確定申告を間違えたら — 修正申告と更正の請求の使い分け・期限・加算税がかからない場合
「申告書を出したあとで、経費の入れ忘れに気づいた」— 確定申告の内容を間違えたことに気づいた方に向けて、税金が少なすぎたとき・多すぎたときの直し方の違いと、それぞれの期限、加算税がかからない場合を整理します。
この記事の要点
- 申告期限内なら、正しい申告書を作り直して出し直すだけでよい。期限を過ぎたら、納める税金が少なすぎたときは修正申告、多すぎたときは更正の請求で直す(国税通則法19条・23条)
- 更正の請求は法定申告期限から5年以内。修正申告に期限は無いが、税務署の調査の通知が来る前に自分から出せば、過少申告加算税はかからない(国税通則法65条6項)
- 修正申告で納める税金には延滞税がかかるが、対象は本税だけ。期限内に申告していれば、申告期限から1年を過ぎた期間は計算に入らない(国税通則法61条1項)
まず結論 — 期限内なら出し直し、期限後は「少なすぎ」か「多すぎ」かで手続きが分かれる
法定申告期限(所得税は原則、翌年3月15日・所得税法120条1項)の前に間違いに気づいたなら、正しい内容で申告書を作り直し、期限までにもう一度出せば済みます。納める税金や還付される税金は、出し直した申告書に書いた金額で決まります。
なお、当初の申告書で還付金をすでに受け取っていて、出し直した申告書で還付が減るか納付に変わるときは、受け取り済みの分を精算して納める手続きが要ります。
期限を過ぎてからは、申告書の出し直しではなく、間違いの向きで決まる2つの手続きのどちらかになります。納める税金が少なすぎた(還付や純損失の金額が多すぎた)なら修正申告、多すぎた(還付や純損失の金額が少なすぎた)なら更正の請求です(国税通則法19条1項・23条1項)。赤字の年に純損失の金額を多く書きすぎたときも、その年の税額は増えませんが、修正申告の対象になります(国税通則法19条1項2号)。
| 項目 | 修正申告 | 更正の請求 |
|---|---|---|
| どんなとき | 納める税金が少なすぎた・還付される税金や純損失の金額が多すぎた | 納める税金が多すぎた・還付される税金や純損失の金額が少なすぎた |
| いつまで | 期限の定めは無く、税務署の更正があるまで出せる | 法定申告期限から5年以内 |
| 出すもの | 修正申告書(申告書第一表・第二表。分離課税の所得があれば第三表も) | 更正の請求書と、理由の基礎となる事実を証明する書類 |
| 税額はいつ変わるか | 提出した日に確定し、その日が納期限 | 税務署が内容を調べ、認めたときに減額の更正をして還付 |
| 加算税 | 調査の通知の前に自分から出せばかからない。通知のあとは5〜15% | かからない |
ご自身の間違いは、どちらの向きでしょうか。
修正申告 — 期限は無いが、調査の通知が来る前に出すかどうかで加算税が変わる
修正申告は、税務署の更正があるまではいつでもできます(国税通則法19条1項)。ただ、「いつでも」は放っておいてよいという意味ではありません。税務署は原則として法定申告期限から5年(偽りや不正があった年分は7年)の間は更正ができるので(国税通則法70条1項・5項)、自分から直すより先に税務署に直されると、次の表の下の段の加算税がかかります。ただし、還付を受けるための申告書(還付請求申告書)を出した年分の更正の5年は、法定申告期限ではなく、その申告書を出した日から数えます(国税通則法70条1項1号)。
修正申告で新たに納める税金には、過少申告加算税がかかります。割合は、修正申告をいつ出したかで変わります(国税通則法65条)。
| 出す時期 | 当初の申告税額と50万円のいずれか多い方までの部分 | それを超える部分 |
|---|---|---|
| 調査の通知が来る前に自分から出した | かからない | かからない |
| 調査の通知のあと、更正を予知する前 | 5% | 10% |
| 調査を受けたあと(税務署の更正を含む) | 10% | 15% |
調査の通知とは、税務署が実地の調査を行うこと・対象の税目・対象の期間を知らせる連絡のことです(国税通則法65条6項・74条の9第1項・同施行令27条4項)。この連絡より前に自分から出した修正申告には、過少申告加算税はかかりません。間違いに気づいたら、通知が来る前に出す。これが加算税を避ける一番確実な方法です。
原則
修正申告で新たに納める税額には、10%(当初の申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)の過少申告加算税がかかります。
国税通則法65条1項・2項
ただし
