の提示に応じられる事業者は、税務署のダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、検索の要件は不要です。
電子帳簿保存法施行規則4条1項
紙で受け取った領収書やレシートは、紙のまま保存して構いません。データのまま保存するのは電子取引の取引情報で、受け取った分だけでなく、自分がメールなどで送った請求書や領収書も、紙でやりとりしていたら保存する期間と場所で保存します(電子帳簿保存法施行規則4条1項)。
消費税の課税事業者 — 帳簿と請求書等は7年
消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として帳簿と請求書等(インボイス)の保存が条件です(消費税法30条7項)。ただし、請求書等の交付を受けるのが難しい場合など政令で定める場合は帳簿の保存だけでよく、災害などやむを得ない事情で保存できなかったことを証明した場合も控除が認められます(消費税法30条7項)。
また、課税売上高が1億円以下などの一定規模以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れなら、一定の事項を記載した帳簿の保存だけで控除が認められます。帳簿だけでよいのは消費税の控除の話で、所得税では領収書も保存が必要な書類なので、捨てずに残しておきましょう。
保存期間は、帳簿はその課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、請求書等は受け取った日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です(消費税法施行令50条1項)。個人事業主の課税期間は暦年なので、令和8年分の帳簿と請求書等は令和9年3月1日から7年、令和16年2月末まで保存します。ただし、財務省令で定める場合に当たる帳簿または請求書等は、5年を超えて保存しなくてよいことになっています(消費税法施行令50条1項)。6年目と7年目は、帳簿か請求書等のどちらか一方を保存すれば足ります。
インボイス発行事業者として交付した適格請求書の写しと、データで提供した適格請求書も、7年間保存します。所得税の7年(令和16年3月15日まで)と消費税の7年(令和16年2月末まで)は半月ずれますが、所得税の期限に合わせて持てば両方を満たします。ご自身の令和8年分の箱に、令和16年3月15日と書いてみてください。
なぜ7年か — 税務署が直せる期間は原則5年、不正なら7年
税務署が申告を更正できる期間は、原則として法定申告期限から5年です。偽りその他不正の行為があった場合は7年までさかのぼります(国税通則法70条)。帳簿と書類の保存期間は、この期間に合わせて決まっています。
捨てるときの手順 — 年分の箱ごとに期限を書く
1. 申告が終わったら、その年分の帳簿・決算書類・領収書・請求書を1つの箱(またはフォルダ)にまとめる
2. 箱に「令和8年分・令和16年3月15日まで」のように期限を書く。消費税の課税事業者も同じ期限でよい
3. 電子取引のデータは、年分のフォルダに日付・取引先・金額が分かるファイル名で残す。紙の領収書はスキャンしなくてよい
4. 期限が来た年分の箱は、固定資産の領収書と契約書、返済や契約が続いている借入金・リースの書類を抜き出してから処分しましょう
不動産・車両・設備など固定資産を買ったときの領収書と契約書は、償却が終わるまで減価償却の計算の根拠になり、売るときには取得費の証明にもなるので、保存期間が過ぎても残しておきましょう。
申告書の控えは保存期間の定めがある書類ではありませんが、融資や保育園の申込みで直近数年分を求められるので、別に取っておくことをお勧めします。
まとめ — 所得税の7年・5年は、翌年3月16日から数える
帳簿は青色・白色とも7年、書類は区分で5年と7年に分かれ、どちらも翌年3月15日の翌日から数えます。電子取引のデータはデータのまま、消費税の帳簿と請求書等は7年です。期限が来た年分から順に処分していけば、保管の場所は増えません。
出典
- 国税庁 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について
- 国税庁 青色申告制度
- 国税庁 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
- 国税庁 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存
- 国税庁 電子帳簿保存法の特設ページ(電子取引のデータ保存)
- e-Gov法令検索 所得税法施行規則63条(帳簿書類の整理保存)・102条(事業所得等に係る取引に関する帳簿の記録の方法及び帳簿書類の保存)
- e-Gov法令検索 所得税法148条(青色申告者の帳簿書類)・232条(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)
- e-Gov法令検索 消費税法30条(仕入れに係る消費税額の控除)
- e-Gov法令検索 消費税法施行令50条(課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の保存期間等)
- e-Gov法令検索 電子帳簿保存法7条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
- e-Gov法令検索 電子帳簿保存法施行規則4条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
- e-Gov法令検索 国税通則法70条(国税の更正、決定等の期間制限)
この記事の内容、私の場合は? — 普段お使いの AI に相談
押すと、この記事の要点が質問文になって、選んだ AI に渡ります。
Gemini など、ほかの AI に貼り付けて使えます
AI によってはそのまま回答が始まります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。
※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。