確定申告のあとに届く税金 — 住民税・個人事業税・国民健康保険・予定納税はいつ、いくら
「申告は3月に終わったのに、6月に見慣れない税金の通知が届いた」— 初めて確定申告を終えた個人事業主の方に向けて、申告のあとに届く住民税・国民健康保険料・予定納税・個人事業税の4つを、届く順番と額の決まり方で整理します。令和8年分の申告(2027年3月15日まで)を出したあとの1年に当てはめて読んでみてください。
この記事の要点
- 住民税・国民健康保険料・個人事業税は前年の所得をもとに計算され、所得税の確定申告書を出せば住民税と個人事業税の申告をしたものとみなされる(地方税法313条1項・317条の3第1項・72条の49の11第1項・72条の55の2第1項・国民健康保険法施行令29条の7第2項4号)。ただし、年の途中で事業をやめた年の個人事業税はその年の所得にも課され、確定申告とは別に廃止の日から1か月以内の申告が要る(地方税法72条の49の11第2項・72条の55第1項・地方税法施行令35条の4)
- 納める時期は、住民税が6月・8月・10月・翌年1月、個人事業税が8月と11月、予定納税が7月と11月。国民健康保険料の納期は区市町村ごとに決まり、江東区は6月から翌年3月まで毎月(地方税法320条・72条の51第1項・所得税法104条1項・国民健康保険法81条)。年の途中で事業をやめた年の個人事業税は、この納期によらず廃止のあと直ちに課される(地方税法72条の51第3項)
- 額は、住民税が所得(控除後)に4%と6%を掛けた所得割と均等割、個人事業税が事業の所得から290万円を引いた額の5%(多くの業種の標準税率で、都道府県は1.1倍までの税率にもできる)、予定納税が前年分の所得税の3分の1ずつ(地方税法35条1項・314条の3第1項・72条の49の14第1項・72条の49の17第1項・3項・所得税法104条1項)
届く順番 — 6月に住民税と国民健康保険料、7月に予定納税、8月に個人事業税
所得税の確定申告書を税務署に出すと、その申告書は住民税と個人事業税の申告を兼ね、区市町村と都道府県がそれぞれの税額を計算します(地方税法317条の3第1項・72条の55の2第1項)。ただし、年の途中で事業をやめたときは、確定申告書は個人事業税の申告を兼ねず、廃止の日から1か月以内に個人事業税の申告が要ります(地方税法72条の55第1項・地方税法施行令35条の4)。
国民健康保険料も、同じ前年の所得をもとに区市町村が世帯主あてに計算します(国民健康保険法76条1項・国民健康保険法施行令29条の7第2項4号)。区市町村が国民健康保険税を課す場合は、保険料ではなく国民健康保険税になります(国民健康保険法76条1項)。3月に納めるのは所得税(消費税の課税事業者は3月31日が期限の消費税も)で、残りは6月以降に届く通知を待って納めるのが原則です。年の途中で事業をやめたときの個人事業税は、廃止のあと直ちに課されます(地方税法72条の51第3項)。
| 負担 | 何をもとに決まるか | 通知が届く時期 | 納める時期 |
|---|---|---|---|
| 住民税(都民税・特別区民税) | 前年の所得 | 6月中旬 | 6月・8月・10月・翌年1月(税額が均等割の額以下なら6月に一括) |
| 国民健康保険料 | 前年の所得と世帯の加入者(倒産・解雇などで離職した方は申請で軽減) | 6月15日頃 | 6月から翌年3月まで毎月末日 |
| 予定納税(所得税の前払い) | 前年分の所得税の額 | 6月15日まで | 7月と11月(予定納税基準額が15万円以上の人) |
| 個人事業税 | 前年の事業の所得 | 8月 | 8月と11月(税額が条例で定める額以下なら1回で全額) |
表の時期は東京都と江東区の案内によるもので、住民税の各期の日付や国民健康保険料の料率は区市町村の条例で決まります(地方税法320条・国民健康保険法81条)。令和8年分の申告に対応する令和9年度の日付は、この記事を書いた時点では公表されていないので、月までを書いています。ご自身の申告書では、どの通知が最初に届くでしょうか。
住民税 — 所得の4%と6%、均等割5,000円、6月から翌年1月まで
住民税(都民税と区市町村民税)は、前年の所得について計算した総所得金額などを課税標準にします(地方税法313条1項)。税額は、その所得から控除を引いた額に都民税4%と区市町村民税6%の標準税率を掛けた所得割と、定額の均等割の合計です(地方税法35条1項・314条の3第1項)。所得割の率は合わせて10%で、基礎控除は前年の合計所得金額が2,400万円以下なら43万円です(地方税法314条の2第2項1号)。合計所得金額がそれを超えると基礎控除は段階的に減り、2,500万円を超えるとありません(地方税法314条の2第2項)。
