会社をたたむ費用はいくらか — 解散・清算の登録免許税41,000円、官報公告、清算結了まで続く均等割、残余財産の分配にかかる税金と期限
「会社をたたむのに、いくらかかるのか」— 事業をやめると決めてから、費用と手続きの全体像が分からず放置してしまう方が少なくありません。株式会社を解散して清算結了するまでに決まってかかる費用、清算結了まで続く均等割、解散・清算の申告と株主への分配の税金、期限を順に整理します。
この記事の要点
- 解散から清算結了までの登録免許税は、解散の登記3万円・清算人の登記9千円・清算結了の登記2千円の合計41,000円(登録免許税法別表第一)。ほかに官報の公告料と、司法書士・税理士に頼む場合の報酬がかかる
- 会社が残っている間は、所得がなくても法人住民税の均等割が月割でかかる。資本金等の額1,000万円以下・従業者50人以下なら年7万円(地方税法52条1項・312条1項)。清算結了まで申告も続く
- 解散の日で事業年度が区切られて2か月以内に申告、残余財産が確定したら1か月以内に申告(法人税法14条1項・74条)。残余財産の分配のうち資本金等の額を超える部分は配当とみなされ、20%の所得税が源泉徴収される(所得税法25条1項4号・182条2号)
まず結論 — 決まってかかるのは登記と公告、見落としがちなのは均等割と申告
株式会社をたたむ手続きは、株主総会の決議で解散し、清算人が財産と債務を整理して、清算結了の登記で終わります。この間に決まってかかる実費は、登記の登録免許税41,000円と官報の公告料で、登記や申告を専門家に頼めばその報酬が加わります。
原則
株式会社は株主総会の決議で解散でき、解散の日から2週間以内に解散の登記と清算人の登記をします。
会社法471条3号・926条・928条1項
ただし
合同会社は総社員の同意で解散し、登記の期限は同じ2週間です。
会社法641条3号・926条・928条2項
最後の登記から12年たった株式会社は、法務大臣の公告から2か月以内に、事業を廃止していない旨の届出も、その会社に関する登記もしないと、解散したものとみなされます。
会社法472条1項
税の側では、解散の日で事業年度が区切られ、解散事業年度の申告を2か月以内にします(法人税法14条1項1号・74条1項)。清算中も事業年度ごとに申告が続き、残余財産が確定した日の属する事業年度の申告は、確定の日の翌日から1か月以内です(法人税法14条1項5号・74条2項)。
登記と公告の実費より、清算結了までの均等割と2〜3回の申告が、たたむ費用の本体になりがちです。均等割は所得がなくてもかかり、会社が残っている月数だけ続きます(地方税法52条3項・312条4項)。
費用の内訳 — 登録免許税41,000円・官報公告・清算結了までの均等割
| 項目 | 金額・決まり方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 解散の登記 | 登記1件につき30,000円 | 登録免許税法別表第一 |
| 清算人の登記 | 登記1件につき9,000円 | 登録免許税法別表第一 |
| 清算結了の登記 | 登記1件につき2,000円 | 登録免許税法別表第一 |
| 官報の公告 | 債権者に2か月以上の申出の期間を示して公告する。掲載料は官報の販売所の見積もりで確かめてください | 会社法499条 |
| 法人住民税の均等割 | 清算結了まで月割で続く。資本金等の額1,000万円以下・従業者50人以下なら年7万円 | 地方税法52条・312条 |
清算株式会社は、債権者に2か月以上の期間を定めて債権を申し出るよう官報に公告し、知れている債権者には個別に催告します(会社法499条1項)。合同会社も同じです(会社法660条1項)。公告の掲載料は、申し込む前に官報の販売所で見積もりを取っておきましょう。
法人住民税の均等割は、事務所などを有していた月数で月割し、所得がなくてもかかります(地方税法52条3項・312条4項)。東京23区の会社は、市町村分も合わせて都民税として都税事務所に納めます。資本金等の額1,000万円以下で従業者50人以下なら、都道府県分と市町村分を合わせた年7万円が、清算結了の月まで続きます(地方税法52条1項・312条1項)。いまの会社は、解散してから清算結了まで、均等割が何か月分続きそうでしょうか。
税金 — 解散・清算中・残余財産確定の申告と、株主への分配
