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住宅ローン控除の初年度は確定申告 — 必要書類・申告書に書く場所・2年目からの年末調整

「家を買った年の確定申告、何を用意すればいいのか」— 会社員で初めて住宅ローン控除を受ける方に向けて、1年目に要る書類、申告書のどこに書くか、2年目からの年末調整の流れを順に整理します。

この記事の要点

  • 会社員でも1年目は確定申告が要る。還付申告なので、入居した翌年の1月1日から出せる
  • 必要書類は計算明細書・登記事項証明書・契約書の写し・年末残高等証明書・認定住宅等の証明書。調書方式の金融機関に適用申請書を出した人は年末残高等証明書が不要で、契約書の写しも明細書に記載すれば省略できる
  • 2年目からは、税務署から届く控除証明書兼申告書を勤め先に出せば年末調整で受けられる

まず結論 — 1年目は確定申告、年が明けたら出せる

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、確定申告書に控除の記載をし、計算明細書や登記事項証明書などを添えて提出した場合に限り受けられます(租税特別措置法41条36項)。勤め先の年末調整で受けられるのは、入居した年の翌年以後の年分です(租税特別措置法41条の2の2第1項)。会社員でも1年目は自分で申告する、とまず覚えておいてください。

給与から所得税が引かれている会社員にとって、この申告は納めすぎた税金を取り戻す「還付申告」です。確定申告の義務がない人も、還付を受けるための申告書を出せます(所得税法122条)。還付申告には提出期限の定めがなく、年が明けた1月1日以後いつでも出せるので、2月16日からの申告期間を待つ必要はありません。

還付金を請求できる権利は、請求できる日から5年で時効により消えます(国税通則法74条1項)。つまり、入居した翌年の1月1日から5年の間なら出せますが、控除は翌年度の住民税にも回るので、先延ばしにせず、入居した翌年の申告期までに済ませましょう。

必要書類 — 新築や新築住宅の購入で添えるもの

1年目の確定申告に添える書類(新築・新築住宅の購入の場合)
書類入手先・作り方備考
住宅借入金等特別控除額の計算明細書作成コーナーで入力すると自動で作られる連帯債務があるときは付表も要る
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書借入先の金融機関調書方式に対応した金融機関に適用申請書を出していれば不要
家屋の登記事項証明書法務局床面積の確認用。明細書に不動産番号を書けば写しの添付に代えられる
売買契約書か工事請負契約書の写し手元の契約書取得対価の確認用。調書方式で適用申請書を出した人は、明細書にその旨を書けば添付を省略できる。土地のローンも対象にするなら土地の契約書と登記事項証明書も
認定住宅等の証明書建築会社や販売会社から受け取ったもの認定通知書の写し・住宅用家屋証明書・住宅省エネルギー性能証明書など、区分で異なる
補助金の決定通知書・贈与税の申告書の写し市区町村・自分の控え補助金や住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合だけ

給与所得の源泉徴収票は、申告書への添付も提示も要りません。ただし申告書を作るときに数字を写すので、手元には用意しておきます。

原則

住宅ローン控除は、控除の記載と、計算明細書・登記事項証明書などの添付がある確定申告書を提出した場合に限り受けられます。

租税特別措置法41条36項

ただし

調書方式に対応した金融機関からの借入れについて控除を受けるには、その金融機関に氏名・住所・マイナンバーなどを書いた「住宅ローン控除の適用申請書」を出さなければなりません。

租税特別措置法41条の2の3第1項

記載や添付が欠けた申告書を出した場合でも、やむを得ない事情があると税務署長が認めるときは、明細書や登記事項証明書などをあとから出せば控除を受けられることがあります。

租税特別措置法41条37項

適用申請書を出した借入れでは、年末残高の情報は金融機関から税務署へ調書で届くので、従来の年末残高等証明書を申告書に添える必要はなく、契約書の写しも明細書にその旨を書けば添付を省略できます。借入先が調書方式に移行していない場合は、これまでどおり金融機関から証明書の交付を受けて添えます。ご自身の借入先はどちらでしょうか。金融機関からの案内か、国税庁の対応金融機関の一覧で確かめられます。

申告書のどこに書くか — 作成コーナーなら明細書から自動で転記

作成コーナーで進める4段階

  1. 明細書を作る

    家屋と土地の取得対価・床面積・居住開始日・年末残高を入力する。マイナポータル連携なら残高は自動入力

  2. 第一表に転記する

    「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」の欄(令和7年分の様式では35番)に、明細書で計算した控除額が入る

  3. 第二表に居住開始日を書く

    「特例適用条文等」欄に居住開始年月日を記入する

  4. 添付書類とともに提出する

    e-Taxで送るか、書面なら申告書に添えて所轄の税務署へ出す

紙で書く場合も場所は同じで、明細書の数字を第一表の控除の欄に写し、第二表の「特例適用条文等」欄に入居した日を書きます。

控除額の目安 — 年末残高の0.7%、限度額は住宅の区分で変わる

控除額は、その年の12月31日の借入残高(借入限度額を超えるときは限度額)に控除率を掛けた額です(租税特別措置法41条2項)。ただし、住宅の取得等の対価の額が年末残高より少ないときはその対価の額が基礎になり、補助金や住宅取得等資金の贈与の特例を受けた額は、その対価の額から差し引きます(租税特別措置法施行令26条)。令和4年から令和12年までに入居した場合の控除率は0.7%です(租税特別措置法41条4項・8項)。限度額は住宅の区分と入居した年で決まります。