均等割は、都民税1,000円と区市町村民税3,000円が標準税率で(地方税法38条・310条)、これに森林環境税1,000円が併せて課されます(森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律5条・地方税法319条2項)。
3つを足した年5,000円は、所得割と違って所得の額に比例しない定額です。ただし、生活保護の生活扶助を受けている方や、前年の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方などは、均等割もかかりません。納期は原則として6月・8月・10月・翌年1月の各月で、日は区市町村の条例で決まり、特別の事情があれば別の納期も定められます(地方税法320条)。税額が均等割の額以下なら6月に一括です(地方税法320条)。
江東区では、3月15日までに出された確定申告書などをもとに6月中旬に税額を決めて納税通知書を送り、6月・8月・10月・翌年1月の4回で納めます(税額が均等割の額以下なら6月の1回)。給与の収入もある方は、次のように給与からの差し引き(特別徴収)が関わります。
- 前年に給与の支払を受け、その年度の初日にも給与の支払を受けている方は、給与の分の住民税が原則として特別徴収になります(地方税法321条の3第1項)
- 給与の支払者が6月から翌年5月まで毎月の給与から差し引いて納め、税額が均等割の額以下なら最初の月に全額を差し引きます(地方税法321条の5第1項)
- 事業の所得の分も条例により給与からの特別徴収に加えられることがあり、申告書で普通徴収(自分で納付)を選んだときはその分を納税通知書で納めます(地方税法321条の3第2項)
国民健康保険料 — 前年の所得と加入者の人数で決まり、6月から翌年3月まで毎月
国民健康保険料は、区市町村が世帯主に対して賦課し、医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40〜64歳)・子育て支援金分の4つの区分の合計です(国民健康保険法76条1項・国民健康保険法施行令29条の7第1項)。江東区の各区分は、加入者の人数で決まる均等割と、前年の所得で決まる所得割からなり、料率は条例で毎年決まります(国民健康保険法81条・国民健康保険法施行令29条の7第2項4号)。区市町村によっては、資産割や世帯ごとの平等割を加えて計算する方式もあります(国民健康保険法施行令29条の7第2項)。
所得割のもとになる所得は、前年の総所得金額等から基礎控除43万円を引いた額で、社会保険料控除や扶養控除などの所得控除は引けません(国民健康保険法施行令29条の7第2項4号・地方税法314条の2第2項1号)。このため、所得税がほとんどかからない所得の方でも、国民健康保険料は年に数十万円になることがあります。ただし、世帯の所得が一定以下なら、均等割(平等割)が7割・5割・2割のいずれかで軽減されます(国民健康保険法施行令29条の7第6項)。
| 区分 | 均等割(加入者1人あたり・年額) | 所得割の率 | 上限(年額) |
|---|---|---|---|
| 医療分 | 47,600円 | 7.51% | 67万円 |
| 後期高齢者支援金分 | 17,600円 | 2.80% | 26万円 |
| 介護分(40〜64歳の加入者) | 17,800円 | 2.43% | 17万円 |
| 子育て支援金分 | 1,873円(高校生相当年齢までの加入者を除く) | 0.27% | 3万円 |
江東区の令和8年度は、均等割の4つの区分を足すと40〜64歳の加入者1人につき年84,873円、所得割の率は合わせて13.01%と見ています。各区分の上限(賦課限度額)は政令で定められ、江東区の上限もこの額です(国民健康保険法施行令29条の7第2項9号・3項8号・4項8号・5項10号)。年度当初の納入通知書は毎年6月15日頃に世帯主あてに届き、6月期から翌年3月期までの納付書が同封されます。納付期限は毎月末日で、末日が金融機関の休業日なら翌営業日です。
国民年金の保険料は所得と関係のない定額で、令和8年度は月17,920円です。毎月の保険料は翌月末日までに納め(国民年金法91条)、国民健康保険料と同じく納めた全額が社会保険料控除になります(所得税法74条1項・2項2号・5号)。
