会社は資本金1円でも設立できます。それでも実際に1円で作る人が少ないのはなぜか — この記事では、1円設立の不都合と、逆に大きくしすぎたときの落とし穴、金額を決める3つの基準を整理します。
会社は資本金1円でも設立できます。それでも実際に1円で作る人が少ないのはなぜか — この記事では、1円設立の不都合と、逆に大きくしすぎたときの落とし穴、金額を決める3つの基準を整理します。
この記事の要点
資本金は、出資者(1人会社なら社長自身)が会社に払い込む事業の元手です。借入金と違って返済の義務はなく、払い込んだお金は設備や仕入れ、当面の経費の支払いに使えます(口座に寝かせておく義務はありません)。
そして資本金の額は登記されます。取引先や金融機関は、登記情報を取れば誰でも確認できます。資本金は「この会社が最初に用意した体力」を外に示す数字でもあるわけです。
制度の上では1円で設立できますが、次の不都合があります。
1円設立が違法だという話ではありません。「1円でも作れる」と「1円で作るのが得策」は別、というだけの話です。
逆に、資本金を大きくしすぎることにも明確なデメリットがあります。
いちばん大きいのは消費税です。設立1期目・2期目の期首の資本金が1,000万円以上だと、その期は消費税の納税義務が免除されません。新しい会社は最初の2期が原則免税ですが、資本金の入れすぎでこの入口を自ら閉じてしまう形になります。
もう1つは設立費用です。設立の登録免許税は資本金の1,000分の7で計算されます(株式会社は15万円、合同会社は6万円に満たないときはその額)。小さな資本金なら下限の定額で収まりますが、資本金を大きくすればこの税額も増えていきます。
| 基準 | 見るポイント |
|---|---|
| 事業に必要なお金 | 設立の初期費用と、売上が安定するまでの運転資金を賄えるか |
| 消費税の1,000万円基準 | 期首の資本金1,000万円以上だと設立1期目から課税事業者になる |
| 対外的な見え方 | 取引先・金融機関が登記で見る数字として不自然でないか |
なお、あとから資本金を増やす(増資する)ことはできますが、登記の変更手続きが必要になります。最初に現実的な額を入れておくほうが手間がありません。
役員報酬を低く抑えるマイクロ法人でも、元手ゼロでは回りません。
たとえば役員報酬が月4.5万円の会社では、報酬の年額54万円に社会保険料の会社負担約13.6万円を加えて、年約68万円の支払いが最初の年から発生します(40歳未満・東京都の令和8年度料率・弊所試算)。
売上の入金が安定するまでの数か月分をこの規模感で見積もり、設立の初期費用と合わせた額を資本金の下限の目安にすると、実態に合った数字になります。
資本金は、少なすぎれば見え方と資金繰りで損をし、多すぎれば消費税の免税の入口を自ら手放します。初期費用と当面の運転資金を賄え、かつ1,000万円基準の内側 — この範囲で、事業計画から逆算して決めるのが現実的です。
弊所では、法人化・会社設立の試算の中で、資本金や決算月といった「あとから直しにくい設計」のご相談もお受けしています。
※消費税の課税・免税の判定には、資本金のほかに特定期間の売上やインボイス登録の有無なども関わります。個別の判定は事業の実態を見て確認してください。
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