調査の通知が来る前に、更正を予知せずに自分から出した修正申告には、過少申告加算税はかかりません。
国税通則法65条6項
当初の申告で税額の計算に入れていなかったことに正当な理由があると認められる事実に基づく部分には、かかりません。
国税通則法65条5項1号
過少申告加算税の額が5,000円未満のときは全額が切り捨てられ、かかりません。10%の割合なら、新たに納める税額が5万円未満のときがこれに当たります。
国税通則法118条3項・119条4項
調査で帳簿の提示や提出を求められて応じなかったときや、帳簿の売上などの記載が著しく不十分なときは、上の割合に10%(記載が不十分にとどまるときは5%)が加算されます。
国税通則法65条4項
事実を隠したり仮装したりしていたときは、更正を予知する前に自分から出した修正申告を除き、過少申告加算税に代えて35%の重加算税がかかります。
国税通則法68条1項
重加算税は、過去5年の間に同じ税目で無申告加算税等を課されたことがあると、さらに10%が加算されます。
国税通則法68条4項1号
当初の申告が期限後申告だった年分は、修正申告で納める税額に過少申告加算税ではなく無申告加算税がかかることがあります(国税通則法66条1項2号)。期限後申告の加算税の割合は、下の関連記事で整理しています。
延滞税 — 本税だけにかかり、申告期限から1年を過ぎた期間は計算に入らない
修正申告で新たに納める税額の納期限は、修正申告書を提出した日です(国税通則法35条2項1号)。この税額(本税)には延滞税がかかります(国税通則法60条1項2号)。延滞税の額は、本来の法定納期限の翌日から納め終える日までの日数に応じて、まだ納めていない税額をもとに計算します(国税通則法60条2項)。
割合は、納期限(提出した日)までの期間と、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、それ以後は年9.1%です(令和8年1月1日から12月31日までの期間)。割合は毎年見直されるので、翌年以後に納めるときは国税庁のページで確かめてみてください(租税特別措置法94条)。
期限内に申告していた人が、法定申告期限から1年を過ぎてから修正申告をしたときは、1年を経過した日の翌日から修正申告書を出した日までの期間は、延滞税の計算に入りません(国税通則法61条1項1号)。修正申告書を出した日に納めれば、延滞税は最長でも1年分です。期限後申告だった年分は、その申告書を出した日の翌日から1年で数えます(同項2号)。
ただし、偽りや不正の行為で税を免れたり還付を受けたりした人が、調査で更正を予知してから出した修正申告には、この特例はありません(国税通則法61条1項)。その場合も、特例が使えないのは、偽りや不正の行為で免れた(還付を受けた)部分の税額だけです(昭和51年6月10日付 徴管2-35ほか)。
法定申告期限(3月15日)から数える、直せる期間の目安
- 法定申告期限の日この日までなら、正しい申告書を作り直して出し直せる
- 1年期限内に申告した年分の修正申告は、延滞税の計算期間がここまで(偽りや不正があり、調査で更正を予知して出したときは、その偽りや不正による部分の税額を除く)
- 5年更正の請求はここまで。税務署の更正も原則ここまで
- 7年偽りや不正があった年分は、税務署の更正がここまでできる
更正の請求 — 5年以内に、事実を証明する書類を添えて出す
納める税金が多すぎた、還付される税金や純損失の金額が少なすぎたときは、更正の請求で直します。法定申告期限から5年以内に、更正の請求書を所轄の税務署長に出します(国税通則法23条1項・3項)。
修正申告と違い、出しただけでは税額は変わりません。税務署が内容を調べ、認めたときに減額の更正が行われて納めすぎた税金が還付され、認められないときは「更正をすべき理由がない旨」の通知が届きます(国税通則法23条4項)。請求書には、請求の理由と事情の詳細、更正前と更正後の金額を書き、理由の基礎となる事実を証明する書類(帳簿・領収書・契約書など)を添えます(国税通則法23条3項・同施行令6条2項)。
過少申告加算税と延滞税は、修正申告や更正で新たに納める税額にかかるものなので(国税通則法65条1項・60条1項2号)、税額を減らす更正の請求でかかることはありません。還付される税金には、還付加算金という利息に当たるものが付くことがあります(国税通則法58条1項2号)。
更正の請求の4段階
間違いを確かめる
当初の申告書の控えと資料を並べ、正しい税額を計算し直す。税額(または純損失の金額)が変わらない間違いは、更正の請求の対象にならない
請求書を作る