予定納税と個人事業税 — 7月と8月に届く、所得税の前払いと都道府県の税
予定納税は、予定納税基準額が15万円以上の人が、その3分の1ずつを7月(第1期)と11月(第2期)に前もって納める制度です(所得税法104条1項)。基準額は前年分の所得税の額から源泉徴収された税額を引いて計算し、譲渡所得・一時所得・雑所得などは無かったものとみなして計算します(所得税法104条1項)。通知は税務署から届き、住民税の通知とは別の封筒です。
- 基準額は5月15日時点で確定している前年分の数字で計算し、5月16日から7月31日までに確定した数字で計算した額の方が少ないときは、その額によります(所得税法105条)
- 税務署長は6月15日までに通知し、第1期の納期限が災害などで延長されるときは、通知の期限も延びます(所得税法106条1項)
- 今年の所得が減る見込みなら、6月30日の現況で見積もった税額が基準額に満たないときは7月15日までに、10月31日の現況なら11月15日までに減額の承認を申請できます(所得税法111条1項・2項)
- 通知の書面が6月15日までに出されなかったときは、7月15日の申請の期限は、書面が出された日から数えて1か月を経過した日まで延びます(所得税法111条3項)
個人事業税は、法律が定める第一種・第二種・第三種事業を行う個人に、事務所や事業所のある都道府県が、前年中の事業の所得を課税標準として課す税で、これに当たらない業種には課されません(地方税法72条の2第3項・72条の49の11第1項)。年の途中で事業をやめた年は、その年の1月1日から廃止の日までの所得にも課されます(地方税法72条の49の11第2項)。
所得は所得税の事業所得・不動産所得の計算の例によりますが(地方税法72条の49の12第1項)、青色申告特別控除は引かずに戻し、代わりに事業主控除290万円を引きます(地方税法72条の49の14第1項)。事業を行った期間が1年に満たない年は、290万円を月割にした額を引きます(地方税法72条の49の14第2項)。税率は業種ごとに5%・4%・3%のいずれかの標準税率で、多くの業種は5%です(地方税法72条の49の17第1項)。都道府県は、標準税率の1.1倍までの税率で課すこともできます(地方税法72条の49の17第3項)。
つまり、事業の所得が290万円以下なら個人事業税はかからず、原則として申告も要りません(地方税法72条の49の14第1項・72条の55第1項)。超える人は3月15日までの申告が要りますが、所得税の確定申告書を出せば事業税の申告をしたものとみなされます(年の途中で事業をやめた年を除く。地方税法72条の55の2第1項・地方税法施行令35条の4)。
- 損失が出た年は、青色申告なら翌年以後3年間にわたって繰り越せます。損失の年とその後の年に続けて申告していることが条件で、所得税・住民税の申告でもかまいません(地方税法72条の49の12第6項)
- 申告の義務が無い年でも、損失を繰り越すなら3月15日までに個人事業税の申告をします(地方税法72条の55第2項)
- 年の途中で事業をやめたときは、廃止の日から1か月以内に個人事業税の申告をし、税は8月・11月の納期によらず廃止のあと直ちに課されます(地方税法72条の55第1項・72条の51第3項)
納期は原則として8月と11月で、日は都道府県の条例で決まり、税額が条例で定める額以下なら一方の納期に全額を納めることがあります(地方税法72条の51第1項・2項)。東京都では8月に都税事務所から納税通知書が届き、第1期の納期限は8月31日、第2期は11月30日です(休日ならその翌日)。所得税の修正申告をしたときや事業をやめたときなどは、別に届く納税通知書の納期限までに納めます。
原則
住民税・個人事業税・国民健康保険料は前年の所得をもとに計算され、確定申告を出した年の6月以降に届く通知で納めます。
地方税法313条1項・72条の49の11第1項・国民健康保険法施行令29条の7第2項4号
ただし
個人事業税は、事業の所得が事業主控除の290万円以下なら課されず、事業を行った期間が1年に満たない年は290万円を月割にした額を控除します。
地方税法72条の49の14第1項・2項
予定納税は前年の所得ではなく前年分の所得税の額で決まり、予定納税基準額が15万円に満たない人には通知も納付もありません。
所得税法104条1項・106条1項
