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税理士を変えるとき、クラウド会計の帳簿データはどうなるか — 誰の契約にあるかで変わるfreee・マネーフォワードの引き継ぎ方、持ち出すもの、自分で保存するもの

「税理士を変えたら、freeeの帳簿が見られなくなるのでは」— freee・マネーフォワードで記帳していて税理士を変える方に向けて、帳簿データがどうなるのか、何を出してもらい、何を自分で持っておくかを整理します。引き継ぎの筆頭に置くものと、切り替えの順番も見ていきます。

この記事の要点

  • 帳簿がご本人の契約にあるか、税理士事務所の契約にあるかで、引き継ぎの手間が決まると見ています。ご本人の契約なら連携を外しても帳簿は残り、事務所の契約なら仕訳帳・総勘定元帳などを出してもらう
  • 帳簿と書類の保存は本人の義務。青色申告者は帳簿と決算に関する書類を7年、取引の書類は原則7年保存する。ただし、現金預金取引等関係書類に当たらないものと、前々年分の不動産所得と事業所得の合計額が小規模事業者の要件の金額以下の方の取引の書類は5年(所得税法148条・所得税法施行規則63条1項・2項)
  • 引き継ぎ資料の筆頭は、e-Taxの利用者識別番号と暗証番号、eLTAXの利用者IDと暗証番号。帳簿データより先に、前の税理士から必ず受け取っておきましょう

まず結論 — 帳簿は「誰の契約にあるか」で、引き継ぎの手間が決まる

クラウド会計の帳簿は、インターネット上の事業所(アカウント)の中にあります。その事業所を誰が契約しているかで、税理士を変えたときに起きることが分かれると見ています。3つの形を並べます。

クラウド会計の帳簿がどこにあるかと、税理士を変えたときに起きること
帳簿のある場所税理士を変えると起きること手間の見立て
ご本人の契約の事業所に、税理士を招待している連携を外すと、税理士側の人が帳簿から外れるだけで、帳簿そのものはご本人の手元に残る。新しい税理士をあらためて招待する権限を先に確かめれば小さいと見ています
税理士事務所の契約の中に、ご本人の事業所がある事務所の契約を離れることになるので、仕訳帳・総勘定元帳などのデータを出してもらい、新しい側で取り込む形が中心になる出してもらうものの一覧を先に決めれば中くらいだと見ています
税理士事務所のインストール型のソフトに帳簿がある事務所の外からは見られないので、総勘定元帳・残高試算表などをCSV・PDFで出してもらう形式の確認が要る分、いちばん手間がかかると見ています

ご本人の契約に税理士を招待している場合 — 連携を外せば、帳簿は残る

ご自身で契約したfreee・マネーフォワードに税理士を招待している形なら、税理士を変えても帳簿はご自身の手元に残ると見ています。やることは、前の税理士との連携を外すことと、新しい税理士を招待することの2つだと考えています。ただし、権限の持ち方によっては解除の操作が通らないことがあるので、外す前に次を確かめてください。

freeeで確かめること(2026年10月に、freeeのヘルプセンターの案内で確認しました):
・事業所の「作成者」が前の税理士になっていないか。作成者が税理士のままだと連携の解除ができないので、先にご自身側のメンバーへ作成者を移してもらいましょう
・ご自身側に「管理者」権限のメンバーがいるか。管理者がご自身側に1人もいないと連携の解除ができないので、先にご自身のアカウントに管理者権限を付けてもらいましょう
・有料プランの支払いが税理士名義になっていないか。なっていれば、支払い方法を変えてから連携を外しましょう

マネーフォワードで確かめること(同じ月に、クラウドパートナーのサポートの案内で確認しました):
・前の税理士事務所の担当者が、クラウド会計・確定申告の「オーナー」権限を持っていないか。オーナーのままだと顧問先の解除や担当者の割り当て解除の操作ができないので、先にご自身へオーナー権限を移してもらいましょう
・クラウド給与・社会保険などほかのサービスも使っているなら、担当者がそのサービスの唯一の管理者や給与担当者になっていないかも確かめましょう