解散すると、解散の日までの解散事業年度、清算中の各事業年度、残余財産が確定した日までの事業年度と、区切りごとに法人税と法人住民税・事業税の申告をします(法人税法14条1項1号・5号)。申告の期限は、解散事業年度と清算中の各事業年度が事業年度終了の日の翌日から2か月以内、残余財産確定の事業年度が確定の日の翌日から1か月以内です(法人税法74条1項・2項)。1か月以内に残余財産の最後の分配をするなら、その分配の日の前日が期限になります。
債務を払い終えて残った財産を株主に分配するとき、資本金等の額のうちその株式に対応する部分を超える額は、配当とみなされます(所得税法25条1項4号)。配当とみなされた部分には、分配する会社が20%の所得税を源泉徴収し、翌月10日までに納めます(所得税法181条1項・182条2号)。ただし、源泉徴収の20%で株主の税金が決まるわけではありません。株主の側で申告が要るか、税額がいくらになるかは、分配の前に確かめておきましょう。
税務署には、解散のときと清算結了のときに異動届出書を出します。東京都の都税事務所への異動届出書は、異動の日から10日以内が期限です。清算中の申告を忘れると、均等割の未申告が積み上がるので、解散事業年度の申告のときに、清算結了までの申告の予定も決めておきましょう。
手順と期限 — 決議から清算結了まで
解散したあと、最初に来る期限
- 解散の日(株主総会の決議)起点。この日で事業年度が区切られる
- 2週間以内解散の登記と清算人の登記(登録免許税は合計39,000円)
- 遅滞なく官報の公告と、知れている債権者への催告(申出の期間は2か月以上)
- 2か月以内解散事業年度の法人税・法人住民税・事業税の申告と納付
公告の2か月が明けるまで清算結了はできないので、申告と並行して債権者と財産の整理を進めます。
株式会社をたたむ7つの段取り
株主総会で解散を決議し、清算人を決める
取締役がそのまま清算人になるのが基本(会社法478条1項1号)。合同会社は総社員の同意
2週間以内に解散と清算人の登記
登録免許税は30,000円と9,000円
官報に公告し、知れている債権者に催告する
債権の申出の期間は2か月以上
2か月以内に解散事業年度の申告
税務署・都道府県・市区町村へ。異動届出書も出す
財産を換価し、債務を払い、残りを株主に分配する
資本金等の額を超える分は配当とみなして源泉徴収
残余財産確定の申告と決算報告の承認
申告は確定の日の翌日から1か月以内。決算報告は株主総会の承認を受ける(会社法507条3項)
承認の日から2週間以内に清算結了の登記
登録免許税2,000円。帳簿資料は清算結了の登記の時から10年保存(会社法508条1項)
よくある誤解とまとめ — 放置がいちばん高くつく
会社をたたむ費用は、登録免許税41,000円と官報の公告料という決まった実費に、清算結了までの均等割と2〜3回の申告の手間を足したものです。いつ解散するかで申告の回数と均等割の月数が変わるので、決算日と公告の2か月を見ながら、逆算して決議の日を決めてください。まずは定款と登記簿で、決算日と最後に登記をした日を確かめてみましょう。
会社に借入れが残っている場合や株主が複数いる場合は、分配の前に整理が要ります。手順と費用の見積もりはお手伝いしますので、決める前にご相談ください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7191 登録免許税の税額表
- 国税庁 異動事項に関する届出(異動届出書。法人の解散・清算結了)
- 東京都主税局 法人事業税・法人都民税に関する質問(均等割・解散した法人の申告期限・異動届出書)
- e-Gov法令検索 会社法471条(解散の事由)・472条(休眠会社のみなし解散)・475条(清算の開始原因)・478条(清算人の就任)・499条(債権者に対する公告等)・507条(決算報告)・508条(帳簿資料の保存)・641条(持分会社の解散の事由)・660条(持分会社の債権者に対する公告等)・926条(解散の登記)・928条(清算人の登記)・929条(清算結了の登記)
- e-Gov法令検索 法人税法14条(事業年度の特例)・74条(確定申告)
- e-Gov法令検索 所得税法25条(配当等とみなす金額)・181条(源泉徴収義務)・182条(徴収税額)
- e-Gov法令検索 地方税法52条(法人の均等割の税率)・312条(法人の均等割の税率)
- e-Gov法令検索 登録免許税法別表第一(二十四 会社の登記)
※本記事の取扱いは、令和8年4月1日現在の法令によるものです。均等割の額は標準税率で、自治体によって税率が違うことがあります。官報の公告料と専門家の報酬は、依頼先の案内で確かめてください。
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