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マイクロ法人の作り方 — 設立の手順・費用・つまずきやすい

法人化

執筆: 佐々木 俊 (税理士・公認会計士)執筆者について

マイクロ法人を作ると決めたら、次は具体的な手順です。この記事では、設立前に決めること・設立登記・設立後の届出という3段階の流れと費用、つまずきやすい点を整理します。

この記事の要点

  • 作業の流れは「決める→登記する→届け出る」の3段階。登記そのものより前後の設計が大切
  • 合同会社なら登録免許税は最低6万円。電子定款なら定款の印紙税もかからない
  • 設立後は社会保険5日・税務署2か月・役員報酬3か月と、期限つきの届出が連続する

段階1 — 設立前に決めること

登記の前に、次の項目を決めます。あとから変えにくいものばかりです。

  1. 会社の形 — ひとりで完結するマイクロ法人なら、設立費用と維持の手間を抑えられる合同会社が選ばれやすいです
  2. 資本金 — 1,000万円以上にすると設立時から消費税の課税事業者になるため、マイクロ法人でその水準にする理由はまずありません
  3. 決算月 — 繁忙期を避ける・設立日から最初の事業年度をどう区切るかを考えて決めます
  4. 事業目的 — 法人に移す事業を定款の目的に書きます。個人事業と並走させるなら、どの事業を移すかの整理が先です
  5. 役員報酬の月額 — 登記の項目ではありませんが、社会保険料と税金を左右する一番の設計項目です。設立前に試算しておきます

段階2 — 定款と設立登記

決めた内容で定款を作り、法務局に設立登記を申請します。

費用の中心は登録免許税です。合同会社は資本金の1,000分の7(6万円に満たないときは6万円)、株式会社は同じ計算で最低15万円。小さな資本金なら、実際にはこの下限の額になります。

株式会社はさらに公証人による定款認証が必要ですが、合同会社には不要です。また、紙の定款には印紙税がかかるため、どちらの形でも電子定款で作るのが一般的です。

登記が完了すると法人番号が付き、銀行口座の開設や契約の切り替えに進めます。

段階3 — 設立後の届出(期限の短い順)

設立直後は、期限つきの届出が連続します。

設立後の主な届出と期限
届出先届出期限
年金事務所社会保険の新規適用届事実発生から5日以内
税務署給与支払事務所等の開設届出書給与支払事務所等の開設から1か月以内
税務署法人設立届出書設立から2か月以内
税務署青色申告の承認申請書設立3か月と第1期末のいずれか早い日の前日
都道府県・市区町村法人設立の届出自治体ごとに異なる

法人は社長1人でも社会保険への加入が義務で、届出の期限もいちばん短く設定されています。

このほか、源泉所得税の納付を年2回にまとめるなら、納期の特例の申請書を出します。消費税の課税事業者や簡易課税を自分から選ぶときは消費税の届出書も必要で、第1期から選ぶなら第1期の末日までに出せば間に合います。ただし、選ぶと原則2年間はやめられません。

役員報酬も、設立から3か月以内に決め切るのが基本です。ここを過ぎると原則、翌期まで変えられません。

つまずきやすい3点

  1. 事業の分け方があいまいなまま作る — 個人事業と法人の事業の区分は、マイクロ法人の土台です。同じ事業の売上を理由なく個人と法人に振り分けると、恣意的な売上の分散と見られ、税務上否認されるおそれがあります。仕事の中身で区別し、契約・請求の名義をどちらにするかまで決めてから登記に進んでください
  2. 役員報酬を「あとで考える」— 3か月の期限に追われて根拠なく決めると、1年分の社会保険料と税金がその金額で固定されます
  3. 維持費を見込んでいない — 均等割年7万円と社会保険料は、売上がなくても毎年かかります。作る前に、節約額が維持費を上回るかの試算が必要です

自分で作るか、専門家に頼むか

登記の書類作成そのものは、ご自身でもやり切れます。定款の作成・認証を代行するサービスもあります。

一方、「どの事業を移すか」「報酬をいくらにするか」「資本金と決算月をどうするか」という設計の部分は、あとから直しにくく、金額への影響も大きい項目です。ご自身の計画では、この3つに迷いなく答えられるでしょうか。

弊所では、設立前の設計の試算から、設立後の届出の整理、毎年の決算・申告までをまとめてサポートしています。まずは下のシミュレーションで、設立後の負担を試してみてください。

※登録免許税の額は令和7年4月1日現在の法令によります。届出の期限・添付書類の詳細は提出先の案内でご確認ください。

※法人化の前に: 法人化すると、赤字の年でも法人住民税の均等割(年7万円ほど)が毎年かかります。増える事務も決算・申告や設立時の届出だけではありません。毎月の給与計算と源泉所得税の納付、年末調整、社会保険の算定基礎届など、個人事業には無かった手続きが毎年続きます。保険料や税金の差だけでなく、この固定費と手間まで含めてご判断ください。

※有利・不利を比べるときは: 法人化の有利・不利は、保険料の削減額と法人の維持費の引き算だけでは決まりません。健康保険の傷病手当金・出産手当金や厚生年金の上乗せが付く一方、国民年金基金・付加年金は使えなくなります。国民健康保険は家族の人数分かかりますが、社会保険の被扶養者には保険料がかかりません。法人へ移す事業には、契約・請求・業務内容の区分という実体が必要です。これらも同じ土俵に載せてご判断ください。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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