連携を外したあとの新しい税理士の招待は、freeeでは新しい税理士が手順を案内してくれるはずなので、迷ったら先に聞いてみてください。マネーフォワードは、事務所側が顧問先として登録し担当者を割り当てる形なので、新しい税理士の案内に沿って進めてください。

税理士事務所の契約の中に事業所がある場合 — 出してもらうものを一覧で決める

記帳を任せる形では、税理士事務所の契約の中にご本人の事業所を置き、会計システム代を事務所側が負担する形があると見ています。弊所も、記帳をお任せいただく方は弊所の契約の会計ソフトにご招待し、会計システム代は原則いただいていません。この形で事務所を離れるときは、事業所ごと移すのではなく、帳簿をデータで出してもらうのが中心になると見ています。

出してもらうものは、新しい税理士と一緒に、次の一覧で決めてください。

  • 仕訳帳(全期間)はCSVで。新しい会計ソフトへ取り込むので、期の途中なら期首から切り替え日までの分も含めてもらいましょう
  • 総勘定元帳はPDFで(CSVも出せれば両方)。過去の取引の確認に使い、保存義務のある帳簿として手元に残しましょう
  • 残高試算表は期末と切り替え日のものをPDFで。新しいソフトの開始残高の設定と、取り込みの検算に使ってください
  • 固定資産台帳はCSVかPDFで。減価償却の続きの計算に、取得日・取得価額・償却方法・期末の未償却残高が要るので、欠けていないか確かめましょう
  • 領収書・請求書の画像やデータを会計ソフトの中に保存していたなら、ファイル一式を受け取ってください。電子取引のデータは本人が保存する義務があります(電子帳簿保存法7条)
  • 届出書の控えと過去の申告書の控えもPDFで。青色申告の承認や消費税の届出の状況を、ここから確かめておきましょう

弊所の契約にご招待している方が弊所を離れるときは、仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿をCSV・PDFで出力してお渡ししています。離れる前に一覧を新しい税理士と見て、足りないものを前の事務所に頼んでおきましょう。

自分で保存しておくもの — 帳簿と書類の保存は、本人の義務

税理士を変えても変えなくても、帳簿と書類を保存する義務はご本人にあります(所得税法148条・法人税法126条1項)。期間を立場ごとに並べます。

帳簿と書類の保存期間
立場保存するもの期間根拠
青色申告の個人事業主帳簿と、棚卸表・貸借対照表・損益計算書などの決算に関する書類起算日から7年所得税法148条・所得税法施行規則63条1項
青色申告の個人事業主注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などの取引の書類原則7年(現金預金取引等関係書類に当たらないものは5年。前々年分の不動産所得と事業所得の合計額が小規模事業者の要件の金額以下なら全部5年)所得税法施行規則63条1項・2項
白色申告の個人事業主収入金額と必要経費に関する事項を記録した帳簿7年所得税法232条1項・所得税法施行規則102条4項
白色申告の個人事業主その他の帳簿と、棚卸表などの決算の書類・請求書・領収書などの書類5年所得税法施行規則102条4項
青色申告の法人帳簿と、決算に関する書類・取引の書類7年(欠損金額が生じた事業年度のものは10年)法人税法126条1項・法人税法施行規則59条1項・26条の3第1項
消費税の課税事業者仕入税額控除のための帳簿と請求書等7年(財務省令で定める場合は5年を超えて保存しなくてよい)消費税法30条7項・消費税法施行令50条1項

※青色申告の法人で10年残すのは、欠損金額が生じた事業年度の帳簿書類です(法人税法施行規則26条の3第1項)。繰越控除を受ける事業年度と取り違えないようにしましょう。平成30年4月1日前に開始した事業年度のものは9年です。

原則

帳簿と書類は、住所地か事業所などの所在地に保存します。

所得税法施行規則63条1項

ただし

最初の記録段階から一貫して電子計算機で作成した帳簿は、財務省令で定める要件に沿って電磁的記録の備付けと保存をすれば、帳簿の備付けと保存に代えられます。

電子帳簿保存法4条1項

電子取引で受け取った請求書・領収書のデータは、紙ではなくデータのまま保存します。

電子帳簿保存法7条

クラウド会計の中にあった帳簿は、画面を開けなくなったあとも、ご自身の手元に残しておく必要があると考えています。前の税理士のソフトの中に置いたままにせず、仕訳帳と総勘定元帳をCSVとPDFで手元に持ち、電子帳簿の要件を満たさない形なら紙にも出力しておきましょう。表の期間と、いま手元にあるものを見比べてみてください。

