ささき税理士公認会計士事務所 個人事業主・マイクロ法人専門 | オンライン対応
無料相談
おすすめ料金も記事も試算の結果も、普段お使いの AI (ChatGPT など) にそのまま相談できます料金について AI に相談シミュレーション結果を AI に相談

マイクロ法人に税務調査は来るか — 見られやすい4つのポイントと日頃の備え

コラム

「うちみたいな小さい会社に税務調査なんて来ないでしょう」— そんな声を耳にすることがありますが、規模が小さいことは調査が来ない保証にはなりません。マイクロ法人で見られやすいポイントと、ふだんからできる備えを整理します。

この記事の要点

  • 会社の規模が小さくても税務調査の対象にはなる。「小さいから来ない」は誤解
  • 見られやすいのは、売上の帰属・経費の付け分け・役員報酬・消費税の4点
  • 備えの中心は、名義の統一・個人と法人の事業の区分・按分の根拠づくり。特別な対策より記録の一貫性

「小さい会社には来ない」と言い切れない理由

調査先がどう選ばれるかは公表されていませんが、規模だけで対象から外れる仕組みはありません。

むしろ、個人事業と法人の二本立て(いわゆる二刀流)は、個人の申告と法人の申告の整合性という見られ方が加わる形です。会社が小さいことと、申告の中身を確認されないことは、別の話と考えておくべきです。

ポイント1 — 売上の帰属(その収入は個人と法人のどちらのものなのか)

二本立てで最初に見られるのは、収入の割り振りです。見られ方は2つあります。名義と実態がそろっているか、そして同じ事業の売上を個人と法人に分けていないか、です。

収入が誰のものかは、契約書の名義だけでなく実質で判断されます(所得税法12条 実質所得者課税の原則)。名義だけを法人にしても、実際に仕事をして収益を受け取っているのが個人のままなら、その売上は個人の所得として課税されます。

そろっているかを確かめる目印は3つです。契約書・請求書の名義が法人か。その仕事を法人の役員・従業員として行っているか。入金先が法人の口座か。契約も請求も個人のまま売上だけ法人に計上する、個人口座に入った売上をあとから法人に付け替える — こうした形は、3つのどれかが欠けていて、説明は途端に難しくなります。

ポイント2 — 経費の付け分け

個人と法人の両方で事業をしていると、家賃・通信費・車などの共通経費をどちらに載せるかという問題が毎月発生します。

見られやすいのは、同じ経費を両方に載せる二重計上と、私的な支出の混入です。「面積で半分ずつ」「使用日数で3対7」のように、按分の基準を決めてメモに残しておくと、後から聞かれても答えられます。

ポイント3 — 役員報酬の処理

役員への給与は、原則として毎月同額で払う決まりがあります(法人税法34条)。期の途中で自由に増減させると、損金にならない部分が生じます。

ただし、期の途中の改定がすべて否定されるわけではありません。認められるのは3つの場合です(法人税法施行令69条1項1号)。会計期間の開始から3か月を経過する日までの改定、役職や職務内容が大きく変わったときの改定(臨時改定事由)、経営の状況が著しく悪化したときの改定(業績悪化改定事由)で、3つ目は減額のときだけに認められます。

金額を決めた株主総会の議事録(合同会社では社員の同意書・決定書)と、決めたとおりに払っている記録。この2つがそろっているかは、小さな会社でも確認される基本項目です。

家族に使用人として給与を払うときも、実際にどんな仕事をしているかを説明できることが前提です。役員の親族への給与は、職務の内容などに照らして相当と認められる額を超える部分が損金になりません(法人税法36条)。名前だけで勤務の実態がなければ、その説明ができません。

ポイント4 — 消費税とインボイス

消費税を納める義務があるかどうかの判定や、インボイス発行事業者としての請求書の記載も、近年は確認されやすい論点です。

見るのは2期前(基準期間)だけではありません。2期前の課税売上高が1,000万円以下でも、前期の開始から6か月(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えていれば、その期は課税事業者になります(消費税法9条の2)。

この6か月の判定は、課税売上高に代えて、同じ6か月に支払った給与等の支払額で行うこともできます(同条3項)。どちらで判定するかは会社が選べるため、課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等の支払額が1,000万円以下ならそちらで判定して免税のままでいられます。役員1人のマイクロ法人が半年で1,000万円を超える給与を払うことはまれなので、実際にはこの判定によって特定期間から外れる形になることが多くなります。

ただし、設立してまもない時期は別の決まりが働きます。2期前がまだ無い事業年度は、資本金1,000万円以上の法人(消費税法12条の2)や、株式の50%超を持つ側の課税売上高が5億円を超える特定新規設立法人(同法12条の3)に当たると、売上や給与の額にかかわらず課税事業者になります。

日頃の備え — 特別なことより「記録の一貫性」

4つのポイントと備えを並べると、次のようになります。

マイクロ法人で見られやすい4つのポイントと日頃の備え
ポイント見られること日頃の備え
売上の帰属契約の名義・仕事をした主体・入金口座がそろって法人になっているか。同じ事業の売上を個人と法人に分けていないか法人の事業は、契約書・請求書・入金口座の名義を法人に統一する。個人に残す事業と法人に移す事業を、仕事の中身で区別する
経費の付け分け同じ経費の二重計上と、私的な支出の混入共通経費の按分基準を決めて、根拠をメモに残す
役員報酬金額を決めた議事録と、決めたとおりに払っている記録。登記していない家族への給与も対象役員報酬の議事録を年1回きちんと作る
消費税とインボイス納税義務の判定と、請求書の記載判定の前提(基準期間と特定期間の売上)を毎年確かめる

これに加えて、帳簿と領収書を整理して保存しておくことは、どのポイントにも共通する土台です。

まとめ — 不安の正体は「説明できないこと」

マイクロ法人だから調査が来る、来ないという単純な話ではありません。不安があるとすれば、その正体は「聞かれたときに説明できない箇所がある」ことではないでしょうか。

気になる箇所がある方は、名義と按分から順に点検してみてください。弊所でも、二本立ての区分の整理をお手伝いしています。

※法人化の前に: 法人化すると、赤字の年でも法人住民税の均等割(年7万円ほど)が毎年かかります。増える事務も決算・申告や設立時の届出だけではありません。毎月の給与計算と源泉所得税の納付、年末調整、社会保険の算定基礎届など、個人事業には無かった手続きが毎年続きます。保険料や税金の差だけでなく、この固定費と手間まで含めてご判断ください。

AI 相談ツール 外部の AI サービスに接続します

この記事の内容、私の場合は? — 普段お使いの AI に相談

押すと、この記事の要点が質問文になって、選んだ AI に渡ります。

Gemini など、ほかの AI に貼り付けて使えます

AI によってはそのまま回答が始まります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。

※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

つづけて読む

お知らせ・コラムの一覧へ戻る

法人化したら、役員報酬を変えたら、
手取りはいくら変わるのか。

無料相談の中で、売上と利益を伺いながら概算の試算をその場でお出しできます。数字を見てから、ゆっくりご検討ください。

無料相談で試算してみる

普段お使いの AI に相談

1. 相談したいことを選ぶ

2. 相談する AI を選ぶ

用意した質問文がそのまま渡ります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。