令和8年以後に入居した新築住宅の借入限度額(控除期間はいずれも13年)
住宅の区分借入限度額(1年ごとに見る年末残高の上限)子育て世帯・若者夫婦世帯の借入限度額(同じく1年ごと)
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅(令和12年までの入居)4,500万円5,000万円
ZEH水準省エネ住宅(令和12年までの入居)3,500万円4,500万円
省エネ基準適合住宅(令和9年までの入居)2,000万円3,000万円

※床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の認定住宅等に令和8年以後に入居した場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せは受けられません

上乗せの対象になる「子育て世帯・若者夫婦世帯」(特例対象個人)は、40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、19歳未満の扶養親族がいる人です(租税特別措置法41条9項)。年齢と家族の判定は、入居した年の12月31日の現況で行います(租税特別措置法41条10項)。表の3区分を新築して入居した場合の控除期間は、入居した年から13年です(租税特別措置法41条6項)。

省エネ基準適合住宅は、令和10年以後に入居すると扱いが変わります。令和9年12月31日までに建築確認を受けたものか令和10年6月30日までに建築されたものだけが対象になり、控除期間は10年、借入限度額は2,000万円で、子育て世帯の上乗せもありません(租税特別措置法41条1項・3項・25項)。

さらに、地すべり防止区域や土砂災害特別警戒区域などの災害危険区域等に新築等した家に令和10年1月1日以後に入居すると、原則として住宅の区分にかかわらず控除を受けられません(租税特別措置法41条)。ただし、建築確認を受けた時に土地の全部が区域外にあった場合と、本人や配偶者などが5年以上住んでいた家の建て替え(特定建替え)は除かれます。建築基準法の災害危険区域だけに当たる土地の家は、建築の届出に対する勧告に従わなかったことを公表された場合のものに限られます(租税特別措置法41条)。

省エネ基準を満たさない「その他の住宅」の新築は、令和5年12月31日までの建築確認か令和6年6月30日までの建築が条件です(租税特別措置法41条24項・租税特別措置法施行令26条43項)。当てはまれば借入限度額2,000万円で10年の控除、当てはまらなければ令和6年以後の入居に控除はありません(租税特別措置法41条1項・3項・24項)。

2年目からは年末調整 — 税務署の証明書を勤め先へ

原則

入居した年の翌年以後は、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を勤め先経由で出せば、年末調整で控除を受けられます。

租税特別措置法41条の2の2第1項

ただし

この申告書は、その年最後の給与の支払日の前日までに、税務署が交付した証明書などを添えて出します。合計所得金額の見積額が2,000万円(床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の家は1,000万円)を超える年は出せません。

租税特別措置法41条の2の2第2項

年末残高等証明書が年末調整に間に合わなかったときは確定申告で控除を受けられ、翌年1月31日までに証明書を添えて申告書を出せば、勤め先が年末調整の再計算をして差し支えないとされています。

措置法通達41の2の2-1

申告書と一体になった控除証明書は、1年目の確定申告のあとに税務署から届き、その時期は確定申告をした年の10月ごろとされています。調書方式に対応した金融機関からの借入れでは、書面交付は入居2年目の11月下旬ごろに残りの年数分がまとめて郵送され、電子交付を選ぶと毎年11月中旬ごろにe-Taxのメッセージボックスに入ります。書面交付で年末残高などの事項が載るのは入居2年目の年分の証明書だけで、3年目以降の年分は返済計画表等をもとに控除額を計算します。証明書方式なら、金融機関の年末残高等証明書を併せて勤め先に出します。

年末調整の対象になるのは、その年の給与が2,000万円以下の人です(所得税法190条)。給与が2,000万円を超える人や個人事業主は、2年目以後も毎年の確定申告で控除を受けます。

所得税から引ききれなかった控除額は、翌年度の個人住民税から控除されます。控除できるのは、前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円が上限)までです。確定申告や年末調整の情報が市区町村に回る仕組みなので、住民税のために市区町村へ申告する必要はありません。

まとめ — 1年目だけ自分で申告すれば、あとは年末調整で続く

会社員の住宅ローン控除は、1年目の確定申告で要件と書類を確かめ、2年目からは税務署の証明書を勤め先に出すだけです。1年目の申告が通れば、あとは毎年の年末調整の流れに乗ります。

確定申告の時期に慌てないよう、年内に書類の有無だけでも確かめてみてください。給与以外の収入がある方や、連帯債務・共有名義で計算に迷う方は、弊所の個人の確定申告の案内をご覧ください。

出典

※本記事の要件・限度額・控除率は、令和8年4月1日現在の法令等と、令和7年分の確定申告書の様式によるものです。申告書の欄の番号は年分によって変わることがあります。

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