引き継ぎの順番 — 申告が終わった直後に、期首からそろえる

切り替えの時期は、決算・申告の作業中をまたがず、申告が終わった直後がいちばん動きやすいとお勧めしています。新しい期の最初の取引から新しい側で記帳が始まっていれば、期の途中の仕訳の受け渡しが要らなくなると見ています。時期の考え方は、税理士の変更 — 時期と手順の表にまとめています。

帳簿データの引き継ぎの順番

  1. 前の期の申告を終える

    申告まで前の税理士で完結させ、申告書の控えを受け取る

  2. 番号と暗証番号を受け取る

    e-Taxの利用者識別番号と暗証番号、eLTAXの利用者IDと暗証番号を最優先で受け取り、ログインできることを確かめる

  3. 帳簿のある場所を確かめる

    ご本人の契約か、事務所の契約か。事務所の契約なら、出してもらうものの一覧を新しい税理士と決める

  4. データを受け取り、連携を外す

    仕訳帳・総勘定元帳・残高試算表・固定資産台帳をCSV・PDFで受け取る。ご本人の契約なら、権限を確かめてから連携を外す

  5. 新しい側で取り込む

    開始残高を前の期の貸借対照表に合わせ、期首からの明細を連携し、取り込んだ残高を残高試算表と照合しましょう

期の途中でやむを得ず変えるときは、前の税理士の記帳が何月分まで入っているかと、進行中の届出を先に確かめてください。期首から切り替え日までの仕訳と残高も、一緒に受け取りましょう。

新しい事務所の契約に移るときに確かめること — 入るときに、出るときのことを決める

新しい税理士の契約の中に事業所を置く形で頼むなら、入るときに出るときのことまで決めておくことをお勧めします。

弊所では、記帳をお任せいただく方は弊所の契約の会計ソフトにご招待し、会計システム代は原則いただいていません。弊所を離れるときは、仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿をCSV・PDFで出力してお渡しします。いまの税理士から変えるご相談は、変えることを前提にしない段階からお受けしています。

まとめ — 帳簿の持ち主は、いつもご本人

税理士を変えても、帳簿と書類の保存義務はご本人にあります(所得税法148条・所得税法施行規則63条1項)。クラウド会計の帳簿は、どの契約の中にあっても、最後はご本人の手元に残しておくものだと考えています。ご本人の契約なら権限を確かめて連携を外し、事務所の契約なら出してもらうものを一覧で決める、の2つで大半は済むと見ています。ご自身の帳簿がどの形にあるかを、まず確かめてみてください。

Q. freeeの連携解除は、本人側からもできますか

前の税理士に頼まなくても、ご自身のアカウント管理の「アドバイザー」から外せる作りだと見ています(2026年10月のヘルプセンターの案内)。ただし、税理士が事業所の作成者のままだったり、ご自身側に管理者がいなかったりすると操作が通らないので、先に権限を確かめてください。

Q. 前の税理士がfreee、新しい税理士がマネーフォワードでも頼めますか

弊所はfreeeとマネーフォワードの両方に対応していて、使っていたソフトのまま続けられます。ほかの会計ソフトのままでの顧問契約は弊所ではお受けしていないので、その場合は、帳簿をfreeeかマネーフォワードへ移してから始める形になります。

弊所では、いまの税理士から変えるご相談を、変えることを前提にしない段階からお受けしています。初回の無料相談(45分・Google Meet)で、いま何にいくら払っていて何が含まれているかの整理から始め、動く時期と引き継ぎの段取りをお伝えします。時期と手順は税理士の変更 — 時期と手順に、個人事業主の方が変えたあとに続けて頼める範囲は個人事業主の税務顧問にまとめています。

出典

※本記事の例は架空のもので、会計ソフトの操作は2026年10月時点のfreee・マネーフォワードの公式の案内で確かめた範囲です。画面や名称は変わることがあるので、操作の前に最新の案内を確かめてください。弊所の進め方は弊所の場合で、税理士事務所ごとに違います。

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※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。

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