決算日から2か月が近づいているのに、帳簿の入力も資料の整理も終わっていない。そんな小さな会社の社長に向けて、期限を過ぎると何が起きるか、延長の特例は使えるのか、今から何をすればよいかを整理します。
決算日から2か月が近づいているのに、帳簿の入力も資料の整理も終わっていない。そんな小さな会社の社長に向けて、期限を過ぎると何が起きるか、延長の特例は使えるのか、今から何をすればよいかを整理します。
この記事の要点
法人税の確定申告書は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、確定した決算に基づいて提出します(法人税法74条)。3月決算なら5月末、9月決算なら11月末が期限です。
消費税の確定申告も、原則として課税期間の末日の翌日から2か月以内です(消費税法45条)。ただし、清算中の法人で残余財産が確定したときは1か月以内になります。免税事業者にはこの申告はありません。
納付の期限は、法人税も消費税も申告書の提出期限と同じ日です(法人税法77条・消費税法49条)。
| 税目 | 期限 | 延長の特例 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 決算日の翌日から2か月以内 | 定款の定めなどの条件を満たす法人が申請すると1か月延長(決算日の翌日から3か月以内) |
| 消費税(課税事業者) | 課税期間の末日の翌日から2か月以内 | 法人税の延長の特例を受ける法人が届出をすると1か月延長(課税期間の末日の翌日から3か月以内) |
期限を過ぎてから出す申告は「期限後申告」になり、納める税額に応じた無申告加算税がかかります(国税通則法66条)。割合はいつ申告したかで変わるので、表で確かめてみましょう。
| 申告した時期 | 割合 |
|---|---|
| 税務署から調査の通知が来る前に、自分から期限後申告した | 5% |
| 調査の通知が来た後で、調査による決定を予知する前に申告した | 10%(50万円を超える部分は15%、300万円を超える部分は25%) |
| 調査を受けた後に申告した、または税務署が税額を決定した | 15%(50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%) |
期限から1か月以内に自分から申告し、期限内に申告する意思があったと認められる場合には、無申告加算税はかかりません(国税通則法66条9項)。認められる条件は2つです。納める税額の全額を法定納期限までに納めていることと、申告日の前日から5年以内に無申告加算税・重加算税を課されておらず、この免除も受けていないことです(国税通則法施行令27条の2)。
逆に重くなる場合もあります。税務署から調査の通知が来た後の申告で、前年と前々年にも無申告加算税(または重加算税)を課されていると、上の割合に10%が加算されます(国税通則法66条6項)。
このほか、納付が遅れた日数に応じた延滞税がかかります(国税通則法60条)。期限後申告では申告書を提出した日が納期限になり、その日までの延滞税を合わせて納めます。
確定申告書を提出期限までに提出しなかった場合、税務署長は青色申告の承認を取り消すことができます(法人税法127条1項4号)。国税庁の運用では、2事業年度連続して期限内に提出がない場合に取り消し、2事業年度目以後の事業年度が対象になります。
取り消されると、青色申告書を提出することが条件になっている特典が使えなくなります。いちばん大きいのは赤字の繰越しです。青色申告書を提出しない事業年度に生じた赤字(欠損金)は、災害による損失の部分を除いて、翌期以降に繰り越せません(法人税法58条)。中小企業者等が少額の減価償却資産を買った年に一度に経費にする特例も、青色申告書を提出する法人だけが使えます(租税特別措置法67条の5)。
法人税には、申告期限を1か月延長する特例があります。対象は、定款などの定めや特別の事情により、決算日の翌日から2か月以内に定時総会が招集されない常況にあると認められる法人です(法人税法75条の2)。会計監査人を置く大きな会社だけの制度ではありません。定款に「定時株主総会は事業年度終了後3か月以内に招集する」と定めていれば、株主が社長1人の会社でも申請できます。
申請書は、最初に適用を受けようとする事業年度の終了の日までに、定款の写しを添えて提出します。決算日を過ぎてから「帳簿が終わらないので延ばしたい」という使い方はできません。今期に間に合わなくても、定款を変えて(株主総会の特別決議が要ります)申請しておけば、来期からは決算日の翌日から3か月以内が申告期限になります。
消費税は、法人税の延長の特例を受けている法人が届出書を出した場合に、課税期間の末日の翌日から3か月以内になります(消費税法45条の2)。届出書はその提出日の属する事業年度から効き、延長された期間の消費税には利子税がかかります。法人事業税も、都道府県知事の承認を受けると決算日から3か月以内になります(地方税法72条の25第3項)。法人住民税の申告期限は法人税の申告書の提出期限と同じなので(地方税法321条の8)、法人税の延長に連動します。
延長の特例を受けている法人が、延びた期限も過ぎて申告した場合、期限内に見込みで納めていた額があっても、無申告加算税は申告書に記載した納める税額を基礎に計算されます。災害などやむを得ない理由による期限の延長は、これとは別の手続です。
期限まで数週間あるなら、まだ打てる手があります。まず、次の順番で状況を整理してみましょう。
期限まで残り数週間のときの3段階
期限を確認する
決算日、消費税の課税事業者かどうか、延長の特例を受けているかを確認する
残っている作業を分ける
入力の続き、未入金・未払い、給与、資産・在庫、残高照合、足りない資料を一覧にする
期限内に出せる形を決める
自分で続ける部分と依頼する部分を分け、今の状態のまま相談する
手順2)の一覧づくりには、弊所の法人の決算準備診断ツールをお勧めします。帳簿の入力状況、資料の準備、残高照合、消費税の予定に答えると、これから進める作業と確認事項を整理して表示します。
期限後になる場合でも、申告書は確定した決算に基づいて作る必要があります(法人税法74条)。決算書を確定させる手続は、期限後でも省けません。
弊所では、記帳・決算・申告を継続して見ていく顧問契約を基本にしています。期限が迫った今期については、帳簿の状態と残りの日数を見て、受任できる範囲と時期を個別に確認します。
「今期は期限後になってしまうかもしれない」という状態でも、来期を同じ形にしないための記帳の進め方から相談できます。診断の結果から相談へ進むと、回答と確認事項の要約がフォームに引き継がれます。
出典
※合同会社の場合: 本文の「株主総会の決議」は株式会社の場合の手続きです。合同会社には株主総会がなく、業務に関する事項は社員(出資者)の決定で決めます(社員が2人以上なら原則その過半数・一人会社なら本人の決定 — 会社法590条)。役員報酬のような重要事項は定款の定めか総社員の同意で決め、定款の変更には原則として総社員の同意が必要です(同637条)。いずれの場合も、同意書・決定書の形で日付と内容を書面に残します。税務の届出などで「株主総会等の決議」が求められる場面では、合同会社ではこの決定・同意がこれに当たります(法人税法施行令69条3項)。
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