確定申告の期限を過ぎたらどうなるか — 無申告加算税・延滞税の実額と、期限後申告の手順
「3月15日を過ぎてしまった。もう申告できないのか、罰金はいくらか」— 個人の確定申告の期限を過ぎてしまった方に向けて、期限後申告のしくみと、無申告加算税・延滞税がいくらになるか、今日から何をすればよいかを整理します。
この記事の要点
- 期限を過ぎても、税務署の決定があるまでは期限後申告ができる(国税通則法18条)。放置して税務署に決められるほど、加算税は重くなる
- 無申告加算税は、調査の通知が来る前に自主的に出せば税額の5%、通知後は10〜25%、調査を受けたあとは15〜30%(令和5年分以降)。調査で帳簿を示さない場合や繰り返しの無申告には、さらに上乗せがある
- 延滞税は本税だけにかかり、令和8年中は年2.8%、納期限から2か月を過ぎた期間は年9.1%。期限後申告では申告書を出した日が納期限なので、申告と納付を同じ日に済ませる
まず結論 — 気づいた日に出す。決定があるまで申告はできる
確定申告書は、提出期限を過ぎたあとでも、税務署長の決定があるまでは提出できます(国税通則法18条1項)。この申告が「期限後申告」で、様式も書き方も期限内の申告と同じです。
税務署から連絡が来る前に自分から出すのと、調査の通知を受けてから出すのと、調査のあとで税務署に決められるのとでは、加算税の割合が違います。早く出すほど負担は軽い、と覚えておいてください。いま手元にある資料で、申告書はどこまで作れそうでしょうか。
令和8年分の所得税の確定申告の期間は、翌年2月16日から3月15日までです(所得税法120条1項)。この記事の割合は、期限後申告をした年分と時期によって変わるので、下の表で当てはまる段を見てください。
無申告加算税 — 出す時期で5%から30%まで変わる
期限後申告には、納める本税とは別に無申告加算税がかかります(国税通則法66条)。割合は、いつ出したかと、本税の額で決まります。
| 出す時期 | 本税50万円まで | 50万円超300万円まで | 300万円超 |
|---|---|---|---|
| 調査の通知が来る前に自主的に出した | 5% | 5% | 5% |
| 調査の通知のあと、更正・決定を予知する前 | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けたあと(税務署の決定を含む) | 15% | 20% | 30% |
調査で帳簿を示さなかったときの加算と、繰り返しの無申告の上乗せは、この表の割合にさらに加わります(下の「ただし」と次の段落)。
原則
期限後申告には、納める本税の15%(50万円超の部分は20%・300万円超の部分は30%)の無申告加算税がかかり、調査の通知の前に自主的に出したときは5%になります。
国税通則法66条1項・2項・3項・8項
ただし
過去5年に無申告加算税や重加算税を課されていないなどの条件のもとで、法定申告期限から1か月以内に自主的に出し、本税を法定納期限までに納めたときは、無申告加算税はかかりません。
国税通則法66条9項・国税通則法施行令27条の2
期限内に申告しなかったことに正当な理由があると認められるときも、無申告加算税はかかりません。
国税通則法66条1項ただし書
調査で帳簿の提示・提出を求められて応じなかったときや、帳簿の売上などの記載が著しく不十分なときは、上の割合に10%(記載が不十分にとどまるときは5%)が加算されます。
国税通則法66条5項
繰り返しの無申告には、上乗せがあります。前年と前々年の分についても、調査の通知のあとに課された無申告加算税や、無申告に対する重加算税を課されたことがあるか、課されるべきと認められるときは、さらに10%が上乗せされます(国税通則法66条6項2号)。調査を予知して出した期限後申告や決定については、その日の前日から5年前までに同じ税目で、調査を予知した申告に対する無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合も、10%が上乗せされます(国税通則法66条6項1号)。
前年と前々年の分による上乗せは、調査の通知が来る前に自主的に出した期限後申告には適用されません(国税通則法66条6項2号)。毎年遅れる形になっている方は、この上乗せの対象になる前に、今年分から期限内の申告へ戻しておきましょう。
延滞税 — 本税だけにかかり、2か月を境に率が上がる
延滞税は、法定納期限の翌日から実際に納めた日までの日数に応じてかかる、利息のような税金です(国税通則法60条2項)。かかるのは納めるべき本税で、無申告加算税には延滞税はかかりません。
| 期間 | 割合(年) |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| 2か月を経過した日の翌日以後 | 年9.1% |
割合は毎年見直され、租税特別措置法94条の特例基準割合をもとに、その年の割合が決まります。令和9年以後の期間に当てはまる割合は、記事を書いている時点では公表されていないので、納めるときに国税庁のページで確かめてください。
期限後申告の場合の納期限は、申告書を提出した日です(国税通則法35条2項)。延滞税は本来の3月15日(法定納期限)の翌日から提出日までの期間にもかかりますが、その期間は低い方の割合です。そのうえで、提出日から2か月以内に納めれば、全期間が低い方の割合(年2.8%)で済みます。災害など納付できないやむを得ない事情があるときは、延滞税が免除される定めもあります(国税通則法63条)。
期限後申告の手順 — 作って、出して、同じ日に納める
期限後申告の4段階
申告書を作る
国税庁の確定申告書等作成コーナーで、期限内と同じ様式で作る。年分を間違えない
提出する
e-Taxで送るか、印刷して所轄の税務署へ持参・郵送する。控えを残す
同じ日に納める
提出した日が納期限。電子納税・窓口・コンビニ納付などで、その日のうちに納める
加算税の通知を待つ
無申告加算税は後日、税務署から賦課決定の通知が届いてから納める。延滞税は納付のときに併せて計算する
期限後申告は、その年分だけの問題では終わりません。所得税の申告書の内容は住民税や国民健康保険料の計算にも回るので、遅れると住民税の通知や保険料の決定もずれ込むことを頭に入れておきましょう。
まとめ — 「遅れたから出さない」が一番高くつく
期限を過ぎたときにいちばん避けたいのは、出しにくくなって放置し、税務署の調査や決定を待つ形です。自主的に出せば無申告加算税は5%で済み、延滞税も申告と納付を同じ日にすれば最小で止められます。
これから申告書を作る方は、帳簿と資料の準備が終わっているかを先に確かめてみてください。準備の整理には、弊所の個人事業主の決算・確定申告準備診断ツールをお勧めします。弊所では、期限後申告の内容と、翌年からの期限内申告への戻し方を一緒に整理しています。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき
- 国税庁 タックスアンサー No.9205 延滞税について
- 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除
- 国税庁 個別通達 国税通則法第63条第5項の規定による延滞税の免除の取扱いについて
- e-Gov法令検索 国税通則法18条(期限後申告)・35条(申告納税方式による国税等の納付)・60条(延滞税)・63条(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)・66条(無申告加算税)
- e-Gov法令検索 国税通則法施行令27条の2(期限内申告書を提出する意思等があつたと認められる場合)
- e-Gov法令検索 所得税法120条(確定所得申告)・150条(青色申告の承認の取消し)
- e-Gov法令検索 租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除)・94条(延滞税の割合の特例)
※本記事の割合は、令和8年4月1日現在の法令等と、令和8年1月1日から12月31日までの期間に適用される延滞税の割合によるものです。加算税・延滞税の実額は、年分・納付日・端数処理によって変わります。
この記事の内容、私の場合は? — 普段お使いの AI に相談
押すと、この記事の要点が質問文になって、選んだ AI に渡ります。
Gemini など、ほかの AI に貼り付けて使えます
AI によってはそのまま回答が始まります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。
※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。