家族の多い個人事業主ほど、国民健康保険の負担は重くなります。この記事では、マイクロ法人で社会保険に切り替えたときの「扶養」の仕組みと、家族構成で削減額がどう変わるかを整理します。
家族の多い個人事業主ほど、国民健康保険の負担は重くなります。この記事では、マイクロ法人で社会保険に切り替えたときの「扶養」の仕組みと、家族構成で削減額がどう変わるかを整理します。
この記事の要点
国民健康保険の保険料は、世帯の加入者ごとに計算されます。収入のない配偶者や子どもにも、加入者1人あたりの均等割がかかります。
江東区の令和8年度の料率では、この均等割は1人あたり年約6.7万円(40〜64歳の方は介護分が加わり年約8.5万円)です。
マイクロ法人を作って健康保険に入ると、収入などの要件を満たした家族は被扶養者として保険料の追加なしで加入できます。
家族が何人いても、保険料は社長本人の役員報酬で決まる額だけ。ここが国保との一番大きな構造の違いです。
国保との違いを並べると、次の表のとおりです。
※計算図の税・保険料の基準(該当する項目): 所得税は令和8年分、保険料は令和8年度。
| 項目 | 個人事業のみ | 個人事業 + マイクロ法人 |
|---|---|---|
| 医療保険 | 国民健康保険 (世帯全員分) | 法人の健康保険 (家族は条件を満たせば被扶養者) |
| 年金 | 国民年金 (月17,920円・令和8年度) | 厚生年金 (国民年金に上乗せ) |
| 保険料の基準 | 前年の所得。所得が増えるほど上限まで増える | 法人から受け取る役員報酬の月額。個人事業の所得とは切り離される |
| 家族の保険料 | 家族の人数に応じてかかる | 収入などの条件を満たす家族は、追加の保険料なし (被扶養者) |
| 追加でかかる固定費・事務 | なし | 法人住民税の均等割 (年70,000円ほど)・決算・給与計算・社会保険の手続きが毎年続く |
→ 表は横にスクロールできます
保険料の基準が「所得」から「役員報酬の月額」へ変わることが、この形の仕組みの核心です。ただし法人の固定費と事務が毎年加わるため、差し引きの損得は数字しだいで変わります。
さらに、厚生年金に入っている人に扶養される配偶者(20歳以上60歳未満)は、国民年金の保険料(月17,920円・令和8年度)も自分で納めなくてよい仕組み(第3号被保険者)があります。
つまり家族が多い人ほど、同じ役員報酬でも切り替えの効果は大きくなります。
被扶養者になれるかどうかは、家族の収入で判定されます。令和8年4月1日以降は、労働契約の内容から見込まれる年間収入で判定し、基準は次のとおりです。
| 家族の区分 | 年間収入の基準 |
|---|---|
| 原則 | 130万円未満 |
| 60歳以上または一定の障害がある方 | 180万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(配偶者を除く) | 150万円未満 |
同一世帯の場合は、これに加えて被保険者(社長本人)の年間収入の2分の1未満であることが求められます。
比べ方はシンプルです。
いまの世帯全員分を合計する
世帯全員分の国民健康保険料+国民年金保険料
マイクロ法人にした場合の社会保険料を出す
役員報酬で決まる・会社負担と本人負担の合計
差額から固定費と事務の負担を引く
法人の維持費(均等割年7万円など)と増える事務の負担
家族が被扶養者の要件を満たすほど、1)と2)の差は開きます。逆に、家族それぞれに130万円以上の収入があるなら、その家族の分の効果はありません。
同じ所得でも、単身の方と家族4人の方では、マイクロ法人の効果はまったく違います。
弊所では、ご家族それぞれの収入まで含めて、世帯全体で切り替え前後の実額を並べる試算をお出ししています。まずは下のシミュレーションで、大まかな違いを試してみてください。
※本記事の金額は、国民健康保険は東京都江東区の令和8年度料率での概算です。国保の料率は市区町村で異なります。被扶養者の認定は収入以外の事情も含めて保険者が行います。
※法人化の前に: 法人化すると、赤字の年でも法人住民税の均等割(年7万円ほど)が毎年かかります。増える事務も決算・申告や設立時の届出だけではありません。毎月の給与計算と源泉所得税の納付、年末調整、社会保険の算定基礎届など、個人事業には無かった手続きが毎年続きます。保険料や税金の差だけでなく、この固定費と手間まで含めてご判断ください。
※有利・不利を比べるときは: 法人化の有利・不利は、保険料の削減額と法人の維持費の引き算だけでは決まりません。設立時の登録免許税などと、やめるときの解散・清算の費用は、毎年の維持費とは別にかかります。健康保険の傷病手当金・出産手当金や厚生年金の上乗せが付く一方、国民年金基金・付加年金は使えなくなります。法人へ移す事業には、契約・請求・業務内容の区分という実体が必要です。これらも同じ土俵に載せてご判断ください。
※この比較に含めた負担: 個人のままの金額は所得税・住民税・国民健康保険・国民年金・個人事業税(対象業種のみ)の合計、法人化後の金額は法人税など法人側の税金(赤字でもかかる均等割を含む)+社会保険料(会社負担と本人負担の両方)+社長個人の所得税・住民税の合計で試算しています。
この記事の内容は、あなたの数字でその場で試算できます。
法人化シミュレーションで実際にあなたの数字で試す→この記事の内容、私の場合は? — 普段お使いの AI に相談
押すと、この記事の要点が質問文になって、選んだ AI に渡ります。
Gemini など、ほかの AI に貼り付けて使えます
AI によってはそのまま回答が始まります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。
※免責事項: 本コラムは一般的な情報のご提供を目的とするもので、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。内容は執筆時点の法令等にもとづいており、その後の改正などにより現在の取り扱いと異なることがあります。正確な記載に努めていますが内容を保証するものではなく、本コラムの情報にもとづいて行われたご判断について、当事務所は責任を負いかねます。実際の手続きやご判断にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
無料相談の中で、売上と利益を伺いながら概算の試算をその場でお出しできます。数字を見てから、ゆっくりご検討ください。
普段お使いの AI に相談
1. 相談したいことを選ぶ
2. 相談する AI を選ぶ
用意した質問文がそのまま渡ります。回答は各 AI サービスによるもので、当事務所の見解ではありません。