簡易課税に切り替えたい個人事業主の方に向けて、「消費税簡易課税制度選択届出書」をいつまでに出せばよいかを場面ごとに整理しました。出し忘れると1年待つことになる届出なので、まず期限から確かめてみましょう。
簡易課税に切り替えたい個人事業主の方に向けて、「消費税簡易課税制度選択届出書」をいつまでに出せばよいかを場面ごとに整理しました。出し忘れると1年待つことになる届出なので、まず期限から確かめてみましょう。
この記事の要点
簡易課税を使うには、「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署へ出します。期限は、簡易課税を使いたい課税期間の初日の前日までです(消費税法37条1項)。個人事業者の課税期間は暦年なので、令和10年分から使うなら令和9年12月31日までに出します。
令和10年になってから出した届出は、令和11年分から効きます。「今年から簡易課税にしよう」と年明けに思い立っても、その年には間に合わないのが原則です。ただし、開業した年など事業を開始した課税期間については別の定めがあり、その課税期間中に出せばその年から使えます(消費税法37条1項)。

免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受けて課税事業者になる場合、登録日の属する課税期間中に届出書を出せば、その課税期間から簡易課税を使えます(令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に登録した場合)。登録した年の12月31日までに出せば、その年の申告から簡易課税にできる特例です。
2割特例を使った翌年に簡易課税へ移るときは、その翌年の中(12月31日まで)に届出書を出せばその年から簡易課税を使える特例が、2割特例の創設時(令和5年度税制改正)から設けられています(平成28年改正法附則51条の2)。前年末までに出し忘れても、その年のうちなら間に合う仕組みです。
令和8年度税制改正はこの期限を「その年の確定申告期限まで」に延ばし、3割特例を使った翌年にも同じ扱いを広げました。延びた期限が使えるのは、簡易課税へ移る年が令和8年10月1日以後に終わる場合で、個人事業者なら令和8年分以後に移るときです。個人事業者の申告期限は原則として翌年3月31日(土日なら翌開庁日)です。
たとえば令和10年分に3割特例を使い、令和11年分から簡易課税にする場合、令和11年分の申告期限までに出せば間に合います。3割特例が終わったあと、申告書を作る段階で簡易課税と本則課税のどちらが軽いかを見てから決められる、実務上ありがたい特例です。一方、令和6年分に2割特例を使って令和7年分から簡易課税へ移った方は、令和7年12月31日が届出の期限でした。
| 場面 | 届出書の提出期限 |
|---|---|
| もともと課税事業者で、翌年から簡易課税にしたい | 使いたい年の前年12月31日まで |
| インボイス登録を機に課税事業者になった年から使いたい | 登録した年の12月31日まで |
| 2割特例を使った翌年(令和7年分まで)から使いたい | その翌年の12月31日まで |
| 2割特例・3割特例を使った翌年(令和8年分以後)から使いたい | その翌年の確定申告期限まで |
届出書は1枚で、書く欄は次の5つです。
2割特例・3割特例を使った翌年に切り替える場合は、様式の上部にある経過措置の欄にその旨を記入します。事業区分は納税額を大きく左右するため、判定に迷う場合は届出前に確認しておきます。
簡易課税を選んだ事業者は、事業を廃止した場合を除き、届出の効力が生じた年の初日から2年を経過する日の属する年の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出せません(消費税法37条6項)。実務上は、令和10年分から簡易課税にすると、令和10年分と令和11年分の2年間は簡易課税が続くという意味です。廃業したときだけは、2年たっていなくても不適用届出書を出せます。
この2年間に大きな設備投資や仕入れの増加があっても、原則として本則課税に戻って還付を受けることはできません。翌年の投資計画まで見てから届出を出すのが安全です。ただし、災害その他やむを得ない理由で被害を受け、緊急の設備投資などのために簡易課税をやめる必要が生じたときは、税務署長の承認を受けて、その被害を受けた年から本則課税に戻れる特例があります(消費税法37条の2第6項)。承認の申請は、災害などがやんだ日から原則2か月以内です。なお、相続で事業を引き継いだ場合は、亡くなった方が出していた届出の効力は相続人には及ばず、相続人が改めて届出を出します。相続があった年から簡易課税を使いたいときは、その年の12月31日までに相続人の名前で届出を出せば、その年から使えます(それまで事業をしていなかった方や、その年に免税事業者から課税事業者になる方の場合。消費税法基本通達13-1-3の2)。
基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円を超える年は、届出を出していても簡易課税は使えず、本則課税で申告します。届出の効力自体は残るので、その後の年に5,000万円以下へ戻れば、あらためて簡易課税が適用されます。ただし、あらためて適用されるのは、その年も課税事業者(基準期間の課税売上高が1,000万円超など)で、不適用届出書を出していない場合です。
第5種(サービス業)・税込の年間売上660万円・消費税のかかる経費110万円の個人事業者を例にすると、届出の有無で納付額は次のように変わります。
| 申告方式 | 納付見込額(年額) |
|---|---|
| 本則課税(届出なし) | 50万円 |
| 簡易課税(届出あり・第5種) | 30万円 |
| 3割特例(令和9・10年分のみ・届出不要) | 18万円 |
届出を1枚出したかどうかで、年20万円の違いが毎年続きます。令和9年分・10年分に限っては3割特例のほうが軽いため、届出は令和11年分に向けて考える、という順番になる方も多いはずです。ただし3割特例が使えるのは、インボイス登録をした個人事業者で、前々年の課税売上高が1,000万円以下の年に限られます。この条件を外れる年は簡易課税か本則課税になるため、届出の要否は年ごとに確かめます。
届出の期限は「前年12月31日まで」が原則で、インボイス登録の年と特例を使った翌年だけ例外があります。下のシミュレーションで年分を選ぶと、その年に使える方式と届出の要否・期限がその場で出ます。届出を出す前に、あなたの数字で確かめてみてください。
※本記事の金額は、標準税率10%の売上・経費だけで計算した概算です(国税7.8%と地方消費税2.2%の合計・百円未満切捨て)。災害などやむを得ない事情で期限に間に合わなかった場合の特例は、別の手続きになります。
出典
この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。
消費税の申告方式シミュレーションで実際にあなたの数字で試す→この記事の内容、私の場合は? — 普段お使いの AI に相談
押すと、この記事の要点が質問文になって、選んだ AI に渡ります。
Gemini など、ほかの AI に貼り付けて使えます
AI によってはそのまま回答が始まります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。
※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
無料相談の中で、売上と利益を伺いながら概算の試算をその場でお出しできます。数字を見てから、ゆっくりご検討ください。
普段お使いの AI に相談
1. 相談したいことを選ぶ
2. 相談する AI を選ぶ
用意した質問文がそのまま渡ります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。