国税庁の確定申告書等作成コーナーの「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で、更正前・更正後の金額と理由を入力して作る
証明する書類を添えて出す
領収書・帳簿・契約書など、理由の基礎となる事実を証明する書類を添付し、e-Taxで送るか所轄の税務署へ郵送・持参する
通知を待つ
認められれば減額の更正の通知と還付、認められなければ「更正をすべき理由がない旨」の通知が届く。税務署が内容を調べたあとに届くので、時間がかかることもある
原則
更正の請求ができるのは、法定申告期限から5年以内です。
国税通則法23条1項
ただし
申告のあとに、裁判で計算の基礎となった事実が違っていたと確定したなど、後から生じた理由によるときは、その理由が生じた日の翌日から2か月以内なら、5年を過ぎていても請求できます。
国税通則法23条2項
所得の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額や純損失の金額が変わらないときは、更正の請求はできません。
国税通則法23条1項
上場株式の配当を含めずに確定申告した年分は、あとから修正申告や更正の請求でその配当を含める形に変えることは認められていません。
間違いに気づいた日にやること — 修正申告の手順
修正申告の4段階
正しい税額を計算し直す
当初の申告書の控えと資料を並べ、売上・経費・控除を正しい額に直す。作成コーナーの「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」なら税額が自動で計算される
修正申告書を出す
申告書第一表・第二表(分離課税の所得があれば第三表も)に修正後の金額を書き、e-Taxで送るか所轄の税務署へ出す
同じ日に納める
提出した日が納期限。新たに納める税額を、電子納税・窓口・コンビニ納付などでその日のうちに納める。延滞税は本税に合わせて納める
加算税の通知があれば納める
調査の通知のあとに出した修正申告なら、後日、過少申告加算税の賦課決定の通知が届く。通知書が発せられた日の翌日から1か月以内に納める(国税通則法35条3項)
まとめ — 「気づいた日に、通知より先に」
間違いに気づいたときにいちばん避けたいのは、どちらの手続きか迷っているうちに調査の通知が届く形です。少なすぎたなら通知の前に修正申告、多すぎたなら5年以内に更正の請求、と向きを決めれば、あとは書類を作って出すだけです。
修正申告と更正の請求のどちらで直すか、翌年からの申告をどう整えるかは、弊所でも一緒に整理しています。当初の申告書の控えと、入れ忘れた領収書や漏れた売上の資料をそろえてご相談ください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2026 確定申告を間違えたとき
- 国税庁 タックスアンサー No.9205 延滞税について
- 国税庁 申告や納税について知っておきたいこと「申告に誤りがあった場合など」
- 国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A「申告が間違っていた場合」
- 国税庁 質疑応答事例「確定申告で申告しなかった上場株式等の利子及び配当を修正申告により申告することの可否」
- 国税庁 個別通達 延滞税の計算期間の特例規定の取扱いについて(昭和51年6月10日付徴管2-35ほか)
- e-Gov法令検索 国税通則法19条(修正申告)・23条(更正の請求)・35条(申告納税方式による国税等の納付)・58条(還付加算金)・60条(延滞税)・61条(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)・65条(過少申告加算税)・66条(無申告加算税)・68条(重加算税)・70条(国税の更正、決定等の期間制限)・74条の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)・118条・119条(端数計算)
- e-Gov法令検索 国税通則法施行令6条(更正の請求)・27条(過少申告加算税等を課さない部分の税額の計算等)
- e-Gov法令検索 所得税法120条(確定所得申告)
- e-Gov法令検索 租税特別措置法8条の5(確定申告を要しない配当所得等)・94条(延滞税の割合の特例)
※本記事の割合は、令和8年4月1日現在の法令等と、令和8年1月1日から12月31日までの期間に適用される延滞税の割合によるものです。加算税・延滞税の実額は、年分・納付日・端数処理によって変わります。
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