給与の支払を受けている方の住民税は給与から差し引く特別徴収になり、事業の所得の分も条例で加えられることがあります。
地方税法321条の3第1項・2項
まとめ — 申告書の控えから、6月以降の支払いを先に書き出す
4つの負担は、どれも申告書の控えの数字から見込みが立ちます。住民税は所得割の率が合わせて10%、国民健康保険料は江東区なら所得割が合わせて13.01%に均等割、個人事業税は290万円を超えた分の5%、予定納税は所得税の3分の1ずつと押さえておけば、通知が届く前に資金を分けておけます。
確定申告のあとの1年(令和8年分の申告の場合)
3月15日までに申告書を出す
控えの所得金額・税率を掛ける前の所得・所得税額の3つをメモしておく(所得税法120条1項)
6月中旬に住民税と国民健康保険料の通知が届く
通知の所得が申告書の控えと合っているかを確かめ、違えば区市町村に問い合わせる。国民健康保険料は、その年度の最初の納期の翌日から2年を過ぎると決定も減額もできなくなる
6月15日までに予定納税の通知が届く(基準額15万円以上の人)
7月と11月の額を確かめ、所得が減る見込みなら7月15日までに減額申請(所得税法104条1項・111条1項)。通知の書面が6月15日より後に出たときは、申請の期限は出た日から数えて1か月を経過した日まで延びる(所得税法111条3項)
8月に個人事業税の納税通知書が届く(事業の所得が290万円超の人)
納期は原則として8月と11月の2回で、税額が条例で定める額以下なら1回(地方税法72条の49の14第1項・72条の51第1項・2項)。東京都の納期限は8月31日と11月30日で、届いた通知の回数分を資金計画に入れる
11月末の第2期で、申告のあとの支払いが一巡する
翌年1月の住民税と毎月の国民健康保険料だけが年明けまで続く
令和8年分の確定申告のあとの納付(東京都江東区の場合)
- 2027年3月15日所得税の確定申告と納付の期限(所得税法120条1項・128条)。申告書の控えを手元に残す
- 2027年6月15日予定納税の通知が届く期限(所得税法106条1項)。江東区の住民税の決定通知と国民健康保険の納入通知書も6月中旬に届く
- 2027年7月15日予定納税の減額申請の期限(所得税法111条1項)。6月30日の現況で税額が減る見込みの人
- 2027年7月31日予定納税第1期の期間の終わり(所得税法104条1項)。令和9年分の納期限は、公表され次第、国税庁の一覧で確かめる
- 2027年8月31日東京都の個人事業税第1期の納期限。納期は8月と11月で、日は都道府県の条例で決まる(地方税法72条の51第1項)。8月に届く納税通知書で納める
- 2027年11月30日予定納税第2期の期間の終わり(所得税法104条1項)。東京都の個人事業税第2期の納期限も同じ日。住民税は翌年1月、国民健康保険料は翌年3月まで続く
2027年7月31日は土曜日なので、令和9年分の第1期の納期限は週明けに延びる見込みです。国税庁の一覧が出たら、その日付に入れ替えてください。
申告書の控えを1枚開いて、6月以降の支払いを月ごとに書き出すところから始めてみてください。
弊所に確定申告をご依頼いただいた方には、所得税や消費税の申告書を出して終わりにせず、そのあとに届く住民税・個人事業税・国民健康保険料・予定納税を納める時期と金額をまとめてお渡ししています。このうち住民税・個人事業税・国民健康保険料は、お住まいの自治体の料率や計算方法で算定した額ではないため、概算の金額です。予定納税は、申告した所得税の額から弊所が計算した金額です。申告のあとの支払いまで見通しを立てておきたい方は、確定申告のページの料金と進め方もあわせてご覧ください。
出典
※本記事は、東京都江東区に住む個人事業主が令和8年分の所得税の確定申告(2027年3月15日まで)を出した場合を前提にしています。住民税の各期の日付、国民健康保険料の料率、個人事業税の納期限は区市町村・都道府県ごとに決まり、令和9年度の料率と日付は執筆時点で公表されていないため、料率は令和8年度のものを、日付は月までを書きました。
※金額の例は、青色申告特別控除65万円・所得控除は社会保険料控除と基礎控除のみ・本人1人の国民健康保険加入・40〜64歳・個人事業税5%の業種の前提の弊所試算で、公開済みの早見表の記事と同じ数字です。消費税の中間申告と、給与所得者の特別徴収の手続きは扱いません。
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