利益(売上-経費)が600万円前後の個人事業主は、ちょうど法人化の分かれ目のゾーンにいます。この記事では、利益600万円の場合の個人と法人の年間負担を、役員報酬3パターンの実額で比べます。

この記事の要点

  • 個人のままの年間負担は約176.3万円(税金+国保+国民年金・弊所試算)
  • 法人化して報酬月20万円なら約158.8万円で、約17.4万円軽くなる
  • 報酬月45万円だと約211.8万円で逆に重くなる。600万円は「報酬設計しだい」のゾーン

個人のままの負担 — 約176.3万円

利益600万円の個人事業主の年間負担は、次の内訳で合計約176.3万円です(弊所試算)。

利益600万円・個人のままの年間負担(弊所試算)
内訳年額
国民健康保険+国民年金約92.1万円
所得税約30.9万円
住民税約38.5万円
個人事業税約14.8万円
合計約176.3万円

利益の3割近くが、税金と保険料で出ていく計算です。

法人化した場合 — 報酬の決め方で結果が変わる

同じ利益600万円で法人化し、役員報酬を3パターンに変えて比べます。

法人化した場合の年間負担と個人との差(弊所試算・会社+社長の合計)
役員報酬の月額年間の負担(年額)個人のままとの差(年額)
月20万円約158.8万円約17.4万円軽い
月30万円約175.7万円ほぼ同じ(約0.6万円軽い)
月45万円約211.8万円約35.5万円重い

報酬を抑えるほど社会保険料が減り、法人有利に傾きます。逆に報酬を取りすぎると、社会保険料の増加が節税分を食いつぶします。

法人化シミュレーションの画面。個人のままと法人化した場合の年間負担を並べて比較し、結論の文章が自動表示される
法人化シミュレーションの画面。個人のままと法人化した場合の年間負担を並べて比較し、結論の文章が自動表示される

なぜ「報酬しだい」になるのか

個人のままの税金と国保は、利益から自動的に決まり、選択の余地がほとんどありません。

法人化すると「報酬でいくら取り、法人にいくら残すか」という設計の自由が生まれ、この配分が社会保険料と税金の合計を大きく動かします。

ただし報酬を極端に低くすると、生活資金・将来の年金・借入の審査に影響します。数字と暮らしの両面から決める必要があります。

まとめ — 600万円は「試算してから」のゾーン

利益600万円は、設計しだいで得にも損にもなる境目です。勘で決めるには惜しい水準です。

弊所では、あなたの実際の売上・経費・家族構成で報酬パターン別の実額を並べ、法人化すべきかどうかからお答えしています。

※本記事の金額は、青色申告特別控除65万円・基礎控除のみ反映・個人事業税5%の業種・40〜64歳・東京都(国保は江東区)の令和8年度料率での概算です。有利・不利は前提